復活したマクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は期待の一戦をダブルリタイアで終えた第13戦シンガポールGPを、ふたつの視点でジャッジ。

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甘口編
静かな3日間
熱害を克服し、揺らいだチームも一丸に

 おそらく、開幕戦からここまでの13戦で、もっとも静かな3日間だったというのが、シンガポールGPでのホンダである。「静か」だったというのは、新井総責任者が弁明しなければならないような事態にまったくといっていいほど陥らなかったからである。

 金曜日はイタリアGPでレースを走ったパワーユニットで2回目のフリー走行を走り込み、順調にプログラムを消化した。金曜日の夜には、予定通り、ベルギーGPまたはイタリアGPの金曜日に使用したストック用のパワーユニットに積み替え、土曜日以降のセッションに臨んだ。フリー走行3回目も予選向けた最終チェックを行い、フェルナンド・アロンソは7番手、ジェンソン・バトンも13番手と手応えを得て終了。復帰後、ホンダとして初のQ3進出の期待も高まった。

 残念ながら、予選はアロンソが12位、バトンも15位とQ3には手が届かなかったが、この予選順位はダブル入賞を果たした第10戦ハンガリーGPを上回る成績で、第6戦モナコGPのバトン12位、アロンソ15位と並んで今シーズンベストとなる予選結果だった。

 シンガポールはもっとも赤道に近く、レーススタート時間の夜8時でも気温は30℃もあったが、レースでもホンダのパワーユニットは順調だった。それは序盤戦で苦しんだ熱害への対策が2度のトークン使用による改良と、レギュレーションで許されている範囲での目に見えない改善による進化だと言っていいだろう。海外メディアは回生エネルギーの性能不足ばかりを指摘するが、信頼性に関して言えば、シンガポールGPではホンダはメルセデスよりも高かったし、優勝したフェラーリや表彰台に上がったルノーと同様だった。

 シンガポールGPで新井康久総責任者が静かだったのは、パワーユニットが順調だったからだけではない。前戦イタリアGPの記者会見のようなイギリス・メディアからの集中砲火を浴びることがなかったからである。モンツァで新井総責任者ひとりに責任を押し付けるような質問には、同じイギリス人からも「ちょっと、やりすぎ」という批判の声があがっていたほどで、パートナーを組むマクラーレンもシンガポールGPの会見でしかるべき対策を行った。

 土曜日の深夜0時からスタートしたマクラーレン・ホンダの会見の冒頭で、エリック・ブーリエ(レーシングディレクター)がこんなスピーチをして、一部の過激なメディアに釘を刺したことでもわかる。
「われわれはワンチームです。結果を出すために、毎日一緒に話し合い、懸命に努力しています。したがって、特定の個人を攻撃するような質問は差し控えていただきたい。皆さんのご理解とご協力をお願いします」

 だが、期待されていたシンガポールGPでホンダは2台そろってリタイア。理由はいずれもギアボックスのオーバーヒートだった。レースでもホンダのパワーユニットが順調で、「一時は2台そろってトップ10内を走行していただけに期待していた」という新井総責任者は悔しさをにじませていたが、リタイアした理由を責めることはなかった。逆に「3日間、チームが一丸となって、すごくいい仕事をしていた」と、シンガポールGPの週末のマクラーレン・ホンダの戦いぶりを評価していた。

 静けさの中に、パワーユニットとしても、チームとしても、成長していることを感じたシンガポールGPの夜だった。

ホンダ辛口評価編:「またもや全くのゼロ!」
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