テキサス・モーター・スピードウェイで開催されているIZODインディカー・シリーズ第8戦。7日に行われた予選は、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今季2度目のポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(AJフォイト)は、ギヤボックスのトラブルで予選アタックできず23番手となった。

 デトロイトのストリートバトルから一転、今週のインディカー・レースはテキサス・モーター・スピードウェイのハイバンク・オーバルが戦いの舞台だ。24度の急なバンクを持つ全長1.5マイルのオーバルでの予選は、2連続周回でのスピードを競うインディ500以外のオーバルで採用される方式だ。

 日中の暑さまっただ中の午後3時半に予選はスタートし、エントリー24台のうちの22台がアタックを敢行。ポールポジションはパワーのものとなった。

 2デーイベントでは走行時間が3デーイベントより当然少なくなる。今週のテキサスもプラクティスは予選の前に1回しかスケジュールされていなかった。プラクティス1回目のベストはマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)による217.950mphだった。しかし、予選は完全な単独走行。プラクティスとは異なる、より攻めたセッティングでの走りになる。

 午後3時半に予選開始。最初に走ったEJ.ビソ(アンドレッティ・オートスポート)は217.244mphをマーク。「全然マシンは自分の望むものになっていなかった」と不満顔だったが、彼のトップがしばらく続いた。

 昨年度テキサス戦ウイナーのジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン)は、プラクティスでのハンドリングトラブルが深刻でほとんど走れておらず、予選にはウイング・パッケージが違うというのに去年のセッティングで出走した。ビソより10mph近くも遅い207mphという数字が彼らの置かれている状況の厳しさを表していた。

 トリスタン・ボティエ(シュミット・ピーターソン)はプラクティス中に使っていたエンジンが規定の2,000マイルに到達したのでエンジンを交換。その作業を急ぐよりは慎重、確実に行うべきとの考えから予選出走をギブアップした。

 佐藤琢磨(AJ・フォイト・レーシング)はプラクティスで出たギヤボックスのトラブル修理に時間がかかり、予選アタックを行う意思があったものの、残念ながら間に合わなかった。

 ふたりがアタックを行わなかったことで7番目にコースインしたのがアンドレッティ。彼は217.533mphでトップに躍り出たものの、その数字にはまったく満足していなかった。「ギヤが合ってなくて1ラップ目にハード・リミッターを作動させてしまった。アレで1mphは失った」とガックリ肩を落としていた。それでも最終的に予選2番手を獲得。彼にとって今年の予選ベストリザルトとなった。

 8番目にアタックしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)は216mph台にとどまり、インディ500ウィナーで、予選前のプラクティスで2番手につけていたトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)は9番目にアタックし、プラクティスよりも遅い215.474mphしか出せなかった。

 10番目に走ったジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)が216.693mphでホンダ勢のトップに躍り出、次にコースインしたチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ)は先輩チームメイトのディクソンより速い216.570mphをマークした。

 そして12番目、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がコースへ。しかし、彼のアタックは217.100mph止まりで、この時点ではアンドレッティ、ビソに続く3番手となった。

 次にアタックしたのがパワー。他のドライバーたちは217mph台が精一杯という状況で、彼は2ラップ平均を219mph台に乗せた。このスピードには、とうとう最後まで誰も手が出せなかった。20番目に走ったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は217.524mphで予選3番手。ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)はハンター-レイの直後のアタックで217.502mphを出し、ホンダ勢トップをニューガーデンから奪い、4番グリッドを手に入れた。

 パワーだけが突き抜けたスピードを見せた予選だった。開幕戦セント・ピーターズバーグに続く今年2回目のポールポジションは、通算31回目でフランキッティとセバスチャン・ブルデーに歴代7位で並んだ。

「レース用セッティングでのマシンもとても良かったが、予選でのマシンも1周ずっと全開で走れるものになっていた。ギリギリまで攻め込んだ空力セッティングに完璧なギヤリングだった。去年はポールを獲り逃したが、今年は手に入れることができた。明日、勝てるマシンに仕上がることができている自信もある」

「ダウンフォースの少ないマシンで、それをドライバーたちがコントロールする。このスタイルのレースが僕は大好きだ」とパワーは自信のほどを見せていた。

 予選トップ3はパワー、アンドレッティ、ハンター-レイの順でシボレー勢が独占。ホンダ勢はフランキッティが4番手、ニューガーデンが7番手、キンボールが8番手、先週のデトロイトで2位フィニッシュしたジェイムス・ジェイクス(レイホール・レターマン・ラニガン)が10位だった。

 佐藤琢磨(AJ・フォイト・レーシング)は、チームにとって地元のテキサスでの予選でアタックを行えなかった。アタック順が5番だったのも不運で、アタック順で受ける車検に間に合わず数分の差で予選に出場する権利を失った。

 琢磨は予選23番となったが、その後にエンジン交換のペナルティによる10グリッド降格がシモーナ・デ・シルベストロ(KVレーシング・テクノロジー)とサイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)に科せられるとの発表があり、グリッドは21番手に上がった。

「開幕戦のセント・ピーターズバーグの後にテキサス・モーター・スピードウェイでテストをしました。しかし、その時は凄く寒かったのに、今日は暑いコンディション。その上、タイヤが違うんですよ、テストの時と今週末とで……」と琢磨。

 スペックの違うタイヤでのテストでは、収集したデータの意味が大幅に損なわれる。プラクティスで感じたマシンの違和感も、タイヤの差による可能性が考えられた。「そんな状況だというのに、プラクティス中にギヤボックスにトラブルが出てしまった。非常に厳しい状況です」

 予選で走行できなかった。これも琢磨陣営にとって苦しい現実となった。「予選を走ってマシンの状況を確かめたかった。夕方のファイナル・プラクティスは30分しかなく、セッティングをアレコレ変えている時間はありません。トラフィックでのハンドリングもチェックしなければならない。その前に、自分たちとしてはマシンを問題なく走らせることが大切になりますね」と彼は話していた。

 今季初のナイトレースとなる第8戦テキサス。決勝は現地時間で19時40分からスタートする。

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