ウイリアムズF1のテクニカルディレクター、サム・マイケルは、F1にオーバーテイクが少ない原因はマシンよりもサーキットにあり、コースレイアウトの変更を検討するべきであると述べた。
2009年F1には、レースの活発化を促進することを狙い、新たなレギュレーションが導入された。この変更が功を奏した部分もあるものの、多数のレースでは相変わらず追い抜きが少なく、活気に欠けていた。
マイケルは、今季は以前よりはドライバーが他のマシンの後ろに近づきやすくなったと認めながらも、オーバーテイクのしやすさにはサーキットのレイアウトが大きく関係しており、その点を改善すべきであると主張した。
「マシンに変更が加えられたことで、明らかに以前よりは他のマシンの後ろにつきやすくなったと思う。しかしまだまだやるべき仕事は多い」とマイケル。
「2009年の規則変更において解決されなかった問題のひとつに、サーキットデザインがある。バルセロナのようなコースでは誰もオーバーテイクできないが、モンツァやホッケンハイムなどに同じマシンを持っていくと、オーバーテイクが頻繁に行われるようになる」
「違いはサーキットのレイアウトだ。オーガナイザーたちは、ストレートにつながる低速コーナーを作り、シケインを取り除くことを真剣に考える必要がある。アブダビのようなところについては、サーキットにいい面はいくつかあるものの、基本的な誤りがある。あそこでのレースは非常に面白いというには至らなかった。オーガナイザーは来年までに見直しを行う必要がある」
「マシンのデザインばかりを責め続けてはならない。FIAがこの問題を検討し、解決してくれることを願う」
来シーズンも、レース中の給油の廃止など、レギュレーションの変更が行われる。マイケルはそういった変更はオーバーテイクのチャンスを増やすことにつながるだろうと述べている。
「主に3つの変更点がある」とマイケルは説明する。
「フロントタイヤが細くなること、レース中の給油がなくなること、ホイールフェアリングが禁止されることの3つだ。細いフロントタイヤになることで、重量配分が少しリヤ寄りにシフトされ、それによって空力とマシンセッティングに影響が出る」
「再給油がなくなることで、レーススタート時にすべての燃料を積まなければならなくなり、ドライバーは今まで以上にブレーキとタイヤをうまく使う必要に迫られる。ホイールフェアリングの禁止によって、マシンの後ろの空気の流れが改善され、ドライバーが前のマシンに近づきやすくなる。そうなればオーバーテイクのチャンス拡大に役立つはずだ」
