■LEXUS TEAM SARD RACE REPORT
DUNLOP SARD SC430
波乱のPokka GT決勝、不屈の走りで7位フィニッシュ

2009 SUPER GT 第6戦「38th INTERNATIONAL Pokka GT SUMMER SPECIAL」(8/22〜23)
鈴鹿サーキット(1周5.807km)
観客動員:予選24,000名、決勝34,000名 合計58,000名
8月23日(日)、伝統的な真夏の祭典となるSUPER GT第6戦「Pokka GT SUMMER SPECIAL」の決勝が行われ、13番グリッドからスタートしたDUNLOP SARD SC430は、アクシデントやセーフティカー導入など波乱に満ちた過酷な700kmのレースを不屈の走りで生き残り、総合7位でフィニッシュした。ドライバーポイントでは4点を獲得しランキング12位(計21点)に、チームポイントでは7点を加算し11位(計36点)となった。次の第7戦は9月12日(土)・13日(日)に富士スピードウェイで開催される。

公式練習走行
一意専心で臨んだ第5戦SUGOではドライ、ウェットとも会心の走りで2位表彰台を獲得したDUNLOP SARD SC430。後半戦に向けて幸先良くシーズンを折り返し、残り4戦でさらに上位を目指して行く意気込みで迎える第6戦は鈴鹿サーキットが舞台。真夏の伝統ある本レースは、レース距離が700kmとなっている。また予選方式も従来のスーパーラップではなく、F1同様のノックダウン方式で2人のドライバーともアタックを行うなど、公式予選・決勝とも一層の戦略が重要なポイントとなる。暑さとともに急な天候の変化もレースを左右し難しくする要因となってくる真夏の耐久。チームはシリーズに組み込まれる前の2005年Pokka 1000kmレースで総合優勝も飾っており、今の上り調子の勢いでSUGOに続いて2戦連続表彰台を狙っていく。

22日(土)午前中の公式練習走行の天候は、海風が吹けば心地良いが蒸し暑い曇りがちな晴れ。気温33度/路面温度41度の中、1時間45分のセッションが10時40分から開始された。今回はノックダウン予選で2人のドライバーがアタックする。まずは平手がクルマとタイヤのフィーリングチェックを1周走行。若干Gのかかるコーナーでリアのブレークが早めの前後バランスとのことで、リアの安定を増すセット調整を行って再びコースイン。タイムは他車と比較しても遜色なく前戦の調子の良さをキープしている様子。ペースを上げていきロングランを始めた矢先に痛恨の出来事が起こってしまった。デグナー2つめのトンネル手前のアウト側縁石に勢い余って乗ってしまいバランスを失った平手は単独スピンオフ。アウト側のガードレール部分にフロント部をヒットしてしまった。このため直ぐにピットに戻って修復を始めたが時間内に終えることは出来ず。公式練習走行は10周目にマークした1分58秒606の13番手と出遅れる形となった。

公式予選
22日(土)14時40分からのノックダウン公式予選セッション1開始時点は気温32度/路面温度42度のコンディション。午前中の公式練習走行14周目のアクシデントのダメージは見た目以上に広範囲で修復に時間がかかった。セッションが始まってアンドレがコクピットに乗り込み、解き放たれるのをウズウズと待つ時間が続いた。セッション1開始から10分が経ちアンドレはようやくコースイン。3周目には難なく107%の予選基準タイムをクリアしたアンドレ。続いてセッション1でアタックを担当する平手と交代。アンドレからアンダーステアとインフォメーションを受けてた平手は、公式予選最初の30分間の混走のセッションで1分59秒192の10番手タイムとまずまずのタイムをマークしてみせた。

惜しくも公式予選セッション2進出ならず
15時30分からGT500クラス単独の10分間のセッション1が、気温32度/路面温度38度の中で開始された。各車とも12台枠に入るべく緊張のアタック合戦が繰り広げられ、早々にコースインした平手は3周目に1分57秒795の暫定10位タイム。しかし他のクルマも軒並みセクター自己タイムをマークしているので最後まで予断は許さない状況。平手も他車のタイムを聞きながら午前中の借りを返すのはコース上でと渾身の走りを続けた。4周目もセクター1、2、3とフルマークで自己ベストを更新。セッション2進出の期待を背に最後のセクター4・最終コーナーを駆け抜けた平手の目の前でチェッカー。タイムは1分57秒320と自己ベストをマークしたが、わずかコンマ3秒ほど及ばず結果は13位となった。

■ミラクルナイトセッション
決勝は19時頃のフィニッシュであるため、特別に18時から30分間の夜間フリー走行「ミラクルナイトセッション」が設けられている。練習走行・予選と不本意な結果で実力を発揮できずデータも十分に取れていない苦境から抜け出すため、我々にとっては非常に重要なセッションとなった。気温30度/路面温度34度と路面温度が下がった中で、まずは今回走行が数周となっているアンドレからスタート。アンドレはユーズドタイヤながら見えにくい薄暮となったコースを攻め立て、意地の1分58秒682の5番手タイムをマークしてみせた。その後もコンスタントに58〜59秒台でラップを重ね、10周を走って平手と交代。平手も5周ほど夜間の確認を無事に終えた。失意の予選からは2人ともすでに気持ちを決勝に切り替えており、2戦連続表彰台を狙う気持ちは衰えるどころか、苦境を跳ね返す意志の強さを持って、より高まった心境で決勝を迎えた。

決勝
■フリー走行
23日(日)決勝前のフリー走行開始時点の気温33度/路面温度46度とこれまでよりも路面温度が高く、ジリジリと日差しが照りつける天候の中で10時10分からスタートドライバーを務めるアンドレが距離を走ったユーズドタイヤでロングランの感触を確かめる走行から始めた。アンドレは1分58〜59秒台でまずまずのラップタイム。路面コンディションが変わっているようで少し違うフィーリングを訴えたが8周走行して平手と交代。平手もフリー走行6周とサーキットサファリ4周を走って現在のフィーリングをチェックした。終始データ取りに専念しアンドレのマークした1分58秒991の10番手タイムとなった。フリー走行後は雲が広がり始め日差しは和らいだ。また15時スタートでもあることから、その時の路気温によるクルマのバランスがカギとなりそうな決勝前のフリー走行となった。

■決勝スタート
23日(日)午後のスタート時には大粒の雨がぱらついてきた。ウェザー情報からは雨は少なく降り続かないとのことからドライタイヤのまま。気温31度/路面温度42度の中で700kmの長丁場のスタートが整然と切られた。後方からの追い上げを期して、チャンスが訪れるのを待つ序盤。アンドレは隊列から引き離されることなく13位のポジションのまま周回を重ねていった。ラップタイムは1分59秒台から2分01秒の範囲をキープして淡々とした出だしとなった。

淡々としたレース前半は12位に
21周目に最後尾の17号車がスプーンでアンドレに仕掛け一旦抜かれてしまうが、すぐさまシケイン進入でインにラインを取ったアンドレが順位を奪い返す攻防がありレースは少しづつ動きが始まった。このころになるとスタートでソフト系タイヤをチョイスしたチームがピットインを始めたがペースの安定しているアンドレは走行を続け、28周を終え9位でピットイン。40秒ほどで、そつなくピット作業を終えコースに平手を送り出した。全車ピットインを終え順位が落ち着いたが、この最初のピットインではNSX勢がリア2輪交換のみを敢行しており、そろって順位を上げていた。13位で走行する平手は前とのギャップを聞きながら12位の12号車とのギャップをクレバーな走りで削っていく。そして62周目に予定通りにピットイン。再びアンドレにステアリングを託した。

波乱のレース後半を生き残る不屈の走りを見せる
レース後半はまさに波乱に満ちた展開となった。トラブルで脱落するクルマを筆頭に荒れ始め、彼方此方で小競り合いが始まった。12位に浮上していたアンドレは、混乱を余所に安定した粘走を続けていたが、84周目思いも寄らない事態となった。パンクからスロー走行していた8号車が130R出口で炎上ストップ。緊急事態のためセーフティカー(SC)が導入された。我々にとっては前との差がすべて帳消しとなる。SCが隊列を整えスタートを切り、それからレース再開と同時に激しい順位争いが起きるのは必至であり緊迫した雰囲気にサーキットが包まれた。またSC導入中の最初に大挙ピットインでの混雑、給油作業中のクルマの火災発生、マシントラブルから修復を余儀なくされるクルマと、コース上だけでなくピットレーンでも混乱が続いた。態勢が整ったSC導入の次の周にピットインしたDUNLOP SARD SC430はタイヤ交換に若干とまどったが前をいくクルマとの差を失うことはなく隊列に復帰し、交代した平手に残りの周回での上位奪取に期待をかけた。

冷静ながら内に闘志を燃やし再スタートで弓矢のように解き放たれた平手のポジションは8位に。さらに上位を狙う平手は1号車を追いかけ始めた。ギャップを削りながら不屈の走りで差を詰めた平手。薄暮となった104周目には離れたギャップをコンマ4秒にまで縮める勢い。ペースアップを図る1号車を逃すまいと追いすがる平手であったが周回遅れにブロックされ離されてしまった。しかし、その間にドライブスルーを受けた36号車の前に出ていた平手は7位。そして今度はその36号車が平手の背後に猛烈なペースで追い上げてきた。平手は1号車の追い上げから一転、7位防御の状況に。負けじとプッシュを続ける平手に36号車は夕闇となった最終ラップでまさに背後に。そして最後のシケイン進入で仕掛けられた大一番で平手は見事に防御を果たした。

アクシデントやセーフティカー導入など波乱に満ちた過酷な700kmのレースを持ち前の不屈の精神で生き残り、総合7位でフィニッシュしたDUNLOP SARD SC430。ドライバーポイントでは4点を獲得しランキング12位(計21点)に、チームポイントでは7点を加算し11位(計36点)となった。次の第7戦は9月12日(土)・13日(日)に富士スピードウェイで開催される。

アンドレ・クート
「このレースウィークは出遅れたけどポイントを獲得できたことは幸いだった。シリーズ後半戦に入ってさらに厳しい戦いが続くだろうが頑張っていきたい」

平手晃平
「出だし遅れるきっかけを作ってしまい迷惑をかけてしまいました。決勝では何とか7位を確保でき、またペースも安定して他車とのバトルもセクター1では優っていたので、だいぶ手の内に入ってきた感じです。これからも応援よろしくお願いします」

加藤眞 総監督
「この週末は練習走行のアクシデントから立ち直り、ドライバーやスタッフの粘りで7位という結果で得られた様々なことは、残り3戦の戦いの中できっと活きると思っています。まだまだ伸びしろがあるので、精進してランキングを上げていきたい。次の富士はクルマもドライバーも相性が良いので期待して応援いただければと思います」

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