DUNLOP SARD SC430
序盤追い上げるも辛酸なめる13位フィニッシュ
2009 SUPER GT 第4戦「SUPER GT International Series MALAYSIA」(6/20~21)
セパンサーキット(1周5.542km)
観客動員:予選8,900名、決勝30,586名 合計39,486名
公式練習走行
6月21日(日)シリーズ唯一の海外戦となる2009 SUPER GT第4戦「SUPER GT International Series MALAYSIA」の決勝が行われ、スタートドライバーを務めた平手が好ダッシュで6周目には10位にポジションアップ。さらに上位ポイント獲得のため前を追いかけていた矢先にグリップダウンが始まってしまいペースが上がらず。その後、一旦抜いたクルマと好バトルを展開し抑えていたが大きくペースダウン。タイヤの状態が良くなく予定よりも早く20周でピットインを強いられた。続いて交代したアンドレも硬めのタイヤで残り周回数から走らざるを得ず、最初からペースが上がらず最後には大きくタイムダウンと辛酸をなめる総合13位でのフィニッシュとなった。ドライバーポイントは獲得ならず(計2点)、チームポイントでは2点(計11点)を加算した。次の第5戦は7月25日(土)・26日(日)にスポーツランドSUGO(宮城県)で開催される。
2009年シーズン序盤の3戦を終え、連続ポイントを獲得しているものの今季最高位が10位と望む結果が得られていないDUNLOP SARD SC430。第3戦富士では序盤は他車と遜色ないペースで走行し、確実に決勝の速さを上げてきてはいるが予選での速さが今一歩足りないところ。今季は予選タイムがを見てもかなり拮抗しており、ほんのコンマ5秒ほどの差で大きく順位が変わるので、あともう少しの頑張りが期待される。第4戦はシリーズ唯一の海外戦であり、赤道間近の灼熱の国マレーシアのセパンサーキットが舞台。中盤から終盤に向けてのターニングポイントであり、第3戦からのインターバルも長くあって今季戦いの仕切り直しの感がある。DUNLOP SARD SC430にとっては中盤戦に向けて、ここで起死回生の上位フィニッシュを果たしたいところ。これまでの戦況ならびにデータを再分析し、様々な対策を講じている。ターニングポイントとなる第4戦へ起死回生を狙い勇猛果敢に臨む。
20日(土)午前中の公式練習走行の天候はセッション開始直後からどしゃ降りの雨に。気温27度/路面温度31度の中、90分間のセッションが10時から開始された。最初の30分間は深溝のウェットタイヤを装着しても低速でハイドロが起きるほど危険なコンディション。まずは平手が数周走って様子を見た後、雨が小降りになるのを待った。今回もセットアップならびに予選アタックを平手に任す戦略。かなりヘビーなウェット状態の時に平手は、その状態の中走行しているクルマの中で上位となるタイムを出し速さを見せた。その後、少し雨が小降りになった時でも上位タイムをマークした。続いて残り十数分ほどでアンドレと交代。アンドレは深溝のウェットタイヤで走行を続けた。この間、他車は浅溝のインターミディエイトタイヤに交換しており、路面の水がはけるに従って上位タイムを刻んでいった。ウェットでの車高感度をチェックしながら最終的に深溝ウェットタイヤの2分16秒845のタイムがベストとなり、午前中の公式練習走行はアウトのインを含めトータル21周の走行にとどまった。
公式予選
20日(土)14時15分からの公式予選1回目開始時には快晴となり、気温33度/路面温度50度と暑さ厳しいコンディションとなった。ドライタイヤでぶっつけ本番の公式予選、最初にアンドレが107%の予選基準タイムクリアのために5周ほど走行。続いて予選アタックを担当する平手がクルマに乗り込んだ。アンドレからのインフォメーションでブレーキング時の不安定感と低速でオーバーステア、中高速は良い感じと平手に伝えられた。平手も4周ほど走行して同じように感じており、低速でのリアの安定感を増すセット調整を行った。再度コースインした平手はセクタータイムを向上させており、調整が良い方向に進んでいることを走りで明らかにした。GT500単独走行までの10分間のインターバルでは、さらにリアグリップを向上させるべく予選用セットの調整を行った。
そして、いよいよGT500単独のセッション開始早々に平手がコースイン。チェッカーまでのラストアタックとなる4周目に、タイヤのグリップが最も良いレベルに高まり各セクターで自己ベストをマークする平手。2分00秒台前半に入れば念願のスーパーラップ進出が叶うポジション。平手は懸命にステアリングと格闘するもオーバーステア傾向が完全に解消されず、コントロールが難しい様子。それでも2分01秒147と混走のセッションよりも約1.7秒ほどタイムアップをしてみせた。今回は混走セッション上位がタイムが伸びずGT500単独の時間帯での順位変動が大きく最後まで予断を許さない戦況。平手は他車とのギャップを大きく詰めるもスーパーラップ圏内に入ることは叶わず。苦難の道のりが続く公式予選の結果は総合14番手となった。
決勝
■フリー走行
21日(日)決勝前のフリー走行開始時点の気温30度/路面温度34度。しかし、昨日の公式練習走行時のように雨雲が立ちこめて雨がぽつりぽつりと降り始めた。10時45分からコースインが始まったが、雨が強く降り始めて昨日のように瞬く間に雨が路面を濡らした。今回、今季初めてスタートドライバーを務める平手がドライタイヤでコースインしており、直ぐピットに戻されウェットタイヤと交換。8周走行してアンドレと交代した。アンドレもウェットタイヤの感触を確かめる程度にとどまり6周を走行してフリー走行を終了。フリー走行では平手のマークした2分04秒009の10番手タイムとなった。サーキットサファリではアウトラップに激しく雨が降り始め、平手がピットインすべくスローダウンして戻っていたが最終コーナーで深い水溜まりにのってしまい、なすすべ無くコースオフ。他車も同じ場所にストップしておりクルマを痛めなかったのが幸いとなった。
■決勝スタート
21日(日)午後のスタート時には灼熱のセパンの暑さが戻って、降雨の後ともあって非常に蒸し暑くなった。夕刻16時とあって少し和らいだ気温30度/路面温度47度の中でスタートが切られた。今回スタートドライバーを務める平手は後方からの追い上げを狙って闘志満々。速さは申し分ないものを持っている平手に大きな期待がかかった。前走車に追従して走る平手のペースは良く、ほぼ同ペースで周回を重ね、6周目には同じダンロップタイヤを履く32号車を華麗にオーバーテイクし、10位にまでポジションを上げた。期待通りの走りを見せる平手の走りにピットもこれからの展開に期待を膨らせた。さらに上位ポイントを奪取するべく、平手は猛チャージを続けた。
好ペースで走るも、まさかのグリップダウン
上位グループと同等以上のペースの平手は、9位を走る35号車に肉迫していく。だが、300クラスをラップダウンする10周目過ぎから、まさかのグリップダウンが始まってしまいペースがダウン。上位から見る見るうち離されてしまいそうになりながらも、ステアリングと格闘する平手は何とか踏みとどまっていた。一旦抜いた32号車に追いつかれてしまったがライン取りをうまく取って抑える平手。最終コーナーでは一瞬抜かれたがクロスラインで見事に抜き返すパフォーマンスを見せた。だが、その後もグリップダウンは大きく進んでしまい、平手の頑張りとピットの期待も18周目の2コーナーでオーバーテイクを許し、ついえてしまうことに。そしてタイヤの状態が良くないことから、予定より早い20周目でのピットインを強いられる結果となった。
続いて交代したアンドレは、残り周回数が多いことから燃料搭載量も多く、タイヤも硬めで走らざるを得ず、最初からペースが上がらず苦戦。それでもGT300クラスをラップダウンする際の落ち込みを極力少なくするクレバーな走りのアンドレ。無理をしながら走るペースにも限界があり、GT500クラス上位にラップダウンされる際にも道を譲らなければならず、ラップタイムは落ち込む一方となった。そして残り十数周で大きくグリップダウンが始まってしまい、第2スティントも苦難の展開となった。
今季はテスト機会が少なく、また今回のセパンではドライでの練習走行が天候から叶わずデータが少ない。とはいえ他のクルマと同じ条件。グリップダウンでペースを失う辛酸をなめるスティントが繰り返された結果、総合13位でのフィニッシュとなった。ドライバーポイントは獲得ならず計2点のまま。チームポイントでは2点(計11点)を加算した。より良い方向を狙って挑戦は続けているが、いばらの道が続いているDUNLOP SARD SC430。次の第5戦は7月25日(土)・26日(日)にスポーツランドSUGO(宮城県)で開催される。
平手晃平
「予選の悪かったフィーリングも解消され決勝は序盤のペースが調子良く、順位も上げられ前についていけたので、これはイケるかな思っていたのにグリップダウンが始まってしまい非常に悔しいです。テスト機会が少なく、開発で遅れている分を取り戻すのは並大抵ではないですが何とか頑張って次のレースでは上位に入りたいです」
アンドレ・クート
「ロングスティントのため硬めのタイヤを装着したけど最初からグリップがないままの走行で終盤はタイヤが厳しくなってしまった。フラストレーションがたまるレースとなって残念だ。我々に足りない何かをコツコツと埋めていくしかないけど道のりは険しい。実戦での良い結果が欲しい。次回SUGOではそれが叶うと願っている」
