難関の市街地コースで苦しい戦いとなったHonda Civic WTCC勢。
レース1でモンテイロ選手が6位、レース2でタルクィーニ選手が5位に
2015年4月19日(土)・決勝
会場:ムーレイ・エル・ハッサン・サーキット(4.545km)
天候:曇り/気温26℃/コースコンディション:ドライ
世界ツーリングカー選手権(WTCC)は、モロッコ・マラケシュで決勝レースを迎えました。前日の予選後、8台がグリッドダウンのペナルティーを受け、レース1のスターティンググリッドは予選順位から大きく変わることとなりました。
Honda Civic WTCC勢では「ゼングー・モータースポーツ(Zengő Motorsport)のノルベルト・ミケリス選手が、規定最低重量に2kg足らず違反となり3グリッド降格処分となりましたが、上位にもペナルティーを科せられたマシンがあり、7番手からのスタートとなりました。そして「カストロール・ホンダ・ワールド・ツーリングカー・チーム(Castrol Honda World Touring Car Team)」のティアゴ・モンテイロ選手は4番手、ガブリエーレ・タルクィーニ選手は8番手と、予選順位より繰り上がったポジションを得てレース1に臨みました。「プロチーム・レーシング(Proteam Racing)」のドゥサン・ボルコビッチ選手は10番手からのスタートとなりましたが、レース前に出走を断念しています。
午後4時15分から開始されたレース1では、モンテイロ選手がオープニングラップでポジションを落とし5番手に、ミケリス選手、タルクィーニ選手は7番手、8番手をキープしました。コース幅が狭く、コンクリートウォールに囲まれた難しいコースで、Civic WTCC勢は苦戦を強いられ、9周目にモンテイロ選手がシケインの進入でライバルにポジションを明け渡し6番手に後退。タルクィーニ選手、ミケリス選手は接近戦を繰り広げながらも順位を上げることはできず、7番手、8番手のまま14周のチェッカーフラッグを受けました。
午後5時30分からのレース2はリバースグリッドでのスタートで、モンテイロ選手が4番手、ミケリス選手が5番手、タルクィーニ選手は予選順位通り11番手からのスタートです。スタートで好ダッシュを見せたモンテイロ選手は3番手に上昇しますが、直後に後ろから追突されクラッシュしリタイア。この混乱に巻き込まれたミケリス選手は8番手に後退しています。レース1に比べて激しいポジション争いが展開されたレース2となりました。その結果、上位でも脱落するマシンが出て、2台のCivic WTCCはポジションを押し上げていきます。そして、最終ラップにミケリス選手がストレートで前車をパスし6番手に、タルクィーニ選手も2台を抜き7番手に上がり、レース2をフィニッシュしています。
レース後、ミケリス選手はレース中の接触により30秒加算のペナルティーが科せられ、11位に降格となりました。また、上位選手のペナルティーにより、タルクィーニ選手は順位が2つ繰り上がり5位となっています。
WTCC第2ラウンドを終え、Hondaはマニュファクチャラーズ選手権で118ポイントを獲得し2位をキープしています。また、ドライバーズ選手権では、タルクィーニ選手が38ポイントで5位、モンテイロ選手が36ポイントで6位、ミケリス選手が18ポイントで9位、ライデル選手が3ポイントで14位となっています。
ファクトリードライバー以外の選手に与えられる「ヨコハマ・トロフィー」選手権においては、ミケリス選手は30ポイントとなり、トップと同点の2位となっています。
ティアゴ・モンテイロ選手(6位/リタイア)
「レース1はすばらしいレースだったとは言えませんが、少なくともポイントを獲得することができました。レース2では絶好のスタートを切ってポジションを上げましたが、突然、後ろから2度激しく衝突されマシンは横向きになり、これでレースは終わってしまいました。3位か4位が可能なレースだったので、本当に残念です」
ガブリエーレ・タルクィーニ選手(7位/5位)
「レース1は非常にいいスタートを切ることができ、ポジションを上げることに成功しましたが、もう少しで壁にぶつかるところでした。レース中はブレーキにも気を使わなければなりませんでした」
ノルベルト・ミケリス選手(8位/11位)
「レース1では、ブレーキにいろいろと問題が起こり、4周目以降、その対処に追われました。両レースともに貴重なポイントを挙げ、無事完走することができたので、結果には満足しています」
アレッサンドロ・マリアーニ|Castrol Honda World Touring Car Team代表
「レースが我々にとって厳しくなることは分かっていました。今日は、以前に起ったことのない新しい問題が起きました。昨年はタルクィーニ選手が(プラクティス中のクラッシュで)走れなかったこともあり、ここでのレース経験が足りなかったかもしれません。今週末は縁石に苦しめられました。これはダンパーのセットが合わなかったからだと思われます。また、ブレーキにも、以前には遭遇したことのないトラブルが発生しました。今準備している新しいパッケージは、ブレーキ冷却を含めてフロント部分が全く異なるので、新たなマシンではトラブルも解決できるでしょう。次のハンガリー戦には投入する予定です」
堀内大資|Civic WTCC開発プロジェクトリーダー
「テストによる効果は実感しましたが、この特殊なコースでのレースはとても難しく、我々Civic WTCC勢にとっては厳しい展開と結果となりました。シャシー、エンジンともに昨年に比べてタイムもデータもよくなっていることは確認できましたが、トップレベルに追いつくにはさらなる改良が必要です。また、次戦ハンガリーには、今年ベース車のモデルチェンジに伴い、外観が大きく変わった仕様を投入します。これにより空力面での向上が見込まれ、マシン全体のポテンシャルが大幅に上がります。チームもその仕様変更に全力で取り組んでいますので、次戦からの好結果にご期待ください」