昨年までスクーデリア・フェラーリで、ビークル&タイヤインタラクション・デベロップメントとして活躍した浜島裕英。その浜島さんのコラムがF1速報サイトで連載中です。題して、「浜島裕英のグランプリ人事査定」。今回、F1速報サイトでしか読めない第17回コラムの一部をお届けします。

第十七回査定「自滅」
 アメリカGP。嵐に翻弄された週末でしたが、パワーユニットの差が路面の摩擦力(グリップ)の低さによってある程度消され、クルマのハンドリングの良さがどちらかというと強調され、ドライバーの技量の優劣が出やすい、ダンプ(チョイ濡れ)状態のレースの面白さというものを再認識できた日曜日でしたね。

 ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が優勝し、2位にニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)、3位にセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)という結果になったので、3戦を残してハミルトンの2年連続3度目のチャンピオンが決定したのでした。ちなみに今年、この順位での表彰台というのは実に5回目となりました。

 ハリケーン“パトリシア”のお陰で、フリー走行(FP)1はウエット、FP2は中止、FP3もウエット、土曜日の予選(QF)は順延。そして、日曜日の朝のQFもやはりウエットで、挙句の果てQ3は再び悪天候のために中止となりました。ドライタイヤでの走行が皆無の状態でレースを迎えるというのは極めて稀な状況だと思われますが、運よく初開催のコースではなく、しかもタイヤメーカーが同じで、投入されるコンパウンドもソフトとミディアムと昨年同様だった点は、各チームの救いとなったことでしょう。昨年と違っていた点はリヤタイヤの構造、そしてこの一連の悪天候でコースが非常に汚れていた事でしょうか。

 こういった時、各チームの戦略担当やタイヤ担当は、いつも以上に過去のデータの見直しを行います。昨年のアメリカGPのデータを見るのは当然ですが、今年リヤタイヤの構造が変更されたことで、ここまで終了したレースのデータが昨年対比でどう変わってきているか、例えば前後の摩耗量の割合がどれくらい変化しているか、などを細かく検証していると思います。それによって、昨年のアメリカGPのデータから、より精度の高い今年の予想データを導き出し、戦略に活かすことができるようになるわけです。

 さてレースの方は、コースがダンプからドライ路面へと変化し、加えてバーチャル・セーフティカー(VSC)が2回、セーフティカー(SC)が2回出動する荒れた展開で先頭も目まぐるしく代わり、面白かったと言えば面白かったわけですが……このお陰で目論見が外れたドライバーもいましたし、ツキを呼び込んだドライバーもいたわけです。

ツキを呼び込んだベッテル
目論見が外れたロズベルグ
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