IZODインディカー・シリーズ最終戦ラスベガスで発生した多重クラッシュで、親友のダン・ウェルドンを失うことになったトニー・カナーン(KVレーシング/ロータス)は、CNNに対し引退を考えたと明かしながらも、現役を続行したいとする考えであると示した。
今季の最終戦となるラスベガス戦でカナーンは、今季初めてのポールポジションを獲得し序盤のレースをリード。しかし11周目に発生した多重クラッシュでレースは赤旗終了となり、カナーンはかつてアンドレッティ・グリーンでチームメイトだった親友ウェルドンを失うことになった。
レース翌日の月曜日、CNNの『ピアース・モーガン・トゥナイト』に出演したカナーンは、インディカーの安全基準と、カナーン自身の将来について尋ねられた。
「僕は昨日、『これは危険すぎるし、もう止めにするべき日だったんじゃないか』と考えた。僕は親友のひとりを失った。彼のことを忘れることは難しいし、たぶんできないだろう。今も状況を飲み込むことは難しい。今後もいつも彼のことを思い出すだろう」とウェルドンに対し思いを語るカナーン。
「でも、僕はレーシングドライバーとして、事故が起こりうるものだと考えていかなければならないと思うんだ。それがあまりに危険だというなら、僕はこの業界からオサラバして、他のことをする」
「もしダン・ウェルドンがここにいて、僕が『引退する』と発言したら、たぶん彼は僕のチームオーナーにいちばん最初に電話して、僕のシートに座ろうとするだろうね! 僕は彼に敬意を示しつつ、僕のベストをレーストラックで示さなければならないんだ」
一方、インディカーの安全についてカナーンは、今回の事故がこれまで見たことがないほどのアクシデントだったと語る。
「モータースポーツの安全性は、常に進歩し続けている。レーストラックも素晴らしい装備になり、マシンもそうだ。モータースポーツは危険なスポーツだ。100年間続く課題だ」
「事故の後30秒後に現場を通った時には、凄まじい混乱だった。まるで戦場にいるようだった。何台かのマシンから火が出ていて、あんな光景は27年間レースをしていて初めて見た。僕は自分自身を保とうとするのに必死だったんだ」
「あれも僕たちの仕事のひとつだ。週末ごとにああいったことが起きる可能性はゼロじゃない。でも、二度と目にしたくない光景だ」