レッドブル・レーシングのテクニカルオフィサー、エイドリアン・ニューエイは、ベルギーGPでピレリが推奨する限界を超えたキャンバーセッティングを行ったことを認め、レース中、ドライバーたちが心配でたまらなかったと語った。一方でレッドブルがピレリの忠告を無視したことに他チームから懸念の声が出ている。

 予選Q3に出場したドライバーはベストタイムをマークしたタイヤで決勝をスタートしなければならない規則になっている。しかしベルギーGP予選でレッドブルのセバスチャン・ベッテルとマーク・ウエーバーのフロントタイヤにブリスターが発生、チームはこれが危険な状態であるとしてFIAに対して決勝前に新しいタイヤに交換することを許可するよう求めた。
 しかし他のライバルチームはこれに反発、FIAも、ブリスターが発生したのはチームのキャンバーセッティングのせいであるとみなし、レッドブルの要求を受け入れなかった。

「予選後、ピレリから、我々のタイヤはかなり限界に近いと言われた。1周の半分なのか5周なのかは明らかにされなかったが、タイヤはだめになるだろうということだった」とニューエイはTelegraphに対して語った。
「これまでで最も怯えたレースのひとつだった。心臓が飛び出しそうなほどどきどきした。我々が何よりも注意しなければならないのはドライバーの安全だからだ」
「マシンを安全に走らせ、パフォーマンス上のハンディキャップを負わないようにするには、非常に難しい判断を迫られた」
「レースが終わってふたりのドライバーが無事だったのを見て、本当に安心した」

 ピレリは、問題はタイヤのせいで起きたのではなく推奨の限界を超えたセッティングをしたチームの責任であるとして批判している。

 ニューエイは「ほんのわずか」推奨された限界を超えたことを認め、「安全性の問題があると知っていれば、そのようなことはしなかっただろう」と述べている。

 FIAのチャーリー・ホワイティングが決勝前のタイヤ交換を認めなかったため、レッドブルはセッティングを変えてピットレーンからスタートするか、タイヤ内圧を変えてリスクを減らしてピットストップを早めるかの選択を迫られた。チームは後者を選択し、結果的に1-2フィニッシュを成し遂げた。

 レッドブルがピレリの忠告を無視したことを他の多くのチームは懸念し、FIAは次のイタリアGPではもっと厳しい態度で臨むだろうと示唆されている。

 マクラーレンのチームプリンシパル、マーティン・ウィットマーシュは、ピレリの推奨する限界を超えたかどうかを聞かれ「ノー」と答えた。
「我々はそんなことはしなかったし、する気はない。我々は何よりもドライバーたちの安全に責任を持っているのだ。キャンバーを弱くし、それによってパフォーマンスは多少低下したが、結局はそれが正しかった」
 ウィットマーシュはAuto Motor und Sportに対して次のように述べたとYallaF1が報じている。
「ドライバーの安全性が重要だ。我々はパフォーマンスを少し失ったが、それが安全なやり方だった。他のチームは違う姿勢でいるようだが」

 ネガティブキャンバーを強くしすぎると、オーバーヒートしてブリスターが発生しやすくなるが、高速のモンツァでこういう問題が起こると、より深刻な事態になる可能性があるため懸念されている。

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