5月のインディ500より5週連続でレースが開催されているIZODインディカー・シリーズ。アイオワ・スピードウェイで行われた第9戦の予選レースをダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)が制しポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン)は、予選第1グループのレースに出場し24番手グリッド。昨年はポール獲得も今年は苦しみ下位から決勝に挑む。
今回のアイオワ戦では、予選レースを導入し、インディーカー・シリーズは新しい試みをトライした。
2回目のプラクティスでのラップタイムでグループ分けはなされ、出場25台を3グループに分けそれぞれ30周のレースを行いグリッドを決定する今回の予選。この分け方が、上位8人とそれ以外‥‥というもので、ポールポジションを争えるのはトップ8に入れた者だけとなる。9位以下の奇数順位のドライバーたちは予選レース2で戦い、10位以下の偶数順位組が予選レース1を走るのだが、それらの2レースでは、それぞれ9位以下、10以下のグリッドを決まるだけなのだ。
予選レース1では、スタートでほぼすべての順位が決まってしまった。レース中に見られたオーバーテイクはJR.ヒルデブランド(パンサー・レーシング)がEJ.ビソ(KVRT
)をパスしただけだった。
予選レース2 では、トップスタートだったルーベンス・バリチェロ(KVTRT)がアレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)に抜かれ、さらにタグリアーニはトニー・カナーン(KVRT)にパスとトップ交代のオーバーテイクシーンが2つも見られることになった。
注目のトップ8による予選レース3、トップのマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポーツ)はスタートダッシュをうまく決めたが、6周目に早くもフランキッティに横に並ばれ、7周目にはトップを明け渡してしまった。彼はタイヤを酷使したのか、15周目にはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)の先行も許した。
その後方ではジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポーツ)がウィル・パワーとライアン・ブリスコーとチーム・ペンスキーのふたりをパスして4番手スタートの権利を手に入れる活躍を披露した。3レースともイエローフラッグはなし。アクシデントもリスタートもないままゴールを迎えた。
初めての予選レース開催をフランキッティは喜んでいることだろう。彼はボーナスの1点を稼ぐこともできた。ヒンチクリフもふたつのポジションアップを果たした。キャサリン・レッグ(ドラゴン・レーシング)もプラクティス23位から予選19番手へと大きくジャンプアップに成功している。
「プラクティス2ではトラフィックに詰まってタイムが出せず、トップ8に入れないところだった。残り2分でピットに入り、新しいタイヤに交換して良かった。何とかギリギリで2位のタイムを出せた。チームの好判断だった。予選レースではアウト側からマルコ・アンドレッティをパスできた。すぐ前のレースでトニー・カナーンがアウトからオーバーテイクしているのを見てたので、外も走れるようになってるんだろうとわかった。レース方式の予選の方が断然エキサイティング。すべてのオーバルコースに適しているとは思わないけれどね。ミルウォーキーはシングルカーの方が、少なくとも僕にとってはいい」とフランキッティは語った。
逆に予選レースで悔しい思いをしたのは、トップから3番手に落ちたマルコ・アンドレッティがその代表だ。パワーは4位から6番手、バリケロも9位から13番手に落ちた。
カナーンはプラクティス15位から9番手となったが、エンジン交換のペナルティがあるのでスターティンググリッドは19番手に下げられる。ビソもレイホールも同じペナルティを受けることで、女性ドライバーのレッグのスターテイング・グリッドは16番手にまで上がることになる。
佐藤琢磨は、思わぬ苦境に陥っている。昨年のアイオワではインディーカー初のポールポジションを獲得したというのに、今年のマシンはセッティングでライバル勢に遅れをとっている。それは、彼らがテキサスでのレース後にテストを行えかったからだ。テキサスでアクシデントを起こし、マシンを修理する必要があったために彼らはテスト参加を見送った。
プラクティス1を走り出すと、セッティングの悪さはミルウォーキーやテキサスと同様か、それ以上だった。プラクティス2では繋がっているはずのロールバーが外れていたため、貴重な走行時間が無駄になり、収集できたデータも少なくなってしまった。
それでも琢磨は、「レース方式の予選があるので、そこで更にデータを得られる」とポジティブに考えていたが、実際には予選レース1を8番手スタートでそこから順位を上げることができなかった。同じくハンドリングで悩むエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)にも離されるほどマシンの状態は良くなかった。
「自分たちとしてはマシンのセッティングで大きな進歩を遂げたんだけれど、もっとスピードアップしないと。マシンがぜんぜん戦える状態になっていない。今日のデータをすべて今晩集めて、明日のセッティングをどうするかを考えます。レースは夜のスタートなので、今日の予選レースまでとはコンディションが異なるので、それが良い方に出るといいんですが‥‥」と琢磨は語っていた。