新型シャシー、新型エンジン3種で争われる今年のインディカー・シリーズ、その最初の予選でポールポジションを獲得したのは、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。全長1.8マイルのコースで記録されたベスト・ラップは1分1秒3721。去年のポール・タイム=1分1秒9625を楽々破った。新シャシーと新エンジンのコンビネーションは、まだ最初のレースだというのに、すでに昨年までのマシンを明確に上回る性能を手にしており、トップ3までが去年のポール・タイムを上回った。

「インディーカーへと戻って来たシボレーに最初のポールポジションをプレゼントできたことを嬉しく思う」とパワーは喜んでいた。「チームのハードワークが実った。この冬の間、ずっと頑張ってきたことが報われた。この2年間、逃しているタイトル獲得にロジャー・ペンスキーも強い意欲を持っている。今日、僕らは素晴らしいスタートを切ったが、まだレースウィークエンドは始まったばかり。レースに向けて良い作戦を立てることが必要だ」

 全員が同じダラーラ・シャシーを使う中、初お目見えでのエンジンの競争ではシボレーに軍配が上がった。予選のファイナル・ステージで争った6人のうちの5人がシボレー・ユーザーで、彼らがトップ5グリッドを独占したのだ。もちろん、今回のポールポジション及び予選成績は、エンジンのパフォーマンスだけによって決定されたものではない。開発スタートで出遅れたロータスは、今もまだ若干の遅れをとっているようだが、ホンダとシボレーに関しては非常に性能は接近している。ホンダはシングルターボ、シボレーとロータスはツインターボと、エンジンの根本的な部分が異なっていながら、ほぼ同じ性能が引き出されているのだ。
 今日の予選でエンジンパフォーマンスの果たした役割も十分に大きいだろうが、それ以上に各チームのシャシーセットアップが重要だった。その点においてチーム・ペンスキーはライバル勢に対するアドバンテージを持っていたようで、パワーがトップ、ライアン・ブリスコーが2位につけ、エリオ・カストロネベスも5位を確保と、トップ5にチームの3名全員を食い込ませたのだった。

 シボレー勢ではアンドレッティ・オートスポートの奮闘もあった。ストリートでキレのある走りを見せて来ているライアン・ハンター-レイが予選3位を獲得し、昨年度ルーキー・オブ・ザ・イヤーのジェイムス・ヒンチクリフも4位につけて喝采を浴びた。彼は予選Q2でトップ・タイムをマークしてもいた。

 ホンダ勢で唯一ファイナル・ステージに進んだのは、ルーキーのサイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)だった。プラクティス3でトップ・タイムを叩き出していたのは、まぐれでも何でもなかった。彼は昨日のエンジン交換があるため、ペナルティで6番手グリッドを手放し、10グリッド降格となるが、予選までのパフォーマンスは素晴らしく、レースでの活躍も期待される。
 ホンダ勢の誤算は、4年連続でチャンピオンを出して来ているチップ・ガナッシ・レーシングが、誰もファイナルまで進めなかったところだ。スコット・ディクソンは7位とギリギリでファイナル進出を逃した。ダリオ・フランキッティは意外にもQ2で10番手に入るに留まった。その他のQ2進出者は、グレアム・レイホールが11位、マイク・コンウェイが12位だった。

 エントリー台数がライバル2社の約半分の5台しかいないロータスは、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ/アガジェニアン)の17位がトップだった。セバスチャン・ブルデイはQ1のグループ62でアクシデントを起こし、ベスト2ラップを没収されたために最下位の26位となった。ロータス・ドラゴン・レーシングは女性ルーキー・ドライバーのキャサリン・レッグもQ1のグループ1でタイヤ・バリアに突っ込んでマシンに小さなダメージを与え、予選順位はブルデイのひとつ上の25位となった。

 3シーズン目をレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍して戦う佐藤琢磨は、3回のプラクティス終了時点では18番手と苦戦しており、予選ではソフトコンパウンドのレッドタイヤの性能を引き出してポジションアップすることが期待されていたが予選順位は15位となった。パジェノーが16番グリッドまで下げられるため、琢磨は14番グリッドへとひとつ繰り上がって7列目アウト側、14番グリッドからスタートを切る。隣りはルーベンス・バリチェロ(KVレーシング・テクノロジー)だ。
「予選に向けて自分たちとしては進歩を果たしてました。レッドタイヤに対するセットアップ変更も良いものになっていたと思います。しかし、あと少しの伸びが足りておらず、Q2に進めませんでした。3回のプラクティスと予選でかなり多くのセットアップを試したので、そのデータをもう一度見直したい。レッドとブラック、どちらのタイヤも経験したので、決勝でのセットアップがどういうものになるべきかも見えています。ピットストップも大事だし、フルコースコーションなどに対応した作戦も重要なレースになると思います」と琢磨は話していた。

■インディカー開幕戦セント・ピーターズバーグ 予選タイム結果はこちら

本日のレースクイーン

葵くみあおいくみ
2025年 / スーパーGT
チームマッハ 2025 エアバスター アンバサダー
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年7月号 No.1609

    【特集】LE MANS 2025
    “史上最混戦”の俊足耐久プロト頂上決定戦

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円