第14戦 ミドオハイオ
繰り返された“不運の連鎖”

 シーズン半ばの慌ただしい連戦を終えたIZOD インディカー・シリーズは3週間のブレークを迎え、ここのところ苦戦続きだった佐藤琢磨とAJフォイト・レーシングは反撃のチャンスを虎視眈々と待ち構えていた。では、休み明けに開催されたミドオハイオはどんなレースだったのか?

 良かったのは、No.14をつけたダラーラ・ホンダがフィニッシュまで着実に走りきった点。そして悪かったのは、テストでトラブルを抱え込んで以降、ペースが伸び悩み、レースを22位で終えたことだろう。

「ものすごく苦しい週末で、とにかくスピードが伸びませんでした」琢磨はそう振り返る。

 チームは、穏やかな起伏が続くこののどかなコースでテストを行ない、レースに備えようとしたが、大した情報は手に入らなかった。

「今回はオープンテストだったのでほとんどのチームとドライバーが参加しました。しかし、使えるタイアは3セットだけで、午前中はチョイ濡れのコンディションでした」

「ミドオハイオはトリッキーなコースです。コース幅が狭く、曲がりくねっているところもそうですが、コースコンディションが大きく変化することは信じられないくらいです。市街地サーキットではコースコンディションが改善されていくことがよくありますが、今回のミドオハイオは、通常67秒程度のラップタイムがそれより8秒も遅かったほどです! 舗装の状態とそれに対するタイアの反応により、グリップがまるでなく、コースのそこらじゅうでマシーンが滑っているような状況でした。このスピードではマシーンをセットアップするのはほぼ無意味で、その日の午後までテストプログラムを始めるのを待たなければいけませんでした。チームは、タイアのコンパウンドや構造が変わっていたこともあり、昨年彼らが用いたセットアップと2013年仕様のセットアップを組み合わせたものを用意していました。このときは順調に前進していくつかのことを学び、トップ10に食い込める自信を抱きました」

 しかし、金曜日のフリープラクティスになると、様々な問題が噴出し始める。

「まるでスピードが伸びませんでした。45分間のセッション中にコースコンディションは3~4秒も速くなるほど改善されましたが、僕たちはギアボックストラブルのため早々と走行を打ち切りました。これは2回目のプラクティスセッションに向けて厳しい状況を作ってしまいましたが、さらにはギアボックスに別のトラブルも起きてしまいます。3回か4回コースインして、1ラップずつ計測できましたが、この程度の走行量でマシーンを進化させることは不可能です」

 負のスパイラルは土曜日朝のプラクティスでも繰り返された。

「新しいブレーキを馴らす状態に不具合がありました。セッション序盤は再びチョイ濡れで、ひどく滑りやすいコンディションです。マシーンはとてもドライブしにくい状況でした。ターン2の進入でブレーキを踏みましたが、まるで何も無かったかのようにまったく食いついてくれなかったのです。温度が低かったうえに、車高の影響もあって、クルマが底打ちをしながら滑り始めるとまったく止めることができませんでした。もともとグリップは低い状態でしたが、濡れたグリーン上はゼロに等しかったです! マシーンはウォールに接触してダメージを負ったので、ピットに戻り、予選に向けて修復作業を行うことになりました。この時点まで、2周以上の連続の計測ラップを行えていないという酷い状態の週末を迎えていました」

 それでも、希望を持てることがひとつだけあった。このように様々なことがありながらも、琢磨は予選グループで8番手となったのだ。Q2進出に必要だったタイム差が0.1秒となかったのは素晴らしい努力だといえる。この結果、琢磨は15番グリッドからレースに挑むことになった。

「第2セグメントに進めなかったのは残念ですが、メカたちが懸命に努力してここまで立ち直れたことは嬉しく思っています。予選ラップではベストを尽くしましたし、状況を考えればスピードは悪くありませんでしたし、少なくともある程度のペースまで乗せることができましたから。けれども、予選でも赤旗が提示されてセッションが中断されました。もう、ほかの何はなくても、もっと周回数が欲しかったですね!」

 決勝日のウォームアップでは再び運が下向きとなる。チームが考え出した新しい方向性のセットアップを試したが、「ひとつだけよかったのは、これがまったく使い物にならなかったということが確認できただけ」という状態だったのだ。

「ただし、テストする時間はもう残されていなかったので、予選で走った状態をベースとしたセットアップに戻すことにしました。ただし、これで決勝を戦えるかどうかはまったくわからず、状況が少しでも改善されればと期待してレースに臨みました」

 琢磨は素晴らしいスタートを決めたものの、その後は、早めにピットストップしてファイアストンのブラックタイアをレッドタイアに交換するまで、ずるずると順位を落としていった。

「グリッド上ではブラックタイアを履いたドライバーとレッドタイアを履いたドライバーが混在していました。僕は、スタートは良かったのですが、2周目にはエリオ・カストロネヴェスに抜かれ、その後は次々とポジションを下げていきました」

「マシーンが本調子でないことはすぐにわかりました。ほとんどコース上に留まっているだけのような状況だったので、とても長い午後になると覚悟していました。しかも、コースコンディションは急速に変化し、ハンドリングのバランスシフトも起きていましたが、とにかく僕たちはスピードが不足していました。最初のスティントをごく短くし、残る3スティントはすべてレッドタイアで走ることになりました。これでグリップはよくなりましたが、あくまでもそれは相対的な話で、十分なスピードとはいえません。できることはすべて試しましたが、ついに満足のいくスピードは手に入りませんでした」

「レース終盤に向けてコースコンディションが改善され、僕たちのマシーンも高いグリップを発揮して、しっかり走ってくれるようになりました。ところが、このときはすでにラップダウンになっていたほか、ピットストップでも問題が起きていました。まったく、僕たちにはどうにもできない週末でした」

 これが終わると、琢磨たちは再び3週間のブレークをとって体制を立て直し、8月26日にカリフォルニアのソノマで開催されるレースに出場する。今回は2日間のテストも予定されているので、シーズン半ばの再スタートとなることを期待したところだ。

「次回もロードコース用タイアを使うことになりますが、僕たちにはまだ把握できていないことが多いようです。ソノマはアップダウンの多いコースなので、できればロードコースのセットアップに新たな進化をもたらしたいと思います。来週はホンダのテストデイ、続いてオープンテストが予定されているので、これは僕たちにとってボーナスのようなものです」

written by Marcus Simmons

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