復活したマクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は5戦ぶりのポイント獲得となった第15戦ロシアGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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甘口編
新たなホンダ・ミュージックに期待
ロシアGPでホンダは残っていた4トークンを使用した改良型パワーユニットを投入した。今シーズン、ホンダは9つのトークン使用が許され、6月上旬のカナダGPで2トークンを使用して、ターボチャージャーとMGU-Hを改良。ところが、この改良型パワーユニットは週末トラブルに悩まされることになった。
次にホンダがトークンを使用してきたのが、8月下旬の第11戦ベルギーGP。このときは3トークンを使用して、今度はICE(エンジン本体)をアップデートしてきた。そして、今回もホンダは4トークンをすべてICEの改良に使用。ロシアGPで改良型パワーユニットをただひとり走らせたアロンソは「問題なく走らせることができたことが最大の収穫」と語った。なぜなら、限られたトークンを使用して、せっかくパワーユニットを改良しても、実際に走らせてみたらトラブルを起こすようでは、トークンだけでなく、時間の無駄にもなる。ホンダはベルギーGPで投入した改良型ICEを搭載したパワーユニットにも、問題を起こしていない。つまり、ICEの開発に関しては、順調に進んでいると見ていいだろう。
もうひとつ、今回のICEの改良に関しては、興味深い情報がある。それはエキゾーストノート(排気音)がこれまでと変わったと言われていることだ。トークンを使用した10基目のICEは金曜日のフリー走行1回目に使用した後、今後のグランプリを見据えてストックへ回されて、フリー走行2回目以降、ソチ・オートドロームのコースを走ることはなかった。フリー走行1回目にピットレーンおよびコースサイドでの取材をしていなかった筆者は、残念ながら新しくなったホンダのエキゾーストノートを直に聞くことはなかったが、聞いた者によれば、「ほかのパワーユニットの音に近づいた」という。
これまでホンダのエキゾーストノートは低音で、独特の響きが特徴的だった。今回、新井総責任者も「排気系と燃焼系を改善してきた」と語っているように、排気系を改良することで、燃焼効率を改善してきた可能性は高い。現在のF1のパワーユニットは、1レースで100kgしか燃料を使用できないため、燃焼効率の改善は馬力アップと同意義となす。さらに今回改良したICEがレースでもしっかりと完走して結果を残せば、ベルギーGP、ロシアGPと続けてきたホンダのICEの開発は間違っていないことになり、来シーズンへ向けたICEの開発にも期待が持てることになる。
その改良型ICEが次に登場するのは、マクラーレン・ホンダのマシンパッケージに合っていると思われるサーキット・オフ・ジ・アメリカで開催されるアメリカGPか、インテルラゴスで行われるブラジルGPになるだろう。またロシアGPでは製造が間に合わなかったバトン用の改良型ICEは、おそらくマシンパッケージ的に厳しいと予想されるメキシコGPのフリー走行で走らせてペナルティを消化した後、ストックに回されてブラジルGP以降のレースに投入されるものと考えられる。
アメリカGPとブラジルGPで、ホンダがどのパワーユニットを走らせるのか。そして、そのパワーユニットがどんなパフォーマンスを披露するのか。新しいホンダ・ミュージックを楽しみにアメリカ大陸ラウンドへ向かいたい。
ホンダコラム 辛口編:わずかな運でも大歓迎
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