タイヤから見たモナコGP
2011年5月25日、モンテカルロ
ピレリは今週末、有名なモンテカルロのハーバーで新たなカラーを登場させます。PZeroレッド、スーパーソフト・タイヤです。タイトでツイスティなモナコの市街地サーキットに合うよう設計されたタイヤで、明日、ドライバーたちは初めてこのタイヤを体験することになります。
サーキットについて
伝統のモナコは全長3340mで、決勝ではこれを78周して争われます。ピレリの新たなPZeroレッド・スーパーソフト・タイヤは、滑りやすいアスファルトでも最大限のグリップを実現します。しかしモナコのコースは夜には一般に開放されるため、グリップレベルの予測が難しくなります。
サン・デボート:第1コーナーでは100mの間に160km/hを減速するため、激しいブレーキングGに耐えねばなりません。モナコでは激しいブレーキングが連続することでブレーキの温度が非常に高く上昇し、これがタイヤにも伝わり、タイヤ温度が上昇することで負荷も高まります。
カジノスクエアの出口ではマシンにGがかかり、(次のミラボーに向けた)ブレーキングが不安定になりがちです。
これもまた有名なロウズ・ヘアピンは、シーズン中で最も低速なコーナーで、時速47km/hまで減速します。あまりに低速なため空力によるダウンフォースは効かず、ステアリングもフルロックまで切るため、コーリング中には右フロントタイヤに非常に大きな負荷がかかります。
有名なトンネルの後に迎えるタバコ屋コーナーは、ラインがタイトでランオフエリアもなく、このサーキットで最も難しい箇所です。時速は160km/hで、横Gは3.31Gにも及びます。
スイミングプールの入り口もまたタイトなコーナーです。時速200km以上で縁石を引っかけ、3.65Gの横Gに耐えながら走り抜けます。
最終セクションはクリアなラップを決めるためにも非常に重要です。ドライバーたちはガードレールの間を縫うように走り抜け、コーナリングしながらブレーキングも同時にしなければなりません。最終のアントニー・ノゲスで再び加速し、2速、3速とシフトアップしてエンジンを全開にしてスタート・フィニッシュ・ストレートを駆け抜けます。
ホスピタリティ
モナコGPは他のレースとは異なるスケジュールで開催されます。フリー走行は木曜日に行なわれ、金曜には走行セッションはありません。
コース上の走行セッションが普段よりも1日早く始まるため、各チームのホスピタリティ設備準備にはいつも以上の負担がかかります。バルセロナをあとにしてから3日も経たないうちに、400km離れたモナコに準備を整えなければならないのです。
ピレリも例外ではありません。チームの新たなカーボンブラックのモーターホームは、ハーバーの端に建てられました。このモーターホームは5月上旬のトルコでデビューを果たしましたが、今年の初めからドイツで制作が進められていました。
ピレリのモーターホームは2台のトレーラーユニットをベースに、その間にホスピタリティエリアが設置されています。左側のトレーラーは、上階にエンジニアのオフィス、ピレリのレーシング・マネージャーであるマリオ・イソラのオフィスがあり、地上階には収納庫と完全装備のキッチンがあり、ここではロブスターからパスタまで毎日最大150人分のケータリングサービスが行なわれています。
右側のトレーラーには、上階にモータースポーツ・ダイレクターであるポール・ヘンベリーのオフィス、会議室、PRとマーケティング部門のオフィスがあり、地上階にはセキュリティとITの部屋、そして収納庫があります。
ケータリングエリアは一度に約50人を収容することができ、テーブルマットには1950年代・60年代のピレリのポスターがあしらわれています。ピレリの最も有名な“ステルビオ”タイヤなどの宣伝広告に使われたものです。壁にはピレリカレンダーの写真が飾られ、ランプシールドさえもタイヤの部品で作られています。
このモーターホームの設営は、4人のスタッフで延べ24時間以内に完了します。ヨーロッパラウンドの間はレースからレースへと移動しますが、ごくわずかの空白期間には英国にあるピレリのF1施設に留め置かれます。
ピレリのモーターホームに唯一まだないのは、名前だけです。何か名案をお持ちの方は、ピレリのF1メディアチームへお知らせください。
