2012年の新インディカー・シリーズ用モノコックを製作するイタリアのダラーラは、新シャシーに今季最終戦ラスベガスで事故死したダン・ウェルドンへの敬意を示し、2012年シャシーに『DW001』という名称をつけたと明らかにした。

 来季から新たに導入されるインディカー用新シャシーは、大幅なコストダウンとともに安全性を高めるため、エアリフトを防ぐ『ホイール・インターロック・プリベンションシステム』というホイール同士の接触を防ぐ機構、安全性を高めた『インディカー・セーフティセル』、さらにエアロパーツを他マニュファクチャラーが装着できるシステムを備えるなど、安全性と競争を高めたものとなっている。

 昨年7月に新シャシーの概要が発表され、ホンダに加えてシボレー、ロータスがエンジン供給を表明。8月には、その年のインディ500を制したウェルドンを開発ドライバーに迎え、ロード、オーバルでテストが行われた。最終戦ラスベガスでは、レース前にシボレー、ホンダのカラーリングが施された2台の新シャシーがファンの前で初走行を行っていた。

 しかし直後のレースで発生した多重クラッシュにより、開発ドライバーのウェルドンは頭部にダメージを負い死去。ダラーラでは翌日、イタリアのファクトリーで半旗が掲げられた。現行のインディカーもダラーラ製シャシーが使用されているが、ウェルドンはこのマシンで16勝を挙げていた。

「ダンはダラーラの全員の記憶に残っている。彼は真のチャンピオンだった。それは勝利を重ねただけでなく、真に誠実な男だったからだ。すべてのダラーラの社員は、彼とイタリア、そしてアメリカで仕事をするのを楽しんでいた。彼との思い出と年月に敬意を示すために、ダラーラは2012年のインディカー用新シャシーに、ダン・ウェルドンの名を冠することにした」とダラーラ社代表のジャンパオロ・ダラーラ。

 多くの提案の中から採用されたのは、インディカードライバーのジェームス・ヒンチクリフが提案した『DW001』というシャシー名。皮肉にも自らが開発を担った新シャシーが登場する直前に命が絶たれることになってしまったウェルドンだが、その名を来季からのマシンに残すこととなった。

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