「我々はレース中、ずっと燃料流入量をモニターしている」(チャーリー・ホワイティング/レースディレクター)
2014年の開幕戦は、2位でフィニッシュしたダニエル・リカルド(レッドブル)の失格によって、後味の悪い結末となった。
実はFIAは、2014年から導入される1時間あたり100kgの燃料流量に関して、「いかなる許容も与えない」とグランプリ開幕直前にF1チームに警告していた。これは木曜日に開かれた緊急記者会見でも、レースディレクターのチャーリー・ホワイティングが明らかにしていた。
「レーススタートからチェッカーフラッグまで、いかなる場面、どんな状況でもレギュレーションで定められている100kg/hの燃料流量を超えた場合は、失格処分を科す。我々は燃料流量センサーの正確さに自信を持っている。誤差が生じないよう、燃料が噴射されるインジェクターからのデータを常にモニターし、測定に問題が生じた場合は代替えのシステムも用意している」
さらに、もし燃料流量を違反した場合はどうなるかと尋ねられると、ホワイティングは「燃料流量に関する違反は、他の車検と同じように、レース後に調査を行い、決定を下す」と語っていた。
レッドブルは「FIAが指定する燃料流量センサーは誤差が激しかったため、精度の高い自前のセンサーでFIAが定める数値で燃料流量を測定していた」と弁明し、レース審議委員会の決定に不服申し立てを行っている。センサーの精度に問題があったとすれば、FIAは今後、この問題を改善する必要があるだろう。
しかし、新しくなったレギュレーションの中でも、もっとも重要な位置づけとされている「100kg/hの燃料流量」に関わる部分に、FIAが神経質になっていることはレッドブルも分かっていたはず。にもかかわらず、それを計測するセンサーをFIAの許可なく変更したレッドブルの意図はどこにあったのか? 今後の推移を見守りたい。
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日本人F1ジャーナリストの尾張正博氏がグランプリの現場から、ドライバーやチーム首脳の生の声、パドックを賑わせているニュースの真相、レースのキーポイントやサイドストーリーなどを自身の取材情報からお届けする。2013年はGPインサイドとしてお届けしていた