インディカー・シリーズ第6戦テキサス
エリオ・カストロネベス今季2勝目
武藤英紀は電気系のトラブルでリタイア
2009年6月6日(土)
決勝
会場:テキサス・モーター・スピードウェイ(全長1.455マイル)
天候:晴れ
気温:29~32℃
IRL インディカー・シリーズ第6戦は全長1.455マイルのテキサス・モーター・スピードウェイでナイトレースとして開催され、今年のインディ500ウイナーであるエリオ・カストロネベス(Team Penske)が今季2勝目、キャリア16勝目を飾った。
テキサス・モーター・スピードウェイはコーナーにつけられたバンクが24度と急で、超高速の接近戦が繰り広げられることで有名。決勝日、サーキットにはエキサイティングなインディカーのバトルを目撃しようと大勢のファンが集まった。
空が暗くなっていく中、228周のレースにグリーンフラッグは振り下ろされた。スタート時の気温はまだ32℃と高いままだったが、風が吹き、レース観戦と夕涼みを同時に楽しむのにぴったりのコンディションとなっていった。
1周の平均スピードが時速340km以上にもなったレースは、終始、予選2番手だったライアン・ブリスコー(Team Penske)が独走。しかし終盤、土壇場でチームメートのエリオ・カストロネベスが最後のピットストップで逆転し、トップに躍り出た。
カストロネベスは、先頭に立つやさらにスピードアップし、チームメートを振りきった。ブリスコーは0.3904秒差で2位となり、Team Penskeが今季初の1-2フィニッシュを達成した。
3位はスコット・ディクソン(Target Chip Ganassi Racing)で、マルコ・アンドレッティ(Andretti Green Racing)が最終ラップにダリオ・フランキッティ(Target Chip Ganassi Racing)をパスして4位でゴールした。ダニカ・パトリック(Andretti Green Racing)は5戦連続のトップ5入りは惜しくも逃したが、6位となり、今回も上位でのフィニッシュを果たした。
武藤英紀(Andretti Green Racing)は11番グリッドからスタート。アクシデントを起こしそうになったマシンを避けたことで、スタート時に13位まで順位を下げたが、2回目のピットストップを終えるまでに着々とポジションアップ。9位まで大きくポジションを上げてレース終盤を迎えていた。ところが、3回目のピットのタイミングでギアチェンジを行う電気系統にトラブルが発生し、今季2回目のリタイアを喫した。
2009年のインディカー・シリーズは全17戦で争われているが、シーズン序盤の6戦を終えた時点でのポイントリーダーは、優勝1回、2位2回のブリスコーとなっている。3点差のランキング2位はディクソンで、さらに8点差の3位がフランキッティ。カストロネベスは今回の優勝によってトップと13点差の4位へ浮上し、パトリックはひとつ順位を下げたが、ランキング5位につけている。
エリオ・カストロネベス(優勝)
「レース終盤までトラフィックの中を走ることが多く、その間はハンドリングが完ぺきではなかかったために辛抱が必要だった。最後のピットストップで行ったウイングの角度、タイヤの空気圧といったセッティング変更がコンディションに見事にマッチし、今日のレースで最も強敵だったライアン(ブリスコー)を抑えて優勝することができた。Team Penskeが1-2フィニッシュを飾ることができたのは、我々チームメート同士が競い合い、互いを高め合っているからだ」
ライアン・ブリスコー(2位)
「全力を出しきった。最多リードラップを記録した我々のマシンは、今日の出場マシンの中で最速だったはずだ。しかし、エリオ(カストロネベス)に打ち勝つ術を見出すことはできなかった。アウト側のラインでは十分なスピードを手にすることができなかった。あの最後の20周は、私のレースキャリアでも最もフラストレーションの溜まるものだった」
スコット・ディクソン(3位)
「今日のレースはフルコースコーションが非常に少なく、テキサス・モーター・スピードウェイでのレースらしくなかった。Team Penskeの2台は本当にすばらしい走りを見せていた。我々Target Chip Ganassi Racingのマシンも決して悪くはなかったが、彼らと戦うためにはあと少し何かをプラスしなければならない」
武藤英紀(リタイア・21位)
「ユーズドタイヤ装着だった序盤は苦しい走行でしたが、タイヤを替えてから9位までポジションを上げることができました。しかし、3回目のピット作業を終えてコースに戻る時、ギアをセレクトする電気系統にトラブルが出て、1速から動かせなくなってしまいました。リタイアとはなりましたが、3回目のピットストップはとても速かった。2戦続けてミスがありましたが、その問題点をなくすようチームは努力し、ピットストップを向上させてきました」
ロジャー・グリフィス|HPD レース・チームマネジャー
「最後はTeam Penskeのドライバー同士の戦いとなった。ブリスコーはチャンピオンシップを考え、今日のところは無理をしてカストロネベスをパスするのはあきらめたようだった。彼らの後方ではディクソン、アンドレッティ、フランキッティ、パトリック、(ダン)ウェルドン、(トニー)カナーンといった面々が激しくポジション争いを行っていた。インディカー・シリーズにおけるオーバルレースのノウハウを身につけて力をつけてきているKV Racing Technology、Newman/Haas/Lanigan Racingらがここに加われば、5チーム、10台以上によるトップ争いが見られることになる。シーズンが進むにつれ、戦いはますます激しくなるものと期待される」
