2015 イタリアFIA-F4 第7大会(ミサノ)レビュー
--佐藤万璃音、最後列からの4位と、幻の2位表彰台--
■大会概要
開催地:イタリア・ミサノ(ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ:一周4.226km)
開催日:2015 年10月2日(金)~4日(日)
■ミサノ・レビュー
10月2日(天気:雨/路面:ウェット)練習走行1回目 18番手/練習走行2回目 17番手
10月2日(天気:雨/路面:ウェット)予選1回目 15番手/予選2回目 16番手
10月3日(天気:晴れ/路面:ドライ)レース1決勝(28分間+1周)リタイア
10月3日(天気:晴れ/路面:ドライ)レース2決勝(18分間+1周)4位
10月4日(天気:曇り/路面:ウェット~ドライ)レース3決勝(28分間+1周)6位
イタリア・ミサノのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで10月2~4日、イタリアFIA-F4 第7大会(2015 シーズン最終大会)が22台の参加で開催されました。この大会には国内外のカートレースで活躍してきた佐藤 万璃音(さとう まりの/16歳)が、ヴィンチェンツォ・ソスピリ・レーシング(VSR)から参戦。レース1のリタイアで最後列からのスタートとなったレース2では、追い抜きに次ぐ追い抜きで4位。濡れた路面にもかかわらず天気の回復を見込んでドライタイヤで挑んだレース3では、作戦が的中して2位でチェッカードフラッグ、ペナルティを科されて降格となったものの6位に踏みとどまりました。
10月2日(金)は雨模様で路面はウェットとなり、慣れないコンディションに苦しむ佐藤の練習走行と予選のタイムは予想以上に伸びませんでした。
3日(土)は晴れたものの路面はところどころ濡れており、安全性を優先してレース1 はセーフティカー(SC)先導でスタートがきられました。1周終了時点ででSCが退去して実質的なスタート、しかしストレートエンドの第8コーナーで追突され、クルマにダメージを負ったためその場でリタイアとなりました。
同日のレース2は週末初めて路面がドライとなったとはいえ、レース1の結果により最後列21番グリッドからの反撃を佐藤は強いられました。それでも1周終了時点で順位を15番手へ上げると、1周1台のペースでライバルを追い抜き、9周目には7番手となって先行する3台と激しい4番手争いを繰り広げました。最終周に6番手へ浮上してチェッカードフラッグ。レース終了後、上位2台にペナルティが科されて4位入賞を飾りました。
雨上がりで迎えた4日(日)のレース3、空にはところどころ青空が見えましたが路面はウェットのまま。ほとんどのドライバーがレインタイヤを履く中、上位の降格で14番グリッドへ繰り上がった佐藤はドライタイヤを装着して臨みました。しかし、序盤は濡れた路面でタイヤがグリップせず、一時はトップから40秒以上遅れて19番手へ後退。ところが路面が乾き始めるとにわかにラップタイムが速くなり、9周目にはトップより速いラップタイムを叩き始め、ライバルより一周5、6秒も速いペースで快走。レース2と同様に1周で1、2台を追い抜く快進撃で16周目には4番手、最終周の17周目には2番手へ浮上してチェッカードフラッグを受けました。しかし、追い上げ途中に何度かコースをはみ出した行為をとがめられ、最終結果に25秒を加算されて6位降格となりました。
フォーミュラカーレース1年目となる佐藤のシーズン最高位は2位(アドリアの第5大会レース2)、ドライバーズランキングは参加36人中10位でした。なお、佐藤の2015シーズンのヨーロッパでの活動は本大会をもってひとまず終了します。来たる2016シーズンの活動につきましては決定次第、皆さまへ速やかに報告させていただきます。1シーズンにわたりたいへんお世話になりました。今後も引き続き佐藤に対するご支援とご声援をよろしくお願い申し上げます。
■佐藤万璃音のコメント
「雨の中でのフォーミュラカー走行経験がほとんどなく、練習走行と予選ではとても苦戦しました。ブレーキの使い方やステアリングの使い方に戸惑い、満足できるタイムを出せませんでした」
「レース1を迎える前の路面はハーフウェットだったのでタイヤ選択に迷いました。まずは中古のレインタイヤを履いてコースイン、路面はどんどん乾きつつあったのでグリッドでドライタイヤに履き替えました。スタートでは順位を上げられなかったものの、前のクルマにはピタリと接近できていたので第8コーナーでブレーキング勝負を仕掛けました。しかし、その際に後ろから突っ込まれてリタイアせざるを得ませんでした」
「レース2は約20分間と短かかったわりに、たくさんのクルマを抜いたので忙しかったですね(苦笑)。1周目の第1コーナーには思い切り突っ込んで第2コーナーまでに5台くらい、第8コーナーで1台をそれぞれ抜きました。1周目にかなり順位を上げたところまでは憶えていますが、その後はあまり記憶がありません。でも、至る所で勝負を仕掛けていたような気がします。ドライ路面でのクルマの感触は最高でした」
「レース3もレース1と同様にタイヤ選択に迷いました。しかし、周りと同じ条件では勝負にならないので、覚悟を決めてドライタイヤを選択しました。レース前半は我慢してコースに留まり続け、路面が乾き始めたレース後半は全力で攻めました。今季最後のレースだったので、いままで以上に気合いが入った週末でした。レース2、3は今季いちばんのレース、自分の成長を表現できたレースでした。まったく見えないトップを最後の最後まであきらめず追えたのは、日本でライブストリーミングやライブタイミングを見ながら応援してくださった方々のおかげです。結果はともかく、最後に気持ちの良いレースができて満足です。今季はありがとうございました。そして来季もよろしくお願い致します」