ウィル・パワーがポールポジションを獲得
武藤英紀は12番グリッド、佐藤琢磨は11番グリッドからスタート

ブラジルのサンパウロで開幕した2010年のIRLインディカー・シリーズは、アメリカ本土に戻っての第2戦を迎えた。一年中温暖なフロリダ半島の西海岸にあるリゾート地、セント・ピーターズバーグのストリートサーキットでのレースだ。

市街地の一般道路と空港の滑走路を利用した1.8マイルのコースは、高速セクションもあるエキサイティングなレイアウト。出場する24人のドライバーたちは金曜日に2回、土曜日に1回のプラクティスを走った後に予選を戦った。

すばらしい好天の下、多くのファンが詰め掛け、その前で予選は行われた。今季もソフトとハードの2種類のタイヤが使える予選は、3段階で争われる。出場全車を2グループに分けての第1ステージ、その上位6人ずつが進んで戦う第2ステージ、そして、最終ステージはトップ6によるポールポジションから6番グリッドまでをかけた戦いである。

2グループに分かれての第1ステージでは、エリオ・カストロネベス(Team Penske)が1グループ目のトップに立ち、2グループ目ではスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)がトップだった。その一方で、2人のポールポジション候補が第2ステージへと進めなかった。開幕戦ブラジルでポールポジションだったダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は予選13番手、昨年のセント・ピーターズバーグ・ウイナーであるライアン・ブリスコー(Team Penske)は予選19番手と、ともに中団及び後方から決勝レースのスタートを切ることとなった。

ファイナルステージへと勝ち上がった6人の中から、開幕戦ウイナーのウィル・パワー(Team Penske)が1分1秒6026=平均時速105.190マイルでポールポジションを獲得。予選2番手はトニー・カナーン(Andretti Autosport)のものとなった。予選3番手はディクソンで、彼の隣りの4番グリッドを手にしたのはジャスティン・ウィルソン(Dreyer & Reinbold Racing)。カストロネベスは最終的に予選5番手で、予選6番手はマルコ・アンドレッティ(Andretti Autosport)のものとなった。

日本人ドライバー2人は、武藤英紀(Newman/Haas/Lanigan Racing)が予選12番手、佐藤琢磨(KV Racing Technology)が予選11番手だった。

武藤は走行初日のプラクティス1回目に5番手タイムをマークする滑り出しのよさだったが、予選直前のプラクティス3回目にクラッシュを喫し、マシンに大きなダメージを与えた。その修理には時間がかかったが、予選開始にはなんとか間に合った。難しい状況下で武藤は第2ステージに進んだが、そこでのタイム更新は果たせず、予選結果は12番手となった。

佐藤は開幕戦に続き、2戦連続で予選の第2ステージに進出。しかし、タイヤが外れるトラブルでフルコース・コーションの原因を作り、ペナルティとしてベストラップ2周がカウントされないこととなり、11番グリッドを獲得となった。

コメント

ウィル・パワー(ポールポジション)
「ここまでのところ、とてもいい週末となっている。昨日、今日ともに先頭を走ることができて、とてもうれしい。予選ではソフトコンパウンドのレッドタイヤの使い方に注意を払った。ポールポジション獲得を目標としていただけに、実現できてうれしい。しかし、もしポールじゃなかったとしても、がっかりはしなかったと思う。大事なのは、マシンの仕上がりが望む通りになることだから。それが今週の我々はできている。明日の決勝レースは天候が大きな影響を与えるかもしれない。雨が降ればスターティング・グリッドなど関係のない、オーバーテイクシーンの多いレースとなるだろう」

トニー・カナーン(2番手)
「昨年と今年で我々のチームは体制が大きく変わっている。そして、それはいい方向に出ている。どこがどうよくなったと具体例を挙げることは難しいが、全体的に雰囲気がよくなっているのは確かだ。フロントローからのスタートは久しぶりになる。予選2番手という結果はとてもうれしい。今日の我々はタイヤでギャンブル的な作戦に出た。ファイナルステージでハードコンパウンドのタイヤを使い、それは成功だった。チームオーナーのマイケル・アンドレッティのアイデアであり、決断だった。決勝ではブラジルの時のように、だれかが後ろからヒットしないよう願っている」

スコット・ディクソン(3番手)
「チームが見事な働きをしてくれた。我々のマシンは7位になるのが精一杯という感じだったが、最後まであきらめずにマシンを向上させようと奮闘した。それが3番手という結果につながった。私は予選より決勝で力を発揮するタイプだと思う。ストリートコースにおいて、この数年、私のパフォーマンスは非常によくない。だから明日の決勝レースは楽しみだ。雨が降る可能性もある。ブラジルのように予想のつかない展開になることも考えられるが、楽しみにしている」

武藤英紀(12番手)
「朝のプラクティスでマシンはアンダーステアが出ていました。修正したところ、コーナーの入り口でマシンの挙動が敏感になり、ターン9の入り口でステアリング操作に過敏に反応して壁に接触し、出口の壁に激しくクラッシュしてしまいました。自分のミスでした。そこまでのラップタイムは10分の2秒も速くなっていて、マシンがよくなっていました。もう予選には出るのは難しいと考えていましたが、チームのクルーたちがものすごいがんばりでスペアカーを用意してくれました。マシンは完ぺきではなかったですが、彼らの働く姿を見て、そのすばらしさ、能力の高さを改めて感じ、自分も持てる力をすべて出しきらなくてはならないと考え、予選を走りました」

佐藤琢磨(11番手)
「チームにとって、とても多くのことがあった一日でした。朝のプラクティスではマシンのバランスが悪く、縁石に乗り上げてしまいました。予選に向けてマシンのセッティングを変更し、バランスがよくなっていたことで第2ステージに進むことができました。ところが、第2ステージではホイールのトラブルでタイヤが外れてしまい、その後のステージでは好タイムを出せずに終わりました。フルコース・コーションを出したペナルティとしてベスト2ラップがカウントされなくなるからです。明日のウオームアップでマシンをまた一段高いレベルに仕上げて、決勝レースでがんばりたいです」

エリック・バークマン|HPD社長
「天候のすばらしさにも助けられ、予選日から多くのファンがサーキットに集まってくれた。24台ものエントリーが集っているのは、インディカー・シリーズにとって最も厳しかったシーズンは昨年で、我々はそれを乗り越えたからだと思う。出場台数の多さは、競争のさらなる激化も生み出している。今日も予選の第1ステージからすさまじい戦いとなり、フランキッティやブリスコーといった強豪たちでさえ、第2ステージに進むことができなかった。もちろん、くじ引きによるグループ分けは常に2グループの競争レベルを均等にせず、今回の場合は第1グループの方が競争が厳しくなっていたという面はあったと思う。明日は雨の降る予報も出ているが、できれば好天の下ですばらしいレースが繰り広げられ、より大勢のファンに楽しんでもらいたいたいと思う」

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