デトロイト・ベルアイルパークで開催されているベライゾン・インディカー・シリーズダ第6、7戦。31日に行われたレース1決勝は、予選16番手から追い上げたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が今季2勝目を飾った。佐藤琢磨(AJフォイト)は、ギヤボックストラブルにより後退し、18位でレースを終えた。

 アメリカ自動車産業の首都、シボレーにとっては地元であるデトロイトでのダブルヘッダー戦。その最初のレースではウィル・パワーが優勝した。

 16番手スタートからの勝利は、レース展開と作戦が見事にマッチしたことと、ブラックタイヤ装着時のマシンの仕上がりの良さがポイントとなっていた。

 ポールスタートからエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は悠々とトップを守り続けた。しかし、ピットストップのタイミングとイエローフラッグのタイミングが噛み合ず、アドバンテージを作り上げてもそれが消え去り、少ないピット回数でゴールまでを走り切る正攻法を勝利に繋げることができなかった。

 パワーはレース序盤の6周目、サイモン・ペジナウ(シュミット・ピーターソン・ハミルトン)のアクシデントで出されたフルコースコーション中に最初のピットインを行った。このイエロー、実はパワーとペジナウが接触して起こされたものだった。

 パワーがレッドタイヤで走ったのはここまでで、そこから先、レースの大半を彼はブラックタイヤで走り切った。彼はブラック装着でライバル勢を凌ぐ速さを手にしていたのだ。

 16周目には2回目のイエローが、マイク・コンウェイ(エド・カーペンター・レーシング)のクラッシュで出された。ここでトップグループはピットに入り、序盤にピットインを一度行っているパワーたちはステイアウト。予選順位の悪さを吹き飛ばすことに成功した。

 パワーたちはこの後にグリーン下でピットストップを行い、予選上位陣が再びレースのイニシアチブを握った。しかし、その次にジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)のアクシデントで、広がった差はまた小さなものになった。

 この時の37~43周目のイエローは、ピットに入ってももう一度ゴールまでに給油を行わねばならないタイミング。ほとんどのチームがここでピットストップを行わなかった。もちろんここで給油をし、燃費レースをトライするチームも出現した。ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン)とマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)、そしてルーキーのカルロス・ヒュータス(デイル・コイン)だった。

 44周目のリスタート。トップはカストロネベスで、2番手はジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)と予選通りのオーダー。3番手は予選10位だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)で、4番手は予選11位だったルーキーのカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)だった。パワーはここで5番手につけていた。
 
 そしてカストロネベスたちは46周目辺りから2度目のピットストップを行い、順位を下げた。パワーも53周目に最後のピットストップ。しかし、彼は4番手でコースに戻ることに成功。この時カストロネベスは8番手を走り、立場は完全に逆転していた。

 レースもいよいよ終盤。ライアン・ブリスコ(チップ・ガナッシ)がトップに立つ。しかし、彼はあと1回ピットに入らなくてはならない状況で、トップを明け渡すのは時間の問題だった。

 パワーは60周目に元チームメイトをパスしてトップへ。その次の周にはグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)がブリスコを抜いて2位へと浮上し、パワーにアタックした。

 残り10周、ここからはもう完全にパワーとレイホールの一騎打ちとなった。そして、パワーが経験の差を見せつけ、レイホールは経験の無さを露呈した。

 プッシュ・トゥ・パスの残り数は、最後のリスタートを迎えた時点でレイホールが5回も残していたのに対し、パワーは3回しかなかった。ところが、レイホールはそれを有効に使うことができず、逆に差を広げられてしまった。残り5周で差をつけられたレイホールは焦り、パワーは相手との間隔を保ち続ける走りに転換。余裕を持って戦っていた。

 最終ラップ、1回だけ残していたプッシュ・トゥ・パスを残りコーナーがふたつというところで押したレイホールだったが、優勝に向けて最後のハードプッシュを行っていたパワーはレイホールに接近を許さず、0.3308秒差で優勝した。

「最後はレイホールからの攻撃を受け続けていた。こんなに素晴らしい勝利を挙げることができて本当に嬉しい。この勝利はチームオーナーでイベントのプロモーターでもあるロジャー・ペンスキー、そしてチームのクルーたち、スポンサーのベライゾンに捧げる」とパワーは喜んでいた。

 3位は8番手からスタートしたトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)。4位は燃費作戦を成功させたウィルソンで、ポールのカストロネベスは5位だった。

 佐藤琢磨は、序盤にギヤボックス・トラブルが発生し、そのリペアのために4周をロス。レースに戻ったのは明日の第2レースに向けたデータ収集を行うためで、18位でゴールした。

 2012年のエンジン競争再開以来、シボレーは地元デトロイトで初めての勝利を飾った。今シーズンの彼らにとっては3勝目。インディ500まで3連勝を飾ったホンダと勝ち星で並んだ。

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