「可夢偉、変わったな」(某ジャーナリスト)

 2012年以来、2シーズンぶりにF1グランプリに復帰した小林可夢偉。非力なマシンにも関わらずQ1突破を果たしたことで注目を集めているが、実は開幕戦オーストラリアGPで行われた最初の記者会見を終えてメディアセンターへ戻るとき、ある外国人ジャーナリストにこんなことを尋ねられた。

「可夢偉、変わったな。1年間でずいぶん大人になったような気がする」

 これは、その外国人だけが感じたことではなく、ほかの多くの仕事仲間も感じていたことだった。これまでの可夢偉はどちらかというと「レーシングドライバーはコース上で結果を出すのが仕事」というタイプで、メディアに対して、あまり積極的に口を開くことはなかった。

 それがメルボルンでは日本語だけでなく、英語の会見でも流暢に自分の考えを時間をかけてしっかりと語っていた。おそらく、1年間F1を離れて、応援してくれるファンの大切さをあらためて感じ、そのファンにメディアを通して少しでも多くの声を届けたいという思いがそうさせているのだろう。それは3月13日にケータハムから届いた「KAMUI SUPPORTへのお礼状」を公表したことでもわかる。

 これは可夢偉がKAMUI SUPPORTの全額をチームに寄付したことの証で、それをこの時期にチームが受け取ったのも、「先に全額振り込んでも、開幕までにシートがなくなることがF1の世界ではよくあることなので、そのへんを確認するために分割した」(可夢偉)ためだった。そして、最後の振込を確認したケータハムが大切な募金を全額受け取ったことを示すために、お礼状という形で声明を出したのである。

 たった1年間の浪人生活だったが、その時間はF1を戦っていたときにも劣らないほど充実しただったのだろう。新しい小林可夢偉に期待したいと感じた開幕戦初日の出来事だった。

■GP直送:
日本人F1ジャーナリストの尾張正博氏がグランプリの現場から、ドライバーやチーム首脳の生の声、パドックを賑わせているニュースの真相、レースのキーポイントやサイドストーリーなどを自身の取材情報からお届けする。2013年はGPインサイドとしてお届けしていた

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