アブダビGP決勝当日のヤス・マリーナ・サーキットは金曜、土曜と同様ところどころに雲が浮かんでいるものの太陽を遮るほどではなく、朝から青空が広がっている。スタート3時間前、午後2時の時点で気温28℃、路面温度35℃と土曜とほぼ同じコンディションだ。

 55周で争われる決勝レースは、ピレリによれば2ストップが主流と予想されている。3回ストップも可能だが、渋滞につかまる可能性が高いためだ。さらに金曜のロングランデータから、スーパーソフトタイヤはデグラデーションが大きいことがわかっているため、レースでメインに使用されるのはソフトタイヤになることは間違いない。それは予選でのタイヤの使い方にも表れており、メルセデスですらQ1から惜しげもなくスーパーソフトを使用。レースに向けてトップ10ドライバーで新品スーパーソフトが残っているのは、フェラーリのキミ・ライコネンだけで、あとは土日に使える4セットをすでに投入している。

 予選でソフトタイヤを使用したのは、ライコネン、セルジオ・ペレス、ダニエル・リカルド、バルテリ・ボッタス、ニコ・ヒュルケンベルグ、フェリペ・マッサ、ダニール・クビアト、カルロス・サインツJr.、マックス・フェルスタッペン、セバスチャン・ベッテルの10人。残る10人は新品のソフトタイヤ3セットを残している。そこにメルセデスの2台も含まれており、スーパーソフトでスタートするニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンが1回目のピットストップでソフトタイヤへ交換することは、ほぼ間違いない。

 予選3位のライコネンも新品ソフトタイヤが2セット残っているので、2ストップは問題なくニュータイヤでつなぐことができる。しかし、もしレース終盤にセーフティカーが導入されるなど不測の事態が発生した場合、ただひとり1セット残している新品スーパーソフトが鍵となるかもしれない。

 アブダビGPの週末を通して警戒されているのが、フォース・インディアのセルジオ・ペレスだ。コンスタントにトップ4に入る速さがあり、松崎淳タイヤ&ビークルサイエンス部門シニアエンジニアは「とても興味深いレースになると思います」と語っている。最終戦でも台風の目となりそうだ。

 なお、アブダビを最後に現在のチームを去ることが決定しているドライバーは、いまのところロマン・グロージャンひとりだけ。最後の予選はトラブルに見舞われ、残念な結果に終わってしまった。財政的に苦しい状況となって以来トラブルが連続しているロータスだが、最後にグロージャンを万全の体制で送り出せるよう、土曜の夜に懸命な修復作業を行っていた。

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