2009年F1第13戦イタリアGPの決勝が終了し、表彰台に上った3人のドライバー、ルーベンス・バリチェロ、ジェンソン・バトン、キミ・ライコネンをはじめ、各ドライバーたちが、それぞれのレースについて語った。
2009年F1第13戦イタリアGP日曜日ドライバーズコメント
1 ルイス・ハミルトン(マクラーレン) 決勝12位
最適な戦略をとっていなかったので、2回ストップをうまく機能させるためにかなりプッシュしなければならなかった。可能な限りマシンから速さを引き出していたし、僕自身全くミスをしなかった。最終ラップまではね。残念だけど、こういうこともある。レーシングアクシデントだよ。あのラップではジェンソンに追いついてKERSで彼を抜こうとして、信じられないぐらいプッシュしていたんだ。そしてレズモのひとつめのコーナーを立ち上がったら、マシンのリヤのコントロールが失われて、後ろからウォールに突っ込んだ。チームには“ごめんね”としか言いようがない。彼らは素晴らしい仕事をしてくれた。僕らは今日はブラウン勢ほど速くはなかったけれど、僕はかつてないほどにハードにプッシュしたから、それについては満足していいと思う。
2 ヘイキ・コバライネン(マクラーレン) 決勝6位
今日の結果にはとてもがっかりしている。スタートで苦戦して、1周目の間にいくつかポジションを落とした。プライムタイヤが全くグリップしなくてアタックできず、ファーストスティントではあまりプッシュできなかった。オプションに履き換えたセカンドスティントでは状況はよくなったけれど、その時にはファーストスティントで失ったタイムを取り戻すには遅かったんだ。
3 ジャンカルロ・フィジケラ(フェラーリ) 決勝9位
フェラーリとの最初のレースウイークエンドの流れには満足している。スタートでいくつかポジションを上げることができたが、その後ベッテルとの間で厳しい瞬間があった。アスカリへの進入で彼がドアを閉めたんだ。なんというか、かなり強引なやり方でね。ファーストスティントでは、ソフト側のタイヤで快適に走れた。でもハード側のタイヤのときは、特にピットストップ直後に少し苦戦した。惜しいところで入賞を逃すことになって悔しい。でも今日の午後はベストを尽くした。フリー走行3回目でコースオフしたことには苛立ちを感じるね。そのせいで予選に向けて十分な用意ができなかったんだ。もう少し上のグリッドからスタートしていたら、トップ8以内でフィニッシュできていたかもしれない。明日の朝からはシンガポールのレースへの準備に完全に集中するよ。あそこのコースは大好きなんだ。
4 キミ・ライコネン(フェラーリ) 決勝3位
今回はかなりの幸運が必要ではあったけれど、また表彰台に乗ることができて嬉しい。選手権のためにも、僕らのためにも、ここモンツァに来てくれたファンのためにも、いい結果だ。スタートをうまくきめ、もう少しでハミルトンをパスできそうなところまでいった。でももしオーバーテイクできていたとしても、最終的な結果は変わらなかっただろう。優勝を争えなくてがっかりしているが、僕らには十分な速さがなかった。全体的に見て、レース前に選んだ戦略は僕らにとって最適なものだったと思う。スーティルとのバトルにおいては、全く苦しむことはなかった。僕はただミスを避けて、マシンからできる限りのパフォーマンスを引き出して走るだけでいいと分かっていたからね。タイヤについて? 僕らにはソフト側のタイヤの方が合っていたね。ハード側を履いているときの方が少し辛かった。特にスティントの最初がね。今後のレースではベストを尽くせるよう努力する。何戦かは優勝争いもできるんじゃないかな。
5 ロバート・クビカ(BMWザウバー) 決勝リタイア
とてもいいスタートをきめて、最初のブレーキングポイントの前にはかなりいいポジションにいた。マーク・ウエーバーの左にいたんだが、彼は僕を全く見ていなかったんだと思う。ブレーキングの時に、マークが僕をコース外に押し出した。コースになんとか戻れたけれど、僕らは1コーナーで接触した。ロッジアで彼はアウト側にいて、僕より少し前に出ていた。最初のエイペックスに入る時、ついてないことに僕はまた彼を避けることができなかった。フロントウイングにダメージを負ったけれど、マークとのバトルの時なのか、僕が縁石にヒットしたのか、はっきりとは分からない。でも、レースを続けることはできて、フロントウイングにトラブルを抱えていたにもかかわらず、セバスチャン・ベッテルを抜くことができた。でも安全上の理由から、数周後にウイングを換えなければならなくなった。そして最終的にはオイルリークのためにリタイアすることになった。
6 ニック・ハイドフェルド(BMWザウバー) 決勝7位
全体的に満足している。僕にとっては素晴らしいレースだったよ。7位フィニッシュというと、たいしてよくは思えないかもしれないけれど、15番グリッドから7位というのは、今日僕が達成できた精いっぱいの結果だ。スタート自体は全くよくなくて、いくつもポジションを落としかけた。でもその後、1コーナーでアウト側にいたマシンを1台抜いて、シケインではヤルノ・トゥルーリのインに入ってオーバーテイクした。3周目にはジャンカルロ・フィジケラも抜いた。彼はKERSを持っていたから、無理だと思っていたんだけどね。その後、セバスチャン・ベッテルの後ろを走行し、燃料をセーブし始めた。そしてピットストップを終えた時点で、僕は彼の前に出ていた。ルイス・ハミルトンが最終ラップでクラッシュするまでは8位だったけれど、そのクラッシュで1ポイント余計に稼ぐことができた。
7 フェルナンド・アロンソ(ルノー) 決勝5位
今日の結果にはとても満足している。ただ、スタートではKERSは期待ほどの効果を発揮してくれなかったね。レースで僕はいいペースで走れたし、マシンの動きは完璧で、戦略もとてもうまくいった。5位フィニッシュというのはいい結果だけれど、今季残りの目標は表彰台を1回、あるいは優勝を1回達成することだ。
8 ロメイン・グロージャン(ルノー) 決勝15位
今日のレースにはとてもがっかりしている。スタートがとてもひどかったので、原因を調べてみなければならない。第1シケインで少し接触があって、その後のレースでずっとダメージを負ったマシンで走らなければならなくなった。おかげで状況は苦しかったし、全くポイントを獲ることができなかった。今の課題は、前進し続けること、そして予選でフェルナンドに近づけるようにトライすることだ。
9 ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ) 決勝14位
難しい決勝になると予想したが、その通りになった。決勝のほとんどを中嶋(一貴)の後ろで過ごすことになり、もっと速く行けると思ったが、追い抜くのは難しかった。終盤は、正直、刺激が少なく、チャンスを果敢に狙った。ほんの狭いスペースを見つけてすぐに突っ込み、ブレーキをかなり遅らせた。仕掛けたものの、そこに十分なスペースはなく、ついてないことに縁石にぶつかり、ティモと少し競うことになった。ティモとの競り合いはとても楽しく、エンジョイできた。僕は常に外側のラインにいたが、少しでもアクションを取るほうが良かったので戦い続けた。結局は、11位か14位かはあまり大きな違いではない。そうでもしないと僕にとってはエキサイティングなレースにはならなかったので、トライした。
10 ティモ・グロック(トヨタ) 決勝11位
狙っていた結果ではなかったが、少なくともバトルを展開できた。ピットインからトラックに戻った時、すでにヤルノとのバトルは始まり、僅差で彼が前に出た。それから終盤、彼が中嶋一貴を追い抜こうとするのが見えたが、ヤルノは縁石に当たりバウンスして大きく膨らんだ。僕らは素晴らしいバトルを繰り広げ、正々堂々と戦った。結局、僕が内側にいて、戦いを制した。全体的にこのレースの特性を最大限に活かすことは決してたやすいことではなかったが、シンガポールGPのトラックはまた違い、クルマも少し改良するので、十分なチャンスがあるはずだ。
11 ハイミ・アルグエルスアリ(トロロッソ) 決勝リタイア
ピットスタートだったので、少なくともオープニングラップのトラブルは避けられた。僕のレースは順調に進み、ブエミの後ろを走っていた。でもその後、ギヤボックスにトラブルが発生し、リタイアすることになった。金曜にも他のトラブルがあったし、週末のスタートがよくないときに悲惨な結果に終わるのは珍しいことじゃない。完走できなくてとてもがっかりしている。マシンでできるだけ多くの距離を走行することが、僕にとってとても重要なのにね。
12 セバスチャン・ブエミ(トロロッソ) 決勝13位
後方からスタートするレースは楽ではない。でも僕のラップタイムは速くて安定していたと思うよ。特にセカンドスティントがよかった。だからそこそこ満足しているんだ。この後は、ここより少し低速でテクニカルなコースが続き、もっとダウンフォースをつけて走ることになる。その方が僕らがうまくやれるかどうか、楽しみにしていよう。最近大きく進歩しているチームがいくつかあるけど、僕らがギャップを縮められるかどうか、見ていくよ。
14 マーク・ウエーバー(レッドブル・レーシング) 決勝リタイア
そこそこのスタートをして、シケインを抜けるのにいいラインを探していた。セバスチャンが前にいて、彼とは絡みたくなかったので、トラブルを避けてかなりうまく走った。僕らはファーストシケインを抜け、僕は次のコーナーに向けてセバスチャンの後ろを走っていた。そしたらロバート・クビカとのレーシングアクシデントが起きてしまった。セカンドシケインで彼のフロントホイールが僕の左リヤの内側に入り込んだみたいだね。彼がそこにいるのを知るのは難しかった。僕らは接触し、マシンが少し跳ね上がって、その後ガードレールの方に突っ込んだ。マシンにダメージはなかったけれど、そこから抜け出してコースに戻ることができなかった。他にどうしようもなかった。マシンを用意するためにチームの皆が頑張ってくれたのに、こんな小さな事故でリタイアすることになって残念だ。ドライバーズ選手権にとってもいいことじゃない。でもこれは僕にとって今年初のDNFなんだ。僕らはここから挽回し、シーズン終盤戦で自分たちにできることをしていくよ。
15 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・レーシング) 決勝8位
スタートはうまくきめたし、1周目はうまくやれたと思う。でもその後、前のマシンについていけなくなった。今日一番の問題は、最初の5周から10周にグリップが低くて苦戦したことだ。スライドしまくって、大幅にタイムをロスした。全体的に見て僕らには速さがなかったし、たぶんここは僕らのマシンにとって最高のコースというわけではなかったんだ。次のレースではまたダウンフォースをもっとつけて走るから、調子はよくなるんじゃないかな。楽しみにしていよう。選手権は終わっていない。僕らの目標はベストを尽くすことだ。僕らはレースと選手権で勝利を収めるためにここにいる。それに集中しなければならないし、僕らにできるのはそれだけだ。
16 ニコ・ロズベルグ(ウイリアムズ) 決勝16位
チームにとってひどい週末だった。まず、プラクティスの最初から速さが足りなかったし、レースでもたくさんの問題が発生した。1周目はうまくいき、左から右からオーバーテイクし、4つポジションを上げた。その後デブリが左フロントに当たり、マシンのフィーリングが突然がらっと変わって、ひどいアンダーステアになった。それでタイヤがパンクしたのかと思い、ピットに入りたいとチームに言った。実際にはエアロバランスが大きく損なわれてしまってグリップがひどく低下していたんだ。でもそれも辛い週末のほんの始まりにすぎなかった。今日のことは忘れてしまって、次のレースのことに頭を切り替えた方がいい。次はうまくやれるはずだよ。
17 中嶋一貴(ウイリアムズ) 決勝10位
今日は、予選のパフォーマンスを考えればいいポジションでフィニッシュできたと思う。最初のいくつかのコーナーで順位をふたつ上げられたが、それが大きかった。レースペースは十分とはいえなかったけれど、何周かいいラップタイムを出すこともできたし、グロックをおさえきれたのもよかったと思う。ただしグロックは僕よりピットストップが後だったんだけどね。マシンからもっと速さを引き出す必要がある。でもシンガポールは僕らにとっていいレースになるはずだよ。
20 エイドリアン・スーティル(フォース・インディア) 決勝4位
すごいレースだったし、マシンはとても好調だった。スタートでキミと彼のKERSボタンを相手にポジションを守るのはかなり難しいことは分かっていた。その後、レースの間中彼の後ろを走ることになった。僕はすごく速かったけれど、このサーキットではKERSの効果が大きくて、どうしても抜く方法を見つけることができなかった。2回目のピットストップでは、ピットレーンで彼の前に出るチャンスがあったので、ものすごくプッシュしたんだが、ボックスに入る時に少しブレーキを踏むのが遅れてしまった。停止位置がずれてしまったことを、メカニックたちに謝らなきゃならないね。それでも彼らは素晴らしい仕事をしてくれた。レースペースは一貫してとてもよかったけれど、最終的には2ストップより1ストップの方がよかったね。でも僕らは大量にポイントを獲ることができたから、自分自身にとっても、サーキット、ファクトリー、風洞のチームスタッフ全員にとってもよかったと思ってものすごく喜んでいるよ。
21 ビタントニオ・リウッツィ(フォース・インディア) リタイア
ついにレースに戻ってきた。100パーセントの力を尽くしたよ。僕らは一切ミスをしなかったし、すべてが完璧に進んでいて、とてもいいポジションを走っていた。でも残念だけどこれもレースだ。めったにないトラブルが起きてしまった。トランスミッションからノイズがし始めて、その後、駆動力を失ってプッシュできなくなった。それもレースだけれど、今まで僕らには信頼性のトラブルが起きていなかっただけに残念だ。でもこういうこともある。シーズン最後まで諦めずにいくよ。たくさんのポイントを獲りたいと思っているし、僕らにはそれが可能だと信じている。
22 ジェンソン・バトン(ブラウンGP) 決勝2位
今日はとてもいいレースをした。また表彰台に乗ることができて最高の気分だ。今週末チームとルーベンスは素晴らしい仕事をしたね。今シーズン2勝目を挙げたルーベンスにおめでとうと言いたい。マシンは週末を通してとても好調だった。レースの間ずっとバランスがよかったので、重要な場面で速いラップタイムを安定して出すことができた。土曜の予選で選んだ戦略はパーフェクトだったし、1周目にヘイキの前に出ることができたのは僕のレースにとって間違いなく重要なことだった。レース終盤にルイスが後ろからかなりプッシュしてきたけれど、彼をおさえきることができると確信していた。このサーキットはKERSをもってしてもオーバーテイクするのはかなり難しいからね。ブラウン・メルセデスが極めて優れたマシンであることを証明することができたし、それはこの2カ月ほどの間に懸命にマシンをインプルーブしてくれたチームのおかげだよ。今シーズンはかなりエキサイティングな形で幕を降ろすことになりそうだ。僕ら全員、とても楽しみにしているよ。
23 ルーベンス・バリチェロ(ブラウンGP) 決勝1位
僕にとってモンツァは昔から素晴らしいコースだった。ここでまた勝てるなんて本当に素晴らしい気分だよ。今週末は僕らはとてもいい決断をして、金曜に行った作業が今日の結果を達成するためのキーとなったね。KERS搭載車を相手にしなければならないために予選を戦略的に考える必要があった。そして1ストップ戦略をとったわけだけど、これがとてもうまくいった。僕はとてもいいスタートを決めてヘイキの前に出た。その後、僕らの前からスタートした2回ストップのマシンに勝つために必要な速さを発揮できた。これほど素晴らしいマシンとエンジンをデザインし、作り、開発してくれたファクトリー、このサーキット、ブリックスワースのメルセデス・ベンツ・ハイパフォーマンス・エンジンズで働くすべてのスタッフに心から感謝したい。僕は今、最高のメルセデス・ベンツ・エンジンを積んだ最高のマシンを走らせている。そしてチームは素晴らしい仕事をしている。この後の数戦、健全で素晴らしい選手権争いが展開されていくだろう。すごく楽しみだね。3戦中2勝を挙げてとても順調にいっているので、これからも全力を尽くしていくよ。最後に、この勝利を息子のエドアルドとフェルナンドに捧げたい。ふたりは今月誕生日だったんだ。
