デトロイト市ベルアイルパークで開催されているベライゾン・インディカー・シリーズ第6、7戦。1日に行われたレース2の決勝は、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が今季初勝利を飾った。2位にはウィル・パワーが入り、ペンスキーが1-2。ポールスタートだった佐藤琢磨(AJフォイト)は、他車に追突され18位でレースを終えた。
3日連続の晴天。そして、週末いちばんの暑さの中でデトロイトでのレース2は始まった。
3番手からスタートしたカストロネベスは、グリーンフラッグ直後にジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)を抜いて2番手に上がり、11周目のピットストップでポールシッターだった佐藤琢磨の前に出た。
このタイミングではステイアウトしたチームがあったため、カストロネベスが早々とトップにに立つという展開にはならなかったが、スピードの合った彼は28周目にレースリーダーとなり、そこから先はライバルたちをまったく寄せ付けない速さを見せつけた。
今日の彼に追いつける者がいたとしたら、それは琢磨だったはずだ。しかし、彼は35周目にライアン・ブリスコ(チップ・ガナッシ)に追突されてスピンを喫し、優勝のチャンスを失った。
レース終盤に逆転優勝のチャンスを得たのは、昨日のレースウイナー、ウィル・パワーだった。しかし、パワーをもってしても今日のカストロネベス攻略は不可能だった。リスタートで軽く突き放し、そのまま余裕を持ってカストロネベスは今季初優勝のチェッカーフラッグを受けた。これは彼にとってキャリア29勝目、歴代11位で、チーム・ペンスキーの大先輩であるリック・メアーズに並んだ。
昨日のレース1ではパワーが16番手から優勝したが、それは作戦も有利に働いての勝利だった。昨日もライバル勢を驚かせる速さを見せていたカストロネベスは、今日もそのスピードを保ち、作戦も正解を選べたことで圧勝を飾った。昨日に続き、最多リードラップも記録している。
「昨日はフラストレーションの溜まるレースだったが、今日こうして勝つことができて本当に嬉しい。僕らのマシンが大変速いものに仕上がっていることは、昨日のレースで証明してあったとおり。その力を今日も僕らは発揮し、勝利に結びつけることができた。シボレーの地元で勝てたことが嬉しいし、チーム・ペンスキーが2レースとも勝ったのだから最高だ」とカストロネベスは語った。
チーム・ペンスキーにとって、今日の勝利はデトロイトでの5勝目となった。カストロネベスはそのうちの3勝を挙げている。
3位はチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ)のものとなった。最終ラップにジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)がアタック。ふたりは接触し、ヒンチクリフは5位に順位を下げてのゴールとなった。4位を手に入れたのは最後尾スタートだったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)だった。キンボールの3位は今季最高。彼にとってキャリア4回目の表彰台フィニッシュだった。
インディ500優勝でポイントリーダーとなってデトロイト入りしていたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、昨日のレース1が最終ラップでのアクシデントもあって16位、今日のレース2ではマシントラブルに見舞われて19位と散々な週末を送り、ポイントリードは2レースで優勝と2位と荒稼ぎしたパワー(326点)のものとなった。しかも、カストロネベスが307点にポイントを伸ばしてランキング2位へと浮上。ハンター-レイは2レースで25点しか得られず、合計299点で3位に後退した。
琢磨はブリスコーにぶつけられた後にも11番手まで挽回した。今日の彼には素晴らしいマシンが与えられていたのだ。しかしレース終盤、65周目のリスタートの後にマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)に接触されタイヤバリアに突っ込み、1ラップ遅れの18位でのゴールとなった。アンドレッティはこのアクシデントに対して、自らのミスを認めている。ハンドリングがルーズな、手に負えないマシンとなっていたためだったということだ。ブリスコは、琢磨との追突に関してミスを認めるコメントをしていない。