レッドブルらしいコーナリング・パフォーマンスが甦ってきている。第2戦マレーシアGPセパンは2本の長いストレートが特徴とされるが攻略ポイントは主にふたつ。連続する中高速コーナー(5・6・7・8)でのキープスピードと、低速コーナー立ち上がりでのトラクションだ。
2010年から4戦3勝のレッドブルは絶対と言っていいくらいこの2大ポイントを外さずにきた。そのトラクション特性がはっきり数値で示されるのがセクター2地点、ヘアピン形状の9コーナーから上り坂になる10コーナー通過速度。
●FP2 T10最高速
1位リカルド 143km/h
2位アロンソ 142km/h
3位ベッテル 141km/h
(メルセデス勢は138km/h)
これは昨年FP2で同地点最速だったベッテル153km/hより“10km/h”スローだが、メルセデス勢ふたりを“5km/h”引き離す顕著な違いだ。
FP1をメインストレートエンドの低速セクション、1~2連続ヘアピンコーナーで見ていてレッドブル勢にはホイールスピンが少ないのが目立たった。ルノーパワーユニット(PU)のパワー&トルク・デリバリーをRB10シャシーがしっかり駆動力として受けとめている。これはリヤタイヤ・マネージメント(縦方向)においてプラス、今季2戦目のイニシャル・セッティングで彼らが急速に挽回しつつある現実を目の当たりにした。
●金曜FP2の結果
1位ロズベルグ 1分39秒909
2位ライコネン 1分39秒944
3位ベッテル 1分39秒970
3メーカーのPUが0.061秒間にギュッと詰まった。初戦ウイナーのロズベルグにはセクター最速はなかったものの、ベストラップをまとめたところが彼らしい。同じことは2位ライコネンにも当てはまる。FP1後半からようやくブレーキ・フィールが好みのゾーンに落ち着き、エントリーラインが定まって“ぎくしゃく感”が消えた。これをベースラインにしぼりこめば初戦とは別人の(いや失礼。本来の)ライコネンが見られるだろう。
今季初めてセッション・トップ3に来たベッテルがセクター2最速33秒658、そしてリカルドも33秒884、連続コーナリングエリアでレッドブル勢がロズベルグを圧倒。これは「銀の矢」に対する“警告”にほかならない。決勝に向けメルセデス陣営がこのセクター2で対抗策に出るか、あるいはハミルトンがセクター3最速となったように他の直線主体エリアを重視し“レッドブル潰し”にくるか……
光と影が交錯するセパン・フライデー。上位チーム接近攻防戦の予感がする反面、ロータス勢ふたりとケータハム小林に降りかかるトラブル連鎖現象は深刻そのものだ。オーストラリアでは1周、ここでも5周、90分×2セッションを“奪われた”可夢偉はじっと耐えている。今こそファンの皆さん、日本から「カムイ・サポート力」をマレーシアへ!