2009年までトヨタのF1活動を行ってきたトヨタモータースポーツGmbH(TMG)は、プレスリリースを通じて、今後の業務内容を発表。この先、トヨタによる参加型レースへの協力、トヨタのグループ企業以外にも、TMGの設備を利用した車両全体および個別パーツの開発や解析、シミュレーションなどを行うとしている。このリリースはバーレーンGPの金曜日、3月12日に配信されている。
USF1が2010年のエントリーを取り下げ、ステファンGPは繰り上がりでF1への出場を目指していたものの、結局ステファンGPのエントリーは認められず、今季F1は12チームでレースを行うこととなった。
それまで、TMGは幻となった10年型のトヨタF1“TF110”をゾラン・ステファノビッチ率いるステファンGPに提供、中嶋一貴がドライバーとなるのではないかと、見られていた。
しかし、実際にはステファンGPのF1参戦がなくなり、TMGはバーレーンGPが開幕した金曜日に自社の設備を用いた開発業務などの受託を行うことを発表した。このタイミングでの発表は最後の最後までステファンGPによる出走の可能性を探っていたのではないかともとれるが、それは定かではない。
TMGのリリースによると、今後の業務としては3つの柱があり、ひとつはトヨタの“グラスルーツ”(参加型レース)レースへの協力、ふたつ目は競技車両などの開発・デザイン、そして高度な解析機器、工作機械を用いた測定および製作業務としている。
以下はTMGからのリリースの概訳。
トヨタモータースポーツGmbHがスペシャルハイパフォーマンスサービスを提供
ケルン、ドイツ:トヨタモータースポーツGmbH(TMG)は、新時代へのハイパフォーマンスなデザイン、開発、生産業務の実施を発表した。
ドイツ、ケルンを拠点とするTMGはスペシャリストへのソリューションサービスを提供するために再構築され、競技車両の開発、コンポーネントごとのテスト・製作を自動車関連企業やエンジニアリング向けに行う。
200人ほどのエクスパートが様々な専門サービスにフレキシブルに対応でき、このようなサービスがトヨタのグループ企業外に提供されるのはこれが初めてのこととなる。
新たなビジネスモデルとして、TMGはトヨタのグラスルーツモータースポーツへの開発もサポートし、2000年からスタートしたハイパフォーマンスのモータースポーツ活動を広く一般にも拡大し、レースの楽しさ、興奮を多くの人へともたらすことも行う。
TMGの新しいサービスへのハイライトとして、新たにwebサイトwww.toyota-motorsport.comを立ち上げ、下記の設備やサービスのショーケースとなる役割のページを展開した。
・経験と実力を備えたデザインチームによる、車両全体またはコンポーネントのデザイン
・自動化され、各プロセスと連携した、複雑なジオメトリーを含んだCFD解析
・ふたつの風洞設備は60%モデルに対応、そのうちひとつはフルカーにも対応可能
・ヨーロッパで最大規模の13機の工作機械
・レーザーでマッピングされた14サーキットのデータを採用したドライビングシミュレーター
・標準、高出力、単気筒そして路面回転式それぞれのエンジンダイナモメーター
・カム、ラジエーター用風洞、ポート開発などの設備を含むエンジンおよびコンポーネントテストリグ
・セブンポストリグ、トランスミッションテスト、フルカーシミュレーターを含む200を越える個々のコンポーネントテスト用のリグ
しかし、TMGはそれぞれを組み合わせた以上の力を持ち、コンプリートカーやエンジン開発にも適した組織となっている。
木下美明TMG副社長は「“ホーム・オブ・ハイパフォーマンス”トヨタモータースポーツGmbHの新章の発表ができることを誇りに思う」と語った。
「新時代のTMGは3つの柱からなる。グラスルーツモータースポーツ、ハイパフォーマンス・スポーツ開発とスペシャリストデザインの供給、そして幅広い産業からのクライアントへのソリューションの提供の3つである。
これまでモータースポーツのトップレベルでのプロジェクトをメインとしてきたが、我々の基本方針は常に各種のチャレンジに柔軟に対応し、ソリューションを提供していくということであり、これはTMGのコアとなっている。
我々は、風洞設備やフルカー対応のローリングロード式のダイナモなど特色ある設備を用いたハイパフォーマンスサービスを提供し、2010年以降、様々なクライアントからのチャレンジに応えていくことを今から楽しみにしている」