September 04 2010, RACE
IZOD IndyCar Series Kentucky 300
2010年9月4日(土)
決勝
会場:ケンタッキー・スピードウェイ
天候:晴れ
気温:15~21℃
エリオ・カストロネベスが燃費作戦で逆転優勝
武藤英紀は17位、佐藤琢磨は1周目のクラッシュによりリタイア
ケンタッキー・スピードウェイでの今シーズン第15戦は、IZODインディカー・シリーズにとって通算200戦目となった。インディ500で史上最多タイの4度の優勝を飾っているリック・メアーズが「スタート・ユア・エンジンズ」と叫ぶと出場27台のエンジンが始動され、200周、合計300マイルのナイトレースはスタートした。
照明を浴びながらの高速バトルを力強くリードしたのは、予選3番手のダン・ウェルドン(Panther Racing)で、ウィル・パワー(Team Penske)、ダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)、初ポールポジションからスタートしたエド・カーペンター(Panther Racing)、26番グリッドからポジションを大きく上げてきたトニー・カナーン(Andretti Autosport)らとのバトルが続いた。
しかし、記念すべきレースの勝者となったのはエリオ・カストロネベス(Team Penske)だった。予選8番手からトップグループにつけていた彼は、レースの折り返し点付近で行ったピットストップでエンジンストールさせ、18位まで大きく順位を下げた。そこで彼のチームは作戦を燃費セーブへと切り替え、10位前後をキープした。
全速力でバトルを続けたトップグループは、ゴール前5周で給油のためにピットへなだれ込んだ。これによりカストロネベスはトップへと躍り出ることに成功し、2位に13秒以上という大差をつけて今シーズン2勝目、キャリア18勝目を飾った。
オーバル初勝利を飾ってポイントリードを広げたかったパワーは、ゴールまで50周と少しの時点で燃料を満タンにしてピットアウトしたが、その直後に走行ラインを外れて壁に急接近。なんとかアクシデントは回避したものの優勝争いに復帰することはできず、8位でゴール。ポイント2位につけるフランキッティとのポイント差は17点に縮まった。
予選5番手の武藤英紀(Newman/Haas Racing)は、レース用セッティングが予選と比べてよくなく、リアのグリップが低い状態だった。1回目のピットストップを迎えた時の順位は20番手に下がっていたが、粘り強く走り続けてピットストップのたびにセッティングを変更。徐々にマシンのハンドリングを向上させていった。最終的にはトップから1周遅れの17位という結果になったが、今シーズンずっと悩んできたレース用セッティングのレベルを上げることができ、インディジャパンに向けて弾みをつけた。
佐藤琢磨(KV Racing Technology)は14番グリッドからスタートし、予選ポジションを保って1周目を走っていた。ところが、ターン4で突然マシンのリアが流れ、スピンしながら外側のコンクリートウオールにクラッシュ。リアのグリップが突如として失われた原因は、レース終了時点でも不明だ。他車の作り出すタービュランス、低温コンディション向けに調整したマシンセッティング、温まっていないタイヤなど、さまざまな理由が複雑に絡み合っていたとも考えられる。幸いにも佐藤は骨折などの負傷が一切ないことが確認された。
これで2010年シーズンもいよいよ残すところ2レースとなった。次戦のツインリンクもてぎで開催されるインディジャパンで、ロジャー安川がスポット参戦することが今日、Conquest Racingから発表された。安川にとって6回目のインディジャパン参戦となる。全長1.5マイルのスーパースピードウェイで、プラクティスと予選は9月18日の土曜日、決勝レースは19日の日曜日に開催される予定だ。
コメント
エリオ・カストロネベス(優勝)
「ピットストップでミスが発生して後れを取ったが、レースは200周と長いので慌てないように心がけた。レース序盤にはマシンがオーバーステアで苦しい時もあったが、それはレースが進むにつれてハンドリングがよくなっていくように、というセッティングだった。ピットでの後れをとった後に、燃費の作戦をチームから指示された。そこからの私はペースを安定させることに努め、だれかのマシンの後ろを走り、空気抵抗を減らして燃料消費を抑えた。2008年、私はここでガス欠のため勝利を逃し、2位でフィニッシュしたことがある。当時と状況は非常に似ていたが、今回は私がウイナーとなった」
エド・カーペンター(2位)
「我々の今週末の速さを考えると、私が2位、ウェルドンが3位という結果は非常に残念だ。今日のレースで最速だったのはウェルドンだった。燃費作戦はトップを激しく争っていた我々には採用できない。それを使うチームが現れた場合、我々にはなんの対処法もないのだ。今回はレース展開が彼らの味方をしたということだ。今日のレースではハンドリングがオーバーステアになってポジションを落とすシーンもあったが、ピットでのセッティング変更でハンドリングをよい状態に戻し、それが2位までポジションを回復させてのゴールにつながった」
ダン・ウェルドン(3位)
「激しいトップ争いだった。Panther Racingはマシンをすばらしいものに仕上げてくれ、ピットストップも完ぺきだった。レース終盤のピットストップでフランキッティより前に出ることができた時、私は勝利を確信したぐらいだった。ところが、Team Penskeがまたしても作戦により勝利を飾った。チームメートのカーペンターは優勝することができなかったが、すばらしい戦いを見せて2位でゴールし、私も3位でフィニッシュできた。我々のパフォーマンスはシカゴランド、ケンタッキーと2戦続けて非常によく、次のツインリンクもてぎ、最終戦のホームステッドの両レースも本当に楽しみだ」
武藤英紀(17位)
「我々はオーバルの予選ではスピードを発揮していますが、決勝では苦しんでいます。この状態が続いていることは本当に悔しいと感じています。今回もファイナルプラクティスでリアのグリップが安定しなかったため、決勝に向けて大幅なセッティング変更を行いました。レース中にもピットストップでもセッティング変更を重ねました。その結果、マシンのハンドリングは徐々に修正されました。エンジニア、そしてチームががんばってくれているおかげです。インディジャパンではいい走りを見せたいです。今回、レース中にハンドリングを修正できたことは、ツインリンクもてぎでのレースに向けての好材料です」
佐藤琢磨(27位)
「スタート後のターン1、ターン2はまったく問題なく通過して、フランキッティの後ろにつけてバックストレッチへ入りました。まだスタート直後ですし、彼との間隔を十分にとって慎重にターン3に入ったのですが、そこで突然リアが流れました。体はまったく大丈夫です。ガレージでテレメトリーのデータをチームとチェックしましたが、なぜリアのグリップがなくなってスピンが起きたのか、その原因は判明していません。インディジャパンに向けて勢いをつけたいところだっただけに本当に残念なリタイアですが、どのオーバルレースでもなにかしら大きな収穫を得ています。ツインリンクもてぎでは日本のファンの前でいいレースを戦いたいと思います」
ロジャー・グリフィス|HPD テクニカル・ディレクター
「非常に興味深いレースだった。激しいトップ争いはファンを大いに沸かせていた。しかし、最後に勝利を手にしたのはカストロネベスとTeam Penskeだった。彼らは燃費セーブに勝機があると気づき、かなり早い段階でドライバーに指示を出していた。レース終盤にフルコースコーションが出されないレース展開になった場合にチャンスが訪れると読んだのだ。その予想は的中し、彼らは勝利を手にした。最速の存在であったのに勝利を逃したウェルドンは悔しい思いをしていることだろう。彼のチームメートとして今年3回目のスポット参戦したカーペンターが2位でゴールしたが、彼は昨年もここで2位になっている。フランキッティは5位、パワーは8位でゴールし、彼らのポイント差は17点にまで縮まった。インディジャパンではだれが勝つのか? 今年もチャンピオン争いは最終戦が行われるホームステッドまでもつれ込むことだろう」
