ミハエル・シューマッハーの事故からほぼ48時間後の現地時間12月31日午前11時、入院先のフランス・グルノーブル大学病院の医師団が、前日に続き二度目となる共同会見を行った。
シューマッハーの主治医であり同病院のICU責任者ジャン・フランソワ・パイヤン教授は「頭蓋と大脳の間に新たな血腫が見つかり、昨夜遅くに再手術を約2時間行った」ことを明らかにした。「幸い外科手術が可能な部位だった。その結果、現在では軽度の症状改善が認められる」という。
「危機を脱したとは言わないが、昨夜までよりは症状をより容易にコントロールできるようになっている。とはいえ他にも何ヶ所か損傷があり、出血もあちこちにある。それが血腫となる恐れは常にある。この状況では、容体は簡単に急変しうる。現時点で見通しを述べるのは、不可能だ。まだ(回復までの)道のりは遠い」
シューマッハーの体力が落ちていることもあり、再手術は難しい決断だった。そのため、「家族の同意を求めた。コリーナとふたりの子供たち、弟のラルフが、事故以来ずっと病院に詰めている」という。
再手術後もシューマッハーは、人工的な昏睡と34〜35℃の低体温状態に置かれている。衝撃による脳の腫れを収め、脳のエネルギー消費を最小限にするためだ。その処置がいつ終了するか、医師団は明言を避けている。どんな些細な症状変化も逃さず、あくまで慎重に治療を続けて行く方針のようだ。
この会見には、脳神経医学の世界的な権威ジェラール・サイヤン教授も出席。同教授は医師団のアドバイザー的役割を果たしている。シューマッハーは現役時代から脳神経医学研究に多額の資金援助を続けており、それがきっかけで同教授とも個人的にも親しくなった。シューマッハーが積極的に関わっていた医学が、彼を死の淵から生還させることになるかもしれない。
「そうなることを願って、われわれは最大限の努力を続けている。依然として、楽観的な状況からは遠い。しかし昨日よりは症状が改善しているのは事実だ」
なおこの日の会見後、シューマッハーの個人マネジャーを長年務めているサビーネ・ケーム氏が、「事故の際、ミハエルは決して猛スピードで滑ってはいなかった」と語った。
「ミハエルは長男ニックとふたりきりではなく、数人の親しい友人たちも一緒でした。最初は踏み固められた平坦なコースを滑っていたが、そこを外れた友人のひとりが転倒。ミハエルが近寄って、助け起こしました。そこから再度滑り始めた直後、コーナリングの際に岩に頭を強打したようです。不運の連鎖が、今回の事故へとつながってしまったのです」
シューマッハーの入院後、フランスやドイツはもちろんのこと、ヨーロッパの主要日刊紙は、この事故を一面で大々的に報じている。事実を客観的に伝える記事と同時に、「世界中のファンが、きみといっしょだ」(伊ガゼッタ・デロ・スポルト)、「われわれを見捨てないでくれ」(仏レキップ)など、悲痛な声の見出しも少なくない。
