第17戦 ヒューストン(テキサス州)
予選(10月5日)1位:今季初のポールポジションを獲得
決勝(10月5日)17位: ヒューストンのレース1は17位に終わる
本日行われたシェル・アンド・ペンゾイル・グランプリ・オブ・ヒューストン・レース1の予選において佐藤琢磨はポールポジションを獲得し、久しぶりにレースの現場に復帰したA.J.フォイトを温かく出迎える形となりました。ヴェリゾンP1アワードを勝ち取るのは、琢磨にとってもチームにとっても今季初のことです。
本大会ではノックアウト方式による通常のファイアストン・ファスト6は行われず、12台ずつ2グループに分かれての予選セッションが実施されました。セッションは各12分間で、グリーンの状態が最低でも5分間は保証される形式です。このセッションで琢磨は最速タイムを記録し、ポールポジションを勝ち取りました。琢磨がポールポジションを獲得したのはインディカー・シリーズで3度目のこと。チームにとっては1999年にビリー・ボートが勝ち取って以来の記録となります。
レース1はスタンディングスタートで幕を開け、琢磨は順当にトップの座を守りました。しかし、スタートでエンジンをストールさせたドライバーに他のドライバーが接触したため、コース上にマシーンの破片が散らばり、イエローが提示されます。このとき、琢磨は破片を拾ってしまい、タイアがパンク。7周目にはタイア交換のためにピットストップを行うこととなりました。
素早いピット作業により琢磨は12番手でレースに復帰。各車がピットストップを始めた段階では11番手となっていました。琢磨は39周目にピットストップ。それまで履いていたオルタネートのレッドタイアからプライマリーのブラックタイアに履き替えます。90周のレースの65周目に再びイエローが提示されたとき、琢磨は12番手につけていました。ここで数台のマシーンがピットストップを行ったため、琢磨は順位を4つ上げることに成功。琢磨はその後のリスタートでも8番手を守っていましたが、73周目にアクシデントに遭遇することとなります。ふたりのドライバーとバトルをしていた琢磨は、ターン3の出口でアウト側に押し出される格好となり、タイアバリアに接触してしまったのです。
この後、チームはノーズを交換して琢磨をコースに送り返しましたが、82周を走りきったところでレースを戦い終える形となりました。琢磨はこのレースで17位となり、ポイントスタンディングでは16番手に後退しました。
この後、日曜日の朝にレース2の予選を行い、同じ日の午後に決勝のスタートが切られます。
佐藤琢磨のコメント
「(ポールポジションを獲得できたことで)素晴らしい1日の始まりとなりました。No.14のマシーンを再びグリッドの上位に並べることができて、本当に嬉しく思います。大きな進歩を果たした昨日に続き、今朝の10分間のフリープラクティスでもマシーンを煮詰めていきました。リザルトを見ればわかるとおり、予選に向けてぴったりのマシーンに仕上げることができました。ABCサプライ・ホンダのマシーンで限界まで攻めることができたことが、ポールポジション獲得につながりました。チームのホームレースでこのような結果が残せたことを嬉しく思います」
「決勝のスタンディングスタートではトップを守ることができましたが、残念ながらストレート上でアクシデントが発生してしまいます。マシーンを回収するためにイエローが提示されていたとき、マシーンの破片を踏んだことで右リアタイアがエア漏れを起こしていることが判明しました。そこでタイア交換のために早めのピットストップを行わなければならなくなります。これで大変厳しいレースとなりましたが、その後も数台のマシーンとバトルを繰り広げました」
「非常にいいスタートが切れたのに、とても残念な結果に終わってしまいました。明日はもっといい結果が残せることを期待しています」
第18戦 ヒューストン(テキサス州)
予選(10月6日):雨で予選はキャンセル。15番グリッドからスタート
決勝(10月6日)14位:最終ラップでアクシデントによりリタイア
シェル・アンド・ペンゾイル・グランプリ・オブ・ヒューストンのレース2で、佐藤琢磨は6月以来となる久々のトップ10フィニッシュを目前にしていました。
予定されていた今朝の予選は強い雨のためにキャンセルとなり、スターティンググリッドはポイントスタンディング順とされました。
最初のスタンディングスタートでエンジンをストールさせ、最後尾からのスタートを余儀なくされた琢磨は7番手で90周のレースの最終ラップを迎えます。ここで琢磨はコース上のマーブルに乗ってウォールに接触。レースに復帰しようとする琢磨の脇を数台のマシーンが通過していきました。この後、大きく回り込むブラインドの右コーナーに進入したところ、琢磨はひどいオーバーステアに見舞われました。
その原因は、左リアサスペンションのトーリンクが曲がっていたことにあったと思われます。琢磨のマシーンが横滑りしそうになっていたとき、後方からダリオ・フランキッティが迫ってきました。フランキッティは琢磨のマシーンを踏み台にするようにして空中に舞い上がると、キャッチフェンスに激突し、路面に落下しました。琢磨のマシーンにはさらにEJ.ヴィソも衝突しましたが、幸い、ふたりのドライバーにケガはありませんでした。
フランキッティは地元の病院に運ばれ、骨折した右足首の手術を受けました。この手術は成功裏に終わりました。さらに彼は脳しんとうと背骨の骨折も負っていましたが、こちらは手術の必要がないと判断されました。
アクシデントの際にパーツの一部がキャッチフェンスを乗り越え、13人の観客が負傷しました。うち2人は病院に搬送されましたが、命に別状はないとのことです。その他の負傷者はサーキットのメディカルセンターで処置を受けた後、帰宅しました。
佐藤琢磨のコメント(観客の負傷についてはまだ聞かされていない段階のもの)
「難しい週末でした。エンジンをストールさせてしまったので最後尾からのスタートとなりましたが、トップ10まで挽回できました。チームのピット作業も素晴らしく、レース終盤は力強い走りができました。ところが最終ラップでマーブルに乗ってウォールに接触し、勢いを失ってしまいます。ここで数台のマシーンに抜かされた後、右コーナーのターン5に進入したところ、ひどいオーバーステアに見舞われ、ダリオと接触してしまいました。とても残念な出来事でした。ダリオが無事であることを祈っています」
(AJフォイト・レーシングのプレスリリースより)