2013年のF1最終戦、第19戦ブラジルGPは24日(現地時間)、サンパウロ近郊にあるインテルラゴス・サーキットで71周の決勝レースが行われ、レッドブルのセバスチャン・ベッテルが全ラップをリードするポール・トゥ・ウインで今季13勝目、通算39勝目を挙げた。
2013年シーズンを締めくくる今季第19戦のブラジルGP。来季からのレギュレーション変更に伴い2006年から使用されてきたV8エンジン最後のレース。また、F1を引退するマーク・ウエーバーのラストラン、フェリペ・マッサも8シーズンを過ごしたフェラーリ最後の一戦を母国で迎えるなど、さまざまな話題に満ちたグランプリとなった。
迎えた決勝。前日までの雨はあがったものの上空には相変わらずの厚い雲が垂れ込めており、レース前の予報でも60%の降水確率がアナウンスされるなか、午後2時のスタートを迎えた。レースは、スタートで加速の鈍ったPPベッテルのインをついたニコ・ロズベルグがホールショットを奪い、さらに5番グリッドのルイス・ハミルトンも3番手に浮上するなど、メルセデス2台が幸先良いスタートを切ったかに思われた。しかし、ベッテルはオープニングラップであっさりとポジションを奪い返すと、その後ろではウエーバーもハミルトンからポジションを取り戻す。
直後の3周目、ロメイン・グロージャンのエンジンが派手にブローするなか、翌周にはアロンソがロズベルグを攻略して2番手に浮上。だが、そのアロンソもレッドブルの勢いは止められず、6周目にロズベルグをパスしたウエーバーが12周目にアロンソをオーバーテイクし、レッドブル勢が早くも1-2態勢を築いた。
一方、その間も快調にトップを走るベッテルはファステストラップを織り交ぜながら後続とのギャップを広げていき、10周目には8秒、上位陣のピットストップが始まった20周目には10秒と確実に自らのリードを築いていく。
ベッテルは上位勢で最も遅い24周目にピットインしてミディアムタイヤにスイッチすると、先頭でコースに復帰する。2番手はピット作業に遅れのあったウエーバーに代わってアロンソが浮上していたが、ここでもウエーバーはすぐにアロンソを攻略、レース中盤もレッドブル2台がレースをリードするかたちとなる。
中盤以降もベッテルは2番手ウエーバーに約10秒のギャップを保ちながら快調に周回を重ねて行く。ウエーバーの約3秒後方にアロンソがつけ、4番手にはペースの上がらないメルセデス勢をパスしたフェリペ・マッサが一時前を走るアロンソの後方4秒近くにまで迫った。
しかし、そのマッサはピットエントリーの白線カットでドライブスルーペナルティを受けてしまい、8番手までポジションをダウン。コンストラクターズで逆転2位を狙うフェラーリにとっては、痛恨のペナルティとなってしまう。
レースが40周目を過ぎると、各車2度目のピットタイミングが迫るが、すでに上空には雨雲が迫っており、チームはピットのタイミングを先延ばすかたちをとる。そんな中、47周目にウイリアムズのバルテッリ・ボッタスとメルセデスのハミルトンが接触するアクシデントが発生。すると、これをタイヤバーストと勘違いしたのか、多くのマシンがピットイン。さずがのレッドブルも慌てた様子で先に入ったベッテルのタイヤがすべて用意されておらず、直後に滑り込んできたウエーバーを待たせるかっこうに。対照的にフェラーリのアロンソはタイミングよくピットをすませると、3番手でコースに復帰、ベッテルとの差は6秒にまで縮まった。
これで、ベッテルの完勝モードが一気に吹き飛ぶと、残り10周前あたりからは上空からパラパラと雨粒が落ち始め、レースは波乱の展開を匂わせた。しかし、その後も降雨は続いたものの一向にレースペースに影響を及ぼさず、最後までドライコンディションで進行。結果、終盤も危なげない走りを見せたベッテルがそのままトップチェッカーを受け、ウエーバーも2位でフィニッシュ。アロンソも3位となった。
ベッテルはこれでミハエル・シューマッハーに並ぶシーズン最多13勝と、1952年から53年に9連勝を記録したアルベルト・アスカリの記録に並ぶことに。フェラーリラストランのマッサはドライブスルーペナルティを受けながらも最後は7位でフィニッシュしたが、コンストラクターズ争いでは、メルセデスを逆転することはできず。マクラーレンも14番手スタートのジェンソン・バトンが今季ベストの4位でフィニッシュしたが、ついに表彰台は果たせず、屈辱のランキング5位に終わった。