ノーズに関するレギュレーション変更に伴い、ロータスが2015年用のノーズのプロトタイプをグランプリに投入し、金曜日のフリー走行で試走させたのは、昨年11月のアメリカGPのこと。ノーズのような大きな空力パーツは設計から製作までの時間がかかる、いわゆる「足の長い」開発部品。つまり、そういう時間がかかるものを昨年のシーズン中に投入してきたことは、早々とマシン開発のウェイトを2015年へ移行していたと考えていい。
というのも、ノーズに関して変更が加えられた新しいレギュレーションでは、2本牙ノーズを継続することは不可能で、それならば2014年に2本牙ノーズを進化させるより、早めに2015年用のノーズの開発をスタートさせたほうが得策だからである。したがって、ロータスにはノーズを新レギュレーションに適合させるだげなく、全体的な空力を見直す時間もあった。かくして、E23はノーズからリアウイングまで空力パッケージを一新してきたのである。
まずノーズは昨年のアメリカGP時のプロトタイプの処理方法とノーズ高はほぼ同じだが、幅が細くなっている。細さだけでなく、フロントバルクヘッドからのなだらかに前傾するフォルムはメルセデスAMGのW06に酷似しており、丁寧に作りこまれている印象を受ける。そのノーズに吊り下げられたウイングもメインフラップのスリットを改良して、より複雑な形状になった。
フロントサスペンションは昨年までロワアームと同じ高さにあったステアリングロッドの位置がアッパーアーム付近まで上がり、鋭角に立っていたプッシュロッドはモノコック側の付け根がアッパーアームとほぼ同じ高さまで下げられている。サイドポンツーンの前方にあるラウンド状のバーチカルフィンも曲線を帯びた複雑な形状に変身。
またインダクションポッドの下にはパワーユニット冷却用ダクトとみられる2つの小さな穴を設けている。昨年ロータスはインタークーラーの冷却用の穴をサイドポンツーン左側のフロア付近に設けていたこともあったが、今年はルノーからメルセデスにパワーユニットをスイッチしているため、冷却システムにも大きな変更を加えられたようだ。
リアウイングの2枚のフラップは昨年型を継承しているが、それを支えるピラーが昨年までは排気管の後方にほぼ直角に立っていたが、今年は排気管の上にあるエンジンカウルの後端に立てられ、排気が干渉しないようになっている。また翼端板も一新されている。
チームの規模があまり大きくないロータスは、レギュレーションが大変更された2009年もニューマシンの開発が後手を踏んで、昨年同様、コンストラクターズ選手権で8位に沈んだ。しかし、ロータスには適応力があり、その翌年は5位に躍進。今年、それができない理由はない。