2012年F1第8戦ヨーロッパGPは現地時間24日にスペインのバレンシア・ストリート・サーキットで57周の決勝レースが行われ、フェラーリのフェルナンド・アロンソが今季2勝目を挙げた。ザウバーの小林可夢偉はリタイアに終わった。
戦前の予想通り路面温度45度とタイヤに厳しいコンディションとなった日曜のバレンシア市街地。体調不良のティモ・グロック(マルシャ)を除く23台が参加した決勝レースは、好スタートを切ったポールポジションのセバスチャン・ベッテルが序盤からハイスピードで周回を重ね、2番手ルイス・ハミルトン以下を大きく引き離す展開となった。10周目、3番手に浮上していたロメイン・グロージャンがハミルトンを交わして2番手に浮上するが、すでに首位ベッテルとの差は10秒まで広がっていた。
上位勢は15周前後で1回目のピットストップを敢行。序盤ハイペースのベッテルは当初3回ストップの可能性も指摘されていたが、レッドブルはグロージャンと同じ17周目にピットイン。これでレースの主導権を完全に握ったベッテルはその後もグロージャンとの差を20秒近くまで広げ、今季2度目のチェッカーに向けて万全の体制を敷いた。
しかしレースは中盤、誰もが予想しなかった事態の連続で急展開を見せる。28周目のケータハムとトロロッソの接触でセーフティカーが出動し、ベッテルの大量リードが一気に失われてしまうと、上位勢はその間に2回目のピットストップを実施、ここで3番手のハミルトンにまたもピット作業のミスが発生し、代わって3番手にはアロンソが浮上する。
すると今度は、レース再開周の34周目にアロンソがグロージャンを交わして2番手へ浮上。そして、ここでなんとトップ快走のベッテルが突如スローダウン、完全にマシンを止めてしまった。
これでトップに立ったフェラーリのアロンソは、そこから2番手のグロージャンと接近戦を展開することになったが、そのグロージャンも41周目にオルタネーターのトラブルで戦線から離脱。8人目のウイナー誕生の可能性もここでついえた。終わってみればアロンソが母国スペインで今季2勝目を達成し、ドライバーズ選手権でも再び首位に返り咲いた。
2位はロータスのキミ・ライコネン。3位は、残り2周で3番手ハミルトンと4番手パストール・マルドナドが接触し、ハミルトンはリタイア。マルドナドもマシンにダメージを負って後退したため、終盤フォース・インディアを交わしたミハエル・シューマッハーが、F1復帰後初となる3位表彰台を手にした。
ザウバーの可夢偉は、スタートで4番手にポジションを上げ、表彰台の可能性を一気に広げたものの、1回目のピットストップでタイムロスを喫して6番手に後退。すると、21周目にブルーノ・セナと接触してポジションを大きく落とし、さらにセーフティカー明けの攻防でフェリペ・マッサと接触してリタイアに。なお審議の結果、この接触は可夢偉に非があると判断され、彼は次戦イギリスGPでの5グリッド降格を言い渡されている。