1997年から2011年までF1に参戦したヤルノ・トゥルーリが、イタリア人ジャーナリスト、パオロ・チッカローネのインタビューにこたえ、セバスチャン・ベッテルの時代は当分続くと予想した。しかしベッテルがミハエル・シューマッハーほどファンに愛されていないことを、トゥルーリは嘆いている。
今年ベッテルとレッドブルは4年連続となるタイトル獲得を成し遂げた。ベッテルはシーズン後半のベルギーから最終戦まで9連勝を飾っており、その圧倒的な強さにファンのF1への関心が薄れるのではないかと懸念も生じている。
ベッテルはシューマッハーの記録を塗り替える
「ベッテルは10回でもワールドタイトルを取るだろう」とトゥルーリは言う。
「そう考えるのに論理的な理由がいくつもある。現役ドライバーの顔ぶれを見て、(フェルナンド・)アロンソと(キミ・)ライコネンの年齢を考えると、将来、ベッテルの真のライバルとなるのはひとりだけだとすぐに分かる。それは(ルイス・)ハミルトンだ。だが彼はF1でベストのマシンに乗っているわけではない」
「年齢から考えてアロンソとライコネンはいずれ引退する。だがベッテルは若く、ベストのチームに所属している。彼はシューマッハーの記録を超えて、タイトルを10回取るかもしれない」
「彼の後に続くような才能を持ったドライバーは見当たらない。才能のあるドライバーがいても、ライコネン、アロンソ、ベッテル、ハミルトン、あるいは(ニコ・)ロズベルグのレベルではない」
「ジュニアカテゴリーを見てみても、GP2にもGP3にもレベルが高いドライバーがいない」
ベッテルが避けなければならない“過ち”
何年か前から将来のフェラーリ移籍がうわさされているベッテルだが、現在圧倒的強さを誇るレッドブルを離れようとするのは間違いだと、トゥルーリは考えている。
「アロンソとライコネンが引退すれば、ベッテルのキャリアはより輝かしいものになるだろう。ただ注意しなければならないのは、競争力のあるチームを離れて不確かな冒険へと踏み出すという過ちを犯さないようにすることだ」
ミハエルの方が愛されたのは跳ね馬に乗っていたから
今年表彰台に立つベッテルに対して観客からブーイングがなされる場面が何度か見られた。7度タイトルを獲得し、フェラーリで5連覇を達成したシューマッハーと異なりフェラーリドライバーではないというだけでベッテルがそれほど愛されないのは残念なことだと、トゥルーリは述べた。
「彼がこのまま活躍し続ければ、F1を見ている人々は変化が欲しくなるだろう。ベッテルを倒すのは簡単ではない。速く、ミスをしない。マシンが低調なときでさえもだ」
「本当に素晴らしいドライバーなのに、彼を批判する者がいることは残念だ。率直な人間で、勤勉で、非常に努力する。それなのに、フェラーリに乗っていないというだけで、人々から共感を得ることができない。シューマッハーはベッテルと比べるとはるかによくなかったが、真紅のマシンで勝ったというだけでファンから愛された」
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