22日のフォース・インディアを皮切りに、新車発表シーズンの幕を開けた2014年のF1。今年は、V6ターボエンジンに代表されるパワーユニットの変革が一番の注目点となっているが、それとともに車両規定の変更もマシンの姿を大きく変えることになる。

 ここでは、今年発表される新車のボディワーク、主に外観の変更について押さえておくべき5つの主要ポイントを車両規定の変更点を交えて解説する。

■ノーズ先端は極端に低くなる

 モノコック最高高さ(リファレンスプレーン起点で625mm。リファレンスプレーンとは、車体の基準面のこと。通常は車体底面の一番低い部分を差す)の規定は変わらない。だが、その前方にあるノーズ(兼サバイバルセル)の規定が変わった。2013年までは先端より50mm後方のポイントで500mmを超えてはならなかったが、新規則では、先端より50mm後方のノーズ断面の中心が、185mmより上方にあってはならないことになった。つまり、ノーズ先端が全体的に300mm近く低くなるわけだ。

 しかも、ノーズ先端は「前車軸より750mm以上前方になければいけない」とし、極端に短いノーズの設計を禁じている。

■フロントウイングの最大幅が縮小

 マシンの最大幅と同じ1800mmあった2013年までのフロントウイングは、翼端板付近をダウンフォースの発生よりもむしろ、フロントタイヤが発生させる乱流制御に利用していた。フロントタイヤの乱流を制御することで、リヤの効率が増し、空力性能全体の向上に効果があったからだ。直進時よりもむしろ、ステア(旋回運動)やヨー(水平面の回転運動)が発生した際の効果を重視したようだ。

 新しい規定ではウイングが片側75mm狭くなり(最大幅1650mm)、前面視した際にフロントタイヤ全体をカバーできなくなる。コンセプトの見直しは必須で、新しいアイデアが見られそうだ。

■シングルのテールパイプを高い位置に置く

 新しい規則では、ターボチャージャーを1個、しかも(エンジンの)Vバンクの間かその延長線上に置く決まりなので、テールパイプ(排気管)の起点は必然的に高くなる。排気のエネルギーを空力的に利用させない狙いだろう、テールパイプはリファレンスプレーンの上方350〜550mmの高さ、かつ、後車軸の後方175〜185mmの範囲に置かなくてはならない。水平線に対して0〜5度と角度も規定されているので、ディフューザーに向けてダイレクトに吹くことも、コアンダ効果(気流が周囲の個体を引き寄せる効果のこと。この効果をダウンフォースとして活用していた)を利用することも難しそうだ。

■ビームウイングの廃止

 新規則からは、ビームウイングに関する規定がばっさり切り落とされた(つまりビームウイングを装着することができなくなった)。ビームウイングはリヤウイングと一体となって機能。ディフューザーを通過する空気の引き抜き効果を発揮し、フロア(車体底面のこと)で発生するダウンフォースの増大に寄与していた(フロアと路面に挟まれた部分の空気を速く引き抜いてやれば、ダウンフォースは増す傾向にある)。今まで「あった」ものがなくなることで、リヤのダウンフォース減は必至。ディフューザーやリヤウイングの設計にも影響を与えそうだ。

■リヤウイングはわずかに浅くなる

 リヤウイングが「なければならない」位置は、2013年までのリファレンスプレーンの上方「730mmより上」から、2014年は「750mmより上」に改められた。(リヤウイングの高さ上限の950mmは昨年と変わらず)。わずか20mmの違いだが、そのぶん角度は浅くなり、ダウンフォース量は減ることになる(同時に空気抵抗=ドラッグも減る)。

※図線(青色:2013年 黄色:2014年 「フロントウイングの幅」図説上の青色の矢印は、ウイング幅縮小によってフロントタイヤにダイレクトに当たる気流を示している)
 

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