ザ・ミルウォーキー・マイルで開催されたIZODインディカー・シリーズ第7戦ミルウォーキーは、19日に決勝が行われ、ポールからスタートしたダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)が優勝。最多リードラップも奪い、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)と並んでランキングトップへ。予選5番手スタートだった佐藤琢磨(KVレーシング/ロータス)は、一時周回遅れになるも8位でレースを終えた。
正午前まで雨が降っていたミルウォーキーだったが、雨が上がると路面が乾くのは早く、レースは曇り空の下、スケジュール通りの午後3時にスタートした。
全長1マイルのコースを225周して争われるレースは、ポールポジションからフランキッティがリードを続けたが、レースが折り返し点を過ぎた辺りからペースダウン。後ろからペースを上げていたトニー・カナーン(KVレーシング/ロータス)がトップを奪う。
しかし、カナーンはターン4で単独クラッシュ。ピットストップでトップへと飛び出し、彼の前を走っていたエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が周回遅れに追いついた時、一気に差を詰めようとアクセル・オンを焦ったようだった。
この時、カストロネベスは不運にも左リヤタイヤにスローパンクチャーを起こしており、フランキッティを追うのを諦めてピットイン。カナーンが消え、カストロネベスも大きく後退した状況で、フランキッティに敵はいなかった。
ピットストップでの調整によって彼はレース序盤のハイペースを取り戻しており、若手チームメイトのグラハム・レイホールを悠々と突き放してシーズン3勝目を挙げた。この勝利は彼にとってインディカーでの29勝目で、テキサスでジョニー・ラザフォードを抜いたフランキッティは、今日の勝利によってリック・メアーズに並ぶ歴代9位となった。
3位でゴールしたのはオリオール・セルビア(ニューマン・ハース)だった。レース序盤に4位まで浮上したが、ピットストップで12位までポジションダウン。そこから諦めることなく表彰台にまで挽回した彼の走りもまた見事だった。ニューマン・ハース・レーシングはルーキーのジェイムズ・ヒンチクリフも6位フィニッシュという素晴らしい結果を手にしている。
パワーは予選17位から粘り強くゴールまでマシンを運び、4位を得た。今回は優勝争いを行えるマシンに仕上げることができていなかったが、シリーズポイントでのダメージは最小限に抑えたといえるだろう。しかし、フランキッティがポールポジション、最多リードラップの両ボーナスも獲得し、1レースで得られる最大の53ポイントを獲得したことにより、ふたりは271点の同点でトップに並ぶこととなった。
「父の日のプレゼントを用意していなかったから、今日の僕は勝たなくちゃならなかった。今回も父がレースに来てくれていたから。今日のレースは本当にハードだった。1周たりとも気を抜くことができなかった。マシンのバランスが悪くなった時、どんな調整を施すかの判断が難しかった。優勝し、ポイントでもトップタイに並べて本当にうれしい」とフランキッティは語った。
佐藤琢磨はスタートで予選順位と同じ5位を保ったが、50周を過ぎた辺りからタイヤの消耗が激しくなったために9位まで後退。そして、1回目のピットストップでは目の前をいくスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)と接触。リードラップの最後尾である14位までポジションを下げ、ペナルティも課せられて1周のラップダウンに陥ってしまった。
しかし、126周目に他チームがピットインした際にコース上に残った作戦が成功する。チームメイトのEJ.ビソが164周目にクラッシュしたフルコース・コーションでピットインすると琢磨はリードラップにと戻った。
その後はライアン・ブリスコ(チーム・ペンスキー)、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポーツ)をバトルの末にパス。ディクソンにはパスを許したが、最後は食い下がるカストロネベスをオーバーテイクボタンを巧みに使うことで封じ込め、8位まで挽回しゴールした。
「スタート直後のペースは良かったんですが、タイヤの消耗が激しくてペースが下がり、そこへEJが無理にインに入ってきたこともあってポジションを大きく落としました。ピットストップではディクソンとぶつかって、ドライブスルーのペナルティも受けたことで周回遅れになってましたが、フルコース・コーション2回をうまく利用してリードラップに戻れました。最後まで激しいバトルが続いて、今週は本当に多くの良い経験を積むことができたと感じています」と琢磨は話していた。
チームメイトふたりはアクシデントでリタイアしたが、琢磨は周回遅れの不利を跳ね除けて8位という結果を掴んだ。今年の琢磨、そしてKVレーシング・テクノロジー・ロータスは去年より確実に良い戦いぶりを見せて来ている。