AUTO GP最終戦ポルトガルで、道見ショーン真也が怒涛の追走劇、
ファステストラップを連発し、見事な逆転、初優勝を飾る!
ポルトガル、エストリル・サーキットで10月18〜19日に開催された2014年AUTO GP第15戦、16戦に道見ショーン真也がEURO NOVA RACINGからスポット参戦し、第15戦で6位入賞。そして3番手グリッドからスタートした第16戦では、スタートに失敗したものの、ファステストラップを連発し、見事な逆転、初優勝を飾りました。
体力的にかなり厳しいことで有名なエストリル・サーキットでのレースに備えて、道見ショーン真也はEURO NOVA RACINGの本拠地であるイタリア、フォルリに居を構え、F1世界チャンピオンのフェルナンド・アロンソを担当するトレーナーの指導のもとに2ヶ月間の体力トレーニングを集中して行なってきました。
今回のイベントはヨーロピアン・ルマン・シリーズと同時開催ということで、事前の走行時間が限られており、45分間のフリー走行が1回のみで、いきなり予選という厳しいスケジュールです。16日にポルトガル入りした道見ショーン真也は、17日の午後、エンジニア、チーム監督と共にサーキットを歩いてチェック。各コーナーごとのポイントを確認し、セットアップのベースラインを検討しました。
土曜日のフリー走行直前に、予期せぬメカニカル・トラブルが発生しました。シフトダウンン時のブリッパーが正常に作動しなかったのです。エンジン・メーカーのエンジニア達がマシンを取り囲み、深刻な表情で修復作業にあたりました。予選前に走れる時間はこの45分間が全てです。ヨーロッパのライバルたちはこのサーキットを経験しているドライバーが多く、まったく初めての道見ショーン真也にとっては、とても大切な走行時間です。その不安の中でも本人は愚痴ひとつ言わず、「フリー走行なしでポールポジション獲得したら、ヨーロッパでもビッグニュースになるよね」とジョークでスタッフを和ませるほどリラックスしていました。チームを全面的に信じていたからです。幸い走行時間を5分ほどロスしただけで応急処置をすませ、コースイン。あいにくのウェット・コンディションでしたが、着実に周回を重ねてコースを覚え込み、セットアップを煮詰めました。
午後の予選までに雨は上がり、ポルトガルらしい陽射しの強さでコースは瞬く間に乾き、いきなりドライ路面での予選となりました。これも厳しい条件でしたが、2回の予選で道見ショーン真也は2種類の異なるコンパウンドのタイヤをマスターし、5番手タイムをマークしてみせました。
日曜日の午前中に開催された第15戦は、道見ショーン真也にとって苦いレースとなりました。スタートは上手くいったのですが、メディカルカーが故障するという前代未聞のアクシデントで赤旗中断。レースはセーフティカー先導での再スタートとなりました。道見ショーン真也は早めのタイヤ交換に出る作戦を取ったのですが、ピットの進入速度違反によりドライブスルーのペナルティを課されてしまい、大きくポジションをダウン。激しく追い上げましたが、6番手まで追い上げたところでチェッカー。リバースグリッドでポールポジションとなる8番手フィニッシュを狙うような姑息なレースはせず、チームの為のポイント獲得を狙って全力で走った結果の順位でした。
そして迎えた最終戦、3番手グリッドからのスタートでしたが、スタートに失敗。一気に8番手までドロップしてしまう、厳しい戦いが始まりました。しかし気を取り直した道見ショーン真也は素晴らしいペースで追い上げを開始。2周目には7位、そして1台、また1台と前を行くマシンを仕留め、5周目にピットインして新品タイヤへと交換を済ませると、トップグループより1周1秒から1秒5速い脅威のペースで追い上げを開始しました。9周目にはファステストラップをマークして4番手まで浮上し、さらに10周目には自己のファステストラップを更に更新する激しい走りを見せ、続く11周目に3位に浮上。表彰台の一角を確保した喜びの笑顔をみせるピットクルーを尻目に、さらに勢いをつけ、13周で2位、そし16周目のコントロールラインにトップで戻ってきたのです。
残り4周、後方からはGP3で活躍するルイス・サ・シルバ選手、そして元F1ドライバーのアントニオ・ピッツォニア選手が意地を見せて追いすがりますが、最後まできっちりと抑えきり、見事、AUTO GP初優勝を飾りました。今シーズンのAUTO GPチャンピオン、佐藤公哉選手に続く、日本人として二人目のウィナーが誕生したのです。
■EURONOVARACING ビンチェンゾ・ソスピリ監督のコメント
「真也はいつもいい意味で我々を驚かせてくれますが、今日のレースは本当に素晴らしかった。スタートの失敗を、ピット戦略と速さでカバーし、諦めずに攻め続けることで、見事に初優勝を飾ったのです。これはチームにとって佐藤公哉の優勝に加算して、今シーズン7勝目となる勝利です。慣れないイタリアに住んで、人が変わったかのように体力トレーニングと規則正しい生活を続けてきたことが、真也にとっていい方向に働いたと思います。この勝利は彼にとって大きな自信になると思いますし、来年度の更なる飛躍に向けての、いいスタートとなることでしょう。明日からまた、トレーニングの日々です!!」
■道見ショーン真也のコメント
「嬉しくて、まだ初優勝を信じられない気分ですが、それより今日はもう、持てる力を何もかも出し切った感じで一杯です。体力的にではなく、フリー走行からずっと、1周ごと、各コーナーごとに色々考えて走ってタイムを出し、それをずっと最後まで続けたので、何というか、まさに脳が疲れ切った気分です」
「朝のレースは僕のミスでペナルティを受けてしまい残念でしたが、それでもレースのペースに自信はありました。最終戦のスタートは、今年の最後のレースだと思って意識しすぎて失敗してしまいましたが、ビンチェンゾ監督の無線での指示が的確で、本当に助かりました。マシンのセットアップも完璧で、特にタイヤ交換したあとは手足のようにマシンが操れる感覚でした。8番手から勝てるとは思ってもいませんでしたが、ピットサインと無線に励まされ、限界までプッシュし続けられれば、表彰台はいけるかもと思って必死で走りました。トップに立ってからゴールまでは、こんなに1ラップ、1ラップが長く感じられたのは初めてです。佐藤公哉さんが欠場してもGP3で活躍するドライバーや、元F1ドライバー、昨年のシリーズチャンピオンなど、強豪たちが最終戦に突然参戦表明してきたのでプレッシャーは大きかったですが、今は勝てて肩の荷が下りた気分です」
「僕のレース活動を応援頂いているPlan Z、NITRO、Go Desings、Taylor&Cutter、Okutan Visual、Perfect Shine、Real Power、Ramblas、そしてmiNami aoYama Projectの関係者の皆さんに感謝するとともに、僕のレーサーへの夢をずっと応援してくれ、初優勝の吉報をアメリカで待ち望みながら2週間前に亡くなった祖父と、レースの楽しさや素晴らしさを、幼かった僕に優しく教えてくれた故ダン・ウェルドン選手に、今日のこの勝利を捧げたいと思います」
