2014年F1第2戦マレーシアGPは30日(現地時間)、セパン・インターナショナル・サーキットで56周の決勝レースが行われ、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウインで通算23回目となる今シーズン初優勝を飾った。ケータハムの小林可夢偉は粘りの走りで13位フィニッシュを果たした。
今シーズン第2戦の舞台はマレーシア・セパン。高温多湿、そして亜熱帯特有のスコールが過去幾多の波乱を演出してきた。今年も予選は開始時間が1時間近く遅れる激しい雨に見舞われ視界を遮るほどのウエットコンディションとなった。
ポールシッターはメルセデスのハミルトン。最前列の2番手にレッドブルのセバスチャン・ベッテルがつけ、ニコ・ロズベルグとフェルナンド・アロンソが2列目に並んだ。14番グリッドのセルジオ・ペレスは直前のトラブルでピットスタートを選択したが、結局スタートすることはできなかった。
スタート時の天候は晴れ。気温32度、路面温度は50度を記録。懸念されていた天候はレース中盤にコースの一部で弱い雨が降ったものの、終始ドライコンディションで行われた。
レースは、ポールスタートを決めたハミルトンがホールショットを奪うとチームメイトのロズベルグも蹴り出しの若干鈍ったベッテルを交わして2番手に浮上。ベッテルはダニエル・リカルドにも先行を許し、早くも1-2態勢を築いたメルセデス勢にリードを許すこととなった。
トップ4の後方では、フェルナンド・アロンソとキミ・ライコネンが続いたが、ライコネンはケビン・マグヌッセンに追突され右リヤタイヤがパンク。緊急ピットインを余儀なくされ、最後尾までポジションを落とす。
レースリーダーのハミルトンは、序盤からファステストラップを並べ2番手ロズベルグ以下を徐々に引き離していくと、その後もタイヤをうまくマネジメントして後続のライバルよりも速いラップで周回。1回目のピットストップが始まった10周目にはロズベルグとの差を6秒とし、4周目に3番手に浮上していたベッテルには早くも10秒のギャップを築いた。
15周目に上位勢最後となるピットストップを終えたハミルトンは、コース復帰時点で8秒まで広がっていたロズベルグとの差をその後もさらに拡大。ファーストスティント同様ミディアムタイヤを履いたハミルトンはセカンドスティントでも安定したペースを披露。リードを10秒まで広げた33周目に2度目のタイヤ交換を終えると、完全に独走に入った。
一方、単独で2番手を走るロズベルグは、2度目のピットストップを機にベッテルの接近を許し、一時は1秒以内に迫られる。しかし、常にベッテルを意識していたロズベルグは徐々にベッテルとの差を拡大、2番手のポジションを守ると、レース終盤は5秒以上のギャップを広げた。
レースは51周目に最後のピットストップを終えたハミルトンが2位ロズベルグに17秒の差をつけトップチェッカー。通算23勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。3位にはベッテルが入り、今シーズン初の表彰台を獲得している。
4位は、レース中盤までダニエル・リカルドがアロンソをリードしていたが、40周目のピットストップで左フロントタイヤの装着をクルーがミスし、大幅にタイムをロス。再走は果たしたもの14番手可夢偉の後ろまでポジションを落としたリカルドは、その後もフロントウイングが脱落するなどトラブルの連鎖に見舞われ、10秒ストップペナルティを科されて、最後はリタイアに終わった。
5位はフォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグが上位勢で唯一の2回ストップを成功させる走りを披露。終盤まではアロンソも従えていたが、1周2秒も速いペースのフェラーリに残り2周で交わされチェッカー。それでも開幕戦の6位に続く好リザルトを獲得し、メルセデス圧勝のレースを盛り上げた。
ドライでの速さが期待されたウイリアムズの2台は、レース終盤にジェンソン・バトンを捉えていたが、チームメイトの前を走るフェリペ・マッサがペースで勝るボッタスをブロック。チームオーダーを最後まで無視したマッサはバトンの後ろでフィニッシュ、ボッタスも8位に終わり、チームはより多くのポイントを取り逃がすこととなった。
小林可夢偉は13位。週末3回のフリー走行でわずか12周しか走れなかった可夢偉は、満足にセットアップできていないマシンにもかかわらず好ペースで周回。ライバルとのバトルを何度も繰り広げるなど、最後まで冷静かつアグレッシブな走りで順位以上の結果をチームにプレゼント。直接のライバルであるマルシャが開幕戦で獲得した13位に並び、14位マーカス・エリクソンとのダブル完走でチームを実質コンストラクターズ選手権10位に押し上げた。