スタートで出遅れたものの序々に順位を挽回していき、レース終盤には6番手にまで進出。初のオーバルレースながら上位入賞は目前だった琢磨。残念ながら接触によりレースを終えてしまうことになったが、インディ500覇者であるカストロネベスらとトップレベルのバトルを経験するなど、オーバルレースについての理解は大きく深まっている。シリーズ最大のイベントである次戦インディ500に向け、貴重な経験を手に入れた。
第5戦カンザス 決勝
順位:24位
「最後は武藤君が上がってきて行き場所がなくなってしまった。本当にどうしようもない状況だった。すごく残念です。初のオーバルレースはとても楽しかった。エキサイティングなレースができたし、本当にいろいろなことを経験できました」
Q:トップ5を狙えるすごいレースをしていたのに、アクシデントとなってしまいましたね。
琢磨:本当に残念。僕のコクピットからは武藤君しか見えていなかった。武藤君とサイド・バイ・サイドだった。そうしたら彼がバンクを上がってきて、完全に行き場を失った。もちろん、アクシデントの直後に武藤君と話しました。そうしたら、武藤君の下にはシモーナ(・デ・シルベストロ)がいて、シモーナが上がってきたので、彼も行き場所がなくて上がったんだということがわかった。僕らは本当にどうしようもできない状況にあった。すごく残念です。ファンのみんなに申し訳ない。特に武藤君のファンにもとても申し訳ないと思ってます。
Q:初めてのオーバルでのスタートはどんな考えで臨んだですか?
琢磨:どういう感じになるのかわからなかった。勝手がまるでわからなかいんだからね。そうしたら、最初はどんどん後ろに下がっていっちゃった。ああいうふうに勢いがなくなると、ポジションをどんどん落としてしまう。スタート直後は結構大変だった。でも、そこから後は、落ち着いてひとつひとつポジション上げて行けたんでレースは楽しかった。
Q:1回目のピットストップは少々早めでしたが、単独でピット作業をしたいなど、何か意図があったんですか?
琢磨:たぶんそうですね。でも、それはチームと確認してみないとわからない。
Q:その後は燃費も他チームと変わらず、ピットタイミングはライバルたちと同じになっていました。それにしても、相手を抜く術は、かなりすんなりとマスターしていたように見えてましたが?
琢磨:最初っからすんなりとは行きませんでしたけど、何周かかかって、様子を見て、どういうふうにしたら抜けるかというのを体で覚えていくしかなかった。
Q:それがスムースにいったと?
琢磨:はい。楽しかったですよ。オーバルの特性を活かしてね、色々なドライバーたちとサイド・バイ・サイドをしたし、オーバーテイクもした。かなりエキサイティングなレースだったと思います。
Q:クルマが良かったから、それができたということですか?
琢磨:もちろんそれはありますよ。クルマがしっかりとしていたし、レースの乱気流の中で走れるクルマ作りというものを、チームとして昨日から目指していたので、そういう意味では、その目標は達成できていたと思います。
Q:自分で進歩できたと感ずることは何ですか?
琢磨:いや、本当にたくさん学べましたよ。自分としては本当にゼロからだったので。スタートではいろんなドライバーに抜かれたけど、その後は前をプッシュしていくだけだった。それはとても楽しかったですよ。クルマがレースが進む中でどう変わっていくかとか、オーバルの再スタートの感覚とか、そういうのを全て経験することができました。
Q:オーバルレースを初めて戦っての感想は?
琢磨:全ラップがバトルみたいな感じだったので、楽しかったし、すごくいい経験になった。最後、今日は絶対ゴールしたいって思ってたから、まさかああいう形で、まったく何もできないまま道がなくなっちゃうとは思わなかった。まぁ、それもひとつの勉強だと思うし、今後に期待したいです。
Q:そのアクシデントが起こる前、プッシュ・トゥ・パス(オーバーテイク・アシスト)はレース終盤に向けて残していたんですか?
琢磨:もちろん。何度かは使ってましたけど、いくつかは残ってました。
Q:では、さらなる順位アップを狙っていたんですね?
琢磨:もちろん。フレッシュタイヤだったし、プッシュしていくつもりでした。再スタートで順位を上げて、もう一度バトルして……。それでシッカリと最後はチェッカーを見たかったんですけどね。
Q:最初のオーバルレースではトップ10でも喜べるものなのに、トップ5も行けるところでした。どんな気持ちで、どんなこと考えながら走ってましたか?
琢磨:楽しかったですよ。何て言うのかな、リスペクトを持てるドライバーたちとの戦いは特におもしろかった。ペンスキー勢とのバトルはやっぱり興奮したし、他のドライバーも当然しっかりといいバトルをやってくれたのでね。僕としてもサイド・バイ・サイドのバトルになった時には、相手のためにラインを残したりだとか、そういう意味ですごくいい勉強になりました。
Q:カストロネベスとサイド・バイ・サイドを2周以上続けるシーンもありました。佐藤選手、インを取っていたのに抜き切れませんでしたが?
琢磨:うーん、まっすぐになるとクククククッと負けちゃうんですよ。やっぱりそこらへんがもう一歩なんですけど、でも一応、あの状態でバックオフして様子を見て、最後オーバーテイクをできたのでね、すごく良かったです。
Q:オーバルを一気に好きになったんじゃないですか?
琢磨:はははは。まぁ、楽しかったです。
Q:次のインディ500はまた違うと思うんですが?
琢磨:はい。全然違うって聞いてるんで、また最初からですね。でも、オーバルのね、全体的な特性という意味では、今回のレースは本当に勉強になりました。
Q:チーム・オーナーのジミー・バッサーに、「あの場にマシンを持って行ったのは自分なのだから、結果責任は自分にある」と言われていましたね?
琢磨:今日、僕もチームも素晴らしい仕事をした。それを彼は十分に理解してくれていると思います。その中で僕と同じぐらいに彼の中には悔しい気持ちがあるんでしょうね。彼は元ドライバーですから、僕の視点もわかるんだと思います。僕自身、あの場ではどうすることができなかった。でも、そこに駒を進めていったっていうことに僕としてはまず注目をしたい。その部分をしっかり分析して次につなげたいです。今日例えば完走していたとしても、それで「よかった、よかった」ではないっていう、ジミーはそういう態度でした。一気に戦って行くんだって、そんな感覚になってくれていると感じています。
