2011年F1第5戦スペインGPの決勝が現地時間22日にカタルニア・サーキットで行われ、レッドブルのセバスチャン・ベッテルが今季4勝目を挙げた。ザウバーの小林可夢偉は10位に入り、4戦連続入賞を果たした。
週末を通して晴天に恵まれた現地カタルニアは決勝日も晴れ。マシントラブルで土曜日の予選を走れなかったルノーのニック・ハイドフェルドは、スチュワードから決勝への出走を許可され、グリッド最後尾に並んだ。上位勢を含め多くのドライバーはソフトタイヤを装着、後方のエイドリアン・スーティルやハイドフェルドらはハードタイヤを選択している。
現地時間14時に全車フォーメーションラップを行い、レースは予定通りスタート。ポールポジションのマーク・ウエーバーを含め上位4台が好スタートを見せるなか、激しいスリップストリームの奪い合いの隙をついて4番手スタートのフェルナンド・アロンソがウエーバーのインサイドをこじ開け、1コーナーでトップを奪取。サーキット中の地元ファンから大歓声が起きる。
オープニングラップを終え、2番手はベッテル。ウエーバーは3番手に順位を落とし、マクラーレンのルイス・ハミルトンが4番手をキープ。これにルノーのビタリー・ペトロフが続き、10番手から好発進を見せたミハエル・シューマッハーが7番手でチームメイトの前に出た。一方、5番手スタートだったジェンソン・バトンは10番手までポジションをダウン。14番手の可夢偉もスタートの混乱で左リヤタイヤのパンクに見舞われ、1周目の終わりにピットインを余儀なくされてしまった。
レース序盤はアロンソがトップをキープするも、後続のベッテル、ウエーバー、ハミルトンが僅差で続く展開となる。そして9周目にベッテルが1回目のピットインを行うと、翌周にアロンソとウエーバーが入り、11周目にはハミルトンが前3台と同じソフトタイヤでセカンドスティントに繋いだ。引き続きトップはアロンソ、2番手ベッテルとなるが、ハミルトンはウエーバーを逆転し3番手に浮上する。また、後方から徐々に順位を上げ、14周目まで最初のピットストップを引っ張ったバトンが5番手に浮上し、上位3台より1回少ない3ストップ作戦で優勝争いに加わっていった。
しかし、上位4台の争いは2回目のピットストップで再び変動を見せる。18周目、上位勢で真っ先にピットインしたベッテルがここで温存していた新品のソフトに履き替えアウトラップで猛烈にプッシュ。翌周にアロンソも反応したがポジションキープは叶わず、ここでベッテルがトップに浮上。するとアロンソは2回目のタイヤ交換を遅らせたハミルトンにも先行を許し、順位はベッテル、ハミルトン、アロンソ、ウエーバー、そしてバトンへと変わる。
中盤に入ると、3番手のアロンソはペースが上がらず、後ろから迫るウエーバーに防戦一方となる。29周目の同時ピットインではなんとかポジションを守ったものの、今度はアロンソとウエーバーのバトルの間に後続のバトンが追いつき、両者は36周目にあっさりとバトンに抜かれてしまう。その後、アロンソは40周目に4回目のピットストップを行うと、それ以降は全くペースが回復せず、完全に上位争いから脱落してしまった。
一方、優勝争いは50周前後に4回目のピットストップを終えた先頭のベッテルと2番手ハミルトンの争いに持ち込まれる。特にハミルトンはレース終盤にベッテルの後方1秒以内まで迫り、ホームストレートで何度もDRSを使った接近戦を繰り広げる。だが、ハミルトンの攻勢にも冷静さを失わなかったベッテルは最後までマクラーレンを抑えきってそのままトップでチェッカー。前戦トルコに続く今季4勝目、通算では14回目となる優勝を鮮やかな逆転勝利で飾った。
2位はハミルトン。3位は3ストップ作戦を成功させたバトンがウエーバーを抑えて表彰台を獲得した。一方、序盤を沸かせたアロンソは、レース終盤もマシンとの格闘に追われ、最後は周回遅れの5位でフィニッシュとなっている。
ザウバーはセルジオ・ペレスが9位で初の入賞を達成。さらに、最後尾からの追い上げとなった可夢偉も終盤のベストラップとフェリペ・マッサのリタイアもあって10位でチェッカーを受けた。