ロータスF1チームで昨年、ロマン・グロージャンを担当していたレースエンジニアの小松礼雄氏。今シーズンはチーフエンジニアに昇格してグロージャン、そしてパストール・マルドナドの2台のマシンでF1を戦います。
開幕戦では予選Q3に残り、昨年からも大幅なパフォーマンスアップを果たしたロータスF1チーム。現場でエンジニアリングをまとめる小松氏は、どのように開幕戦を振り返り、そして、今週末のマレーシアに焦点を合わせるのでしょうか。
このF1速報サイトでしか読めない、完全オリジナルコラム、第3回目の一部をお届けします。
——————–
第3回
開幕戦での想定内と、驚き
今シーズンの開幕戦が終わりましたが、E23の速さは良くも悪くも予想していたとおりのポジションでした。
やはりトップにメルセデス、その次にウイリアムズがいて、僕らは残念ながらそのウイリアムズからコンマ7秒から1秒遅れているだろうなと予想していましたが、実際、予選でコンマ7秒遅れていました。ウイリアムズの次にフェラーリが来るのも予想どおりでしたね。トロロッソはうちに近い位置にいるだろうなとは思っていましたが予選で負けたのは残念でした。
意外なところは、レッドブルのパフォーマンスが気になりました。彼らは冬のテストでそれほど速くなかったですが、メルボルンでも苦労していましたね。開幕用のフロントノーズがクラッシュテストに通らなかったそうで、それが導入されれば今後、パフォーマンスを上げてくることは間違いないとは思います。ドライバビリティもきちんと改善して来るでしょうし。
それよりもトロロッソが良いクルマを開幕戦に持ってきたのが印象的でした。予選Q3はウチのクルマがパフォーマンスを出し切れなかったこともありますが、トロロッソはルノーエンジン。はっきり言って、車体がウチよりいいわけですよね。
トップ3の下は拮抗しているので、きちんと持てるパフォーマンスを全て出さないと、あっという間にポイント圏外になります。あとはザウバーの1台、フェリペ・ナスル。彼が予選でも、ウチとコンマ1~2秒差くらいのところまで来ていたので、もうちょっと差を付けないといけないです。
\t
開幕戦を終えた感想として、去年のウチのポジションを考えればポジティブですけど、個人的にはあまり去年をベースに考えてはいけないと思っています。というのは去年が悪すぎたわけで、僕たちにとっては去年がベースラインではないわけです。
ただチーム内のみんなにとってはこれまで明るい話題があまりなかったので去年よりもクルマが断然良く、ちゃんと走ればポイントを獲れるというのは久々の良いニュースです。
もちろん、今年のクルマをきちんと開発できれば、もっと良い位置にいけるという感触はありますけど、それと同時に現状で、同じカスタマーエンジンを使っているウイリアムズにコンマ7秒差は情けないですよね。うちは資金が全然少ないですけど、ウイリアムズだってそんなに潤沢なわけではないですからね。
マクラーレン・ホンダも今は苦労していますが、それなりに上がって来ると思いますし、もちろんレッドブルもすぐに修正してくると思います。ですので、うちはとにかく今、ポイントを獲れるだけ獲らないといけないわけです。そういう意味でも、信頼性不足やルノーエンジンのトロロッソと同じような位置にいる状況は良くないですね。
続きはF1速報有料サイトでご覧ください
「レースエンジニアとチーフエンジニア、クルマを速くするための、視点の違い」