July 18 2010
IZOD IndyCar Series Honda Indy Toronto

2010年7月18日(日)
決勝
会場:トロント市街地コース
天候:晴れ
気温:26~28℃

ウィル・パワーが大逆転で今季4勝目
武藤英紀は12位、佐藤琢磨はアクシデントでリタイア

 2010年のIZODインディカー・シリーズはカナダでのレースを2戦スケジュールしている。その1戦目であるトロントでのストリートレースが開催された。今週末、オンタリオ湖北岸の町はとても過ごしやすい快適な天候に恵まれ、モータースポーツに熱心なカナダのファンの前で熱戦が繰り広げられた。
非常にバンピーで滑りやすい路面が特徴のトロントでは、キャリア初のポールポジションを獲得したジャスティン・ウィルソン(Dreyer & Reinbold Racing)、予選2位につけたポイントリーダーのウィル・パワー(Team Penske)、ポイント2位のダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)の3人による激しい戦いとなった。

 スタートでトップを守ったウィルソンは、1回目のピットストップで3位まで2つ順位を落とした。フランキッティは予選までは苦戦気味で、5番手スタートだったが、レース序盤の混乱をくぐり抜け、ピットストップの速さを味方につけてトップに躍り出た。

 しかし、2回目のピットストップではフランキッティが2つポジションダウンして3位へと後退。トップに立ったのはウィルソンだった。彼は優勝へ向けてリードを広げていったが、85周目のレースの66周目にフルコースコーションが出され、ウィルソンのリードは消滅した。さらに、71周目のリスタートで加速に失敗したウィルソンは、2位に浮上していたパワーにターン1でトップを奪われた。これで慌てたのか、ウィルソンは同じ周のターン8でスピンを犯して7位でのゴールとなった。2位はフランキッティのものとなり、ライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)が3位でゴールし、今年3回目の表彰台に上った。

 第9戦、第10戦と連勝したパワーは、ポイントリードを42点へと広げた。ポイント2位のフランキッティは粘り強く2位でフィニッシュしたが、ポイント3位のスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)、ポイント4位のライアン・ブリスコー(Team Penske)、ポイント5位のエリオ・カストロネベス(Team Penske)がアクシデントを起こしたため、パワーとの差はさらに大きくなった。そして、ポイント5位の座はカストロネベスに代わってハンターレイが手に入れた。

 武藤英紀(Newman/Haas Racing)は予選22位からスタート。決勝レースでもマシンのハンドリングは万全ではなく、特にソフトタイヤ装着時に思うようにペースが上げられなかった。フルコースコーションを利用して順位を大きく向上させるチャンスにも恵まれることのなかった武藤はアクシデントを起こさずに粘り強く走り続けることに徹し、12位完走を果たした。

 佐藤琢磨(KV Racing Technology)は、オーバーテイクの難しいストリートコースで18番グリッドからスタート。1周目に15位まで順位を上げてみせた。その後にいったん20位まで後退した佐藤は、ペースアップした16周目、チームメートのマリオ・モラレスとターン3への進入で接触し、外側の壁に押し付けられてクラッシュ。10戦で6回目のリタイアを喫した。

コメント
ウィル・パワー(優勝)
「スタートでは2人のドライバーが大胆な動きを見せたので、巻き添えでクラッシュするのを避けようとポジションを落とした。今日のレースはとてもワイルドで、多くの場面で、多くのドライバーたちが色々な影響を受けていた。最後のリスタートでは、みんなタイヤが滑りやすくなっていたと思う。トップを走っていたウィルソンがメインストレートへ出るコーナーでミスを犯したのが見えたので、私は一気に勝負を仕掛け、彼をパスすることができた。今回も優勝ができ、本当にうれしい」

ダリオ・フランキッティ(2位)
「我々のマシンはとても調子がよかったけれど、2回目のピットストップで順位を落としてしまった。我々はウィルソンより1周早くピットに入ったのだが、全員がピット作業を終わってみると順位は彼とパワーの後ろの3位になっていた。結局、今週の我々はスピードに欠けていたということだ。レースでもパワーを打ち負かすだけの速さを我々は備えていなかった。2位は望み得る最高の結果だったのだと思う」

ライアン・ハンターレイ(3位)
「路面はグリップが低く、その上にタイヤかすが多く出ていた。そうしたトラブルに見舞われたドライバーは多かったと思う。アクシデントが多発し、自分も4回か5回もクラッシュしかけたほどだった。さらに、僕らはピットストップが悪かった。アクシデントのひん発する荒れたレースだったが、Andretti Autosportは4台が上位でフィニッシュするすばらしい結果を残した。これからのレースがとても楽しみだ」

武藤英紀(12位)
「レース序盤、マシンの状態がいい時もありましたが、ピットストップでソフトコンパウンドのオプショナルタイヤを装着したらタイヤの温度が上がらず、順位を落としてしまいました。休む間もなく来週にはエドモントンのレースがあるため、今日は絶対にアクシデントは起こしたくなかった。そういう意味ではマシンを壊さずに完走できたのはいいことなのですが、12位での完走を喜ぶことはできません。チームメートのグレアム・レイホールが5位でフィニッシュしたのは、チームにとってはいいニュースでした。自分としても、彼のリスタート時やレース中のコクピットでの調整など、さまざまなデータを参考にして今後のレースを戦っていきたいと思います」

佐藤琢磨(25位)
「スタートでいくつかポジションを上げることができ、チームメートのモラレスの後ろにつけました。彼のペースが上がらなかったので、ターン3でサイド・バイ・サイドになりました。ところが、彼はこちらが見えていなかったらしく、アウト側へと寄って来た。私としてはまったく行き場がなく、彼のマシンと壁の間に挟まれるアクシデントとなってしまいました。まだパスされても大きな痛手ではない序盤だったのに、チームメート同志で接触してリタイアするなんて、本当に残念な結果です。次のエドモントンは空港でのレース、初めての経験になりますが、全力で戦いたいと思います」

エリック・バークマン(HPD社長)
「パワーがまたしても勝利を飾った。今年は彼の年なのかもしれないが、まだレースはいくつも残されているので、ポイント争いがどのような展開になるかはわからない。今日のパワーは、トップからのスタートではなかったが、ポジションを落としても慌てず、トップでゴールした。不運な結果となったのはウィルソンとDreyer & Reinbold Racingだった。それでも彼らは、スピードと勝てる力があることを我々に見せてくれた。フランキッティは優勝こそ逃したが、上位でのフィニッシュを達成し、今日のレースではAndretti Autosportの奮闘も目立っていた。4台が3、4、6、7位でフィニッシュしたのだ。トロントのレースの前にIRLは2012年のシャシーをどうするかの発表を行った。HondaはIRLが予定通りのスケジュールでシャシー案を発表したことを喜んでいる。これでシャシーの方向性は明らかになった。これからHondaはIRLとともにエンジンのルールを作り上げていく。Hondaは競争を求めており、2012年にその実現がなされるよう活動を続けていく」

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