カリフォルニア州ロングビーチで開催されているベライゾン・インディカー・シリーズ第2戦。12日に行われた予選は、ライアン・ハンター-レイがポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(AJフォイト)は、セッション1を通過できず15番手となった。

 インディカーの予選はストリートコースとロードコースでは3段階で構成される。第1ステージのグループ分けは走行初日のプラクティスタイムの奇数順位、偶数順位で行われる。

 10分間の予選第1ステージは、気温が摂氏17度、路面46度というコンディションでスタートした。まずは全員がハードコンパウンドのブラックタイヤでコースイン。1ラップ計測を行って長いレッドフラッグに備えた後、ピットでソフトコンパウンドのレッドタイヤに交換するチームが多かった。

 直前のプラクティス3で2番手タイムを出していたジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー)が4周目にレッドで1分8秒2079という素晴らしいタイムでトップに立った。それを上回ったのはハンター-レイの1分8秒0667だったが、セバスチャン・ブルデー(KVSH)が1分8秒を今週初めて切る1分7秒9060のベストでトップとなった。

2番手にはジェームズ・ヒンチクリフ(アンドレティ・オートスポート)が1分7秒9328でつけ、3番手はジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン)の1分7秒9777だった。ニューガーデンは1分8秒0558で5番手、ステージ2に進める最後のスポット、6番手には最終ラップでオリオール・セルビア(RLLR)が滑り込み、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ)が7番手へと押し出された。琢磨も8番手で第2ステージ進出に失敗した。

 琢磨はどれだけ良いラップを出していても第2ステージに進めない状況に陥っていた。開幕戦でポールポジションだった琢磨は、今回はいちばん前のピットボックスを使っているのだが、彼はそのアドバンテージを使って予選にも先頭を切ってコースインし、いちばん最初にレッドタイヤでのコース復帰を果たしていた。それは非常にタイミングの悪いものとなってしまった。

 琢磨がレッドタイヤでのアタックを始めた際、ハンター-レイはブラックタイヤでのアタックを続けていた。「あわよくばブラックでのQ1クリアを」との狙いからだろう。そして、彼はアタックラップ中に最終コーナー手前で琢磨の背後に迫り、進路妨害を訴えたのだ。インディカーがそれを認めたため、琢磨はペナルティとして自己ベスト2ラップを取り消され、その上に第2ステージへの進出権を失ったのだ。

 いずれにせよQ1のグループ1から大きな番狂わせがあった。開幕戦で予選2番手だったカナーン、PPだった琢磨、好調と映っていたマイク・コンウェイ(EDレーシング)が敗退したのだ。

 続いて行われたQ1のグループ2も意外な結果となった。最初に1分8秒台を出したのはファン・パブロ・モントーヤ(ペンスキー・モータースポーツ)だった。次にトップに立ったのはルーキーのミハエル・アレシン(SMPレーシング)で、その後もトップが次々入れ替わった。そして驚くべきことに、最終的にトップに立ったのはルーキーのカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)で、タイムは1分7秒8746という素晴らしいものだった。

 2番手はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、3番手はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)のものとなり、4番手はサイモン・ペジナウ(シュミット・ハミルトン)、5番手はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)で、6番手はルーキー、ジャック・ホークスワース(BHA)だった。このグループでは朝のプラクティス3でトップタイムをマークし、ポールポジションの最右翼となっていたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が敗退した。ロングビーチでのPP獲得経験を持つライアン・ブリスコ(チップ・ガナッシ)もQ2進出を逃した。

 Q2進出を果たした12人のうち、9人はホンダユーザーだった。シボレーは3人だけ。そして、このQ2も最後まで決着の読めないエキサイティングな戦いとなっていた。

 好調ニューガーデンが5周目に1分7秒9105をマーク。それを上回ったのはブルデーで、タイムは1分7秒7913だった。チャンプカー時代からロングビーチを得意とするブルデーがトップでQ2は終了。2番手は1分7秒8592だったペジナウ。3番手はニューガーデンで、4番手はハンター-レイ、5番手がホークスワースで、6番手はヒンチクリフだった。

 ディクソンが0.0298秒差で敗退。アンドレッティ、カストロネベス、ウィルソンもQ2止まりとなった。ガナッシとペンスキーの2強が、今回は予選ファイナルにひとりも進めることができなかった。ホークスワースはルーキーながら、驚異的激戦を勝ち抜いてファイナル進出をデビュー2戦目にして果たした。

 ファイアストン・ファスト・シックスと呼ばれる6名によって争われるQ3は、ユーズドのレッドタイヤでの戦い。計測開始と同時に走り出すチームは少なく、1周か2周のフライングラップに勝負を賭ける作戦に出るところが多かった。

 このセッションも10分間。ブルデーは6分以上が経過したところで1分7秒9580でトップに立った。しかし、それでは十分ではなかった。ヒンチクリフが1分7秒9403を出して逆転トップ。それを最後の最後でハンター-レイが更に逆転、1分7秒8219でポールポジション獲得を決めた。

 3周だけの走行。2周でウォームアップし、最後の1周で決着をつける。ハンター-レイが完璧な仕事で今季初、キャリア7個目のPP獲得を果たした。

 予選2番手はヒンチクリフのものとなり、アンドレッティ・オートスポートがフロントローを独占した。ホンダエンジンにとっても予選1-2達成である。参戦2メーカーがツインターボエンジンで戦うこととなった今年、ホンダは開幕から2戦連続してのポール獲得だ。
 
 PPを手に入れたハンター-レイは、「凄い予選だった。誰がいつ、どんなラップタイムを出してくるのかがわからなかった。誰がトップになってもおかしくない激しい競争になっていた。PPを獲得できたのはチームの力。彼らは僕の求めるマシンを用意してくれた」と喜んでいた。

 予選2番手となったヒンチクリフ。彼はまたしても初PPを取り逃し、「レッドタイヤで戦う予選は本当に予測がつかない。予選で初めて使うのだから当然だ。僕らのチームはレッドに合わせたセッティングも正しく、素晴らしいマシンになっていた。レッドタイヤで二度目に走る時に何をすべきかもわかって来ている。フロントローならハッピーだ。しかし、もちろんキャリア初のPPも早く獲得したい。もう何度も2番手に甘んじて来ているからね。チームメイトに奪われたのなら、それは仕方がない。今日はライアンのPPを祝福する」と語った。
 
 琢磨は、「厳しい予選になった。予選に向けてマシンは進歩させることができていた。しかし、まだ充分じゃなかった。自分たちはベストを尽くした。しかし、Q1を通過できなかった。とても残念だ。明日のファイナルプラクティスでは大きくセッティングを変えて行くことになると思う。そして、決勝用のマシンを良いものにしたい」と話した。

 琢磨と同じくQ1で敗退したパワーも言葉少なだった。「見ての通り、僕らは期待していたよりもずっと後方からスタートを切ることとなった。そのグリッドからベストを尽くし、最高の結果を手に入れるべく頑張るつもりだ」。

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