スペイン・ヘレスでのF1初テストが終わって、2週間が経とうとしている。来週からテストの舞台はバーレーンに移り、温暖乾燥のコンディションの下、本格的な走り込みが始まる。各チームは今ごろファクトリーで、ヘレステストで収集した膨大なデータの分析と、来週以降の準備に集中していることだろう。

 しかしまともなデータ取りすらできず、早々にテストを切り上げたチームもある。そう、レッドブルだ。前年まで4連覇中のチャンピオンチームがこれほどのトラブルに見舞われるなどと、誰が予想できただろうか? トラブルの大部分はルノーの新パワーユニット由来だが、RB10の冷却効率の悪さが問題をいっそう悪化させた部分もある。

 冷却と空力は二律背反であり、冷却性能を上げようとすれば、空力性能が落ちる。レッドブルはマシンデザインに何らかの手を加えざるをえないだろうが、「空力命」のエイドリアン・ニューエイがその二律背反を、どこまでのレベルで両立できるのか。トラブルは出なくなったが、クルマはすっかり遅くなってしまった、という事態も十分に予想される。

 「レギュレーション激変のシーズンは、結局は技術力資金力に優れるトップチームが上位を占める」というのが、F1界の常識だった。しかしスタートで大きくつまずいたレッドブルを見ていると、彼らが開幕までに盛り返せるのか、疑問に思えてしまう。ルノー自体のトラブルも、ヘレステスト後に映像撮影で走らせたトロロッソが満足に周回できなかったという報道もあり、完治までの道のりは遠そうだ。

 対照的にメルセデス勢は、初テストで絶好調だった。そしてカメラマンたちが競って撮影しようとしていたのが、マクラーレンの超個性的なリヤサスペンションだった。個人的にはこれが、2009年ブラウンGP戴冠の原動力となったダブルディフューザーに匹敵する秘密兵器になるのでは、と思っている。となると好調メルセデス勢の中でも、マクラーレンが「本家」メルセデスを食うかもしれない。

 そして前年までのルノーからメルセデスにパワーユニットを切り替えたウイリアムズも、元ベネトンの知将パット・シモンズの組織改革が、成果を挙げつつあるように見える。昨年選手権9位のウイリアムズ、同5位のマクラーレンが優勝争いをするような局面は、十分ありうるのではないか。既存トップチームがバタバタと倒れた2009年以来の、大下克上のシーズンが到来するのかもしれない。

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