復活したマクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はホンダの母国GPとなった第14戦日本GPを、ふたつの視点でジャッジ。

———————————-

甘口編
アロンソの不満も
目指すべき道見えた母国GP

 ホンダにとって7年ぶりの母国GP、9年ぶりの鈴鹿となった今年の日本GP。残念ながら、結果は予選でジェンソン・バトンがQ1敗退。フェルナンド・アロンソもQ2止まり。レースでは2台ともポイント獲得はならず、詰めかけた8万1000人の観客を沸かせることはできなかった。逆にレースではライバル勢にホームストレートでオーバーテイクを許したアロンソが「GP2エンジンだ!!」と無線で怒りを爆発させ、後味の悪い母国グランプリとなった。

 オーバーテイクされて喜ぶドライバーなどいない。しかし、アロンソがオーバーテイクされたのは今回が初めてではないこと、そして日曜日にはホンダの八郷隆弘社長がサーキットを訪れていたことを考えると、アロンソの無線には怒り以上の意味が込められていたことは間違いない。つまり、技術的な観点から見れば、今年の日本GPでのマクラーレン・ホンダは前半戦よりも進化していたのである。

 例えば、鈴鹿と似たようなコース特性であるシルバーストンで行われた今年7月のイギリスGPである。予選はアロンソが17位、バトンは18位だった。マノー・マルシャ以外の全車に歯が立たなかったのである。これは1カ月後、やはり鈴鹿同様、全開率が高いスパ-フランコルシャンで開催されたベルギーGPにも言えることで、マクラーレン・ホンダのふたりは17位と18位に終わっている。

 したがって、鈴鹿でも厳しい予選になることが予想された。だが、結果はアロンソがQ1で15位に入ってQ2へ進出。一方、バトンもコースインする際、レースエンジニアがエンジンモードを切り替えるよう指示を出すのを忘れるという不運がありながらも、アロンソからコンマ2秒遅れの16位とザウバーを上回った。ザウバーはBスペックともいえるような新しい空力パッケージをシンガポールGPから投入していることを考えると、マクラーレン・ホンダが何もしないで鈴鹿に挑んだわけではなく、可能な範囲でマシンとパワーユニットを進化させて、現時点で持てる力を出し切っていたことがわかる。今回の11位という結果は順位だけを見れば開幕戦と同じだが、オーストラリアGPが11台完走した中で最下位だったのに対して、日本GPは20台全車が完走扱いの中での11位だったことは忘れてはならない。

 もちろん、いかなる理由があったとしても、マクラーレン・ホンダとして狙うべきポジションが11位でないことは確かだ。だからこそ、アロンソも「GP2エンジンだ!!」と叫んだのだろう。そして、ストレートでオーバーテイクされる際にアロンソが不満を爆発させたことによって、ホンダがいま抱えている問題も白日の下にさらされた。それは、ERSのパワーを効果的に使えず、デプロイが必要なときに使えないという問題だ。ただし、この問題を解決するには、時間が必要だ。

 鈴鹿でホンダの新井康久総責任者は「残っている4つのトークンを今シーズン終盤戦に使用して、改良したパワーユニットを投入するかは未定」であることを明かした。つまり、ホンダはいま投入しているパワーユニットを4トークン使用した小さな改良に勢力を注ぐよりも、来シーズンへ向けて腰を据えて開発する道を選択したのではないか。

 厳しい結果の中にも、目指すべき道が見えたホンダの復帰後、初の母国グランプリだった。

ホンダコラム 辛口編:「GP2エンジン! すごく恥ずかしい!」
続きはF1速報有料サイトでご覧下さい。

本日のレースクイーン

青山水咲あおやまみさき
2025年 / スーパーGT
SUBARU BRZ GT GALS BREEZE
  • auto sport ch by autosport web

    FORMATION LAP Produced by auto sport : Hands in the Fight|0.25mmの戦い

    FORMATION LAP Produced by auto sport : Hands in the Fight|0.25mmの戦い

  • auto sport

    auto sport 2025年7月号 No.1609

    【特集】LE MANS 2025
    “史上最混戦”の俊足耐久プロト頂上決定戦

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円