シンガポールグランプリ プレビュー:
シンガポール 2014年9月18-21日

ソフトとスーパーソフト、今シーズン最後の市街地サーキットに登場
ナイトレース特有の路面の改善と温度変化が見られる
ドライバーにとって、シーズン中で最も肉体的に厳しいグランプリのひとつ

2014年9月15日、ミラノ
ピレリのF1タイヤレンジ中で最も硬い組み合わせのコンパウンドが使用されたモンツァの後、Formula Oneはシンガポールグランプリへ向かいます。シンガポール用として、レンジ中で最も軟らかい組み合わせであるP Zeroイエロー・ソフトとP Zeroレッド・スーパーソフトが選択されています。シンガポールは市街地サーキットですが、非常に例外的です。決勝が夜間に行われるため、路面状況と温度の変化が、通常のグランプリ週末とは異なるものとなります。しかしながら、都心に位置するトラック特性と全般的に高い気温のため、ドライバーにとってはシーズン中で最も肉体的に厳しいトラックのひとつとなっています。

トラクションとブレーキングが、マリーナ・ベイ・サーキットの鍵となる要素です。さらに、バンピーなトラック路面が一貫したトラクションの確保を難しくします。また、ドライバーのミスを誘発し、タイヤにとっての障害となる、公道にはつきものの白線やマンホールの蓋などが存在します。シンガポールには、F1カレンダー中で最も多くのコーナーが存在するため、タイヤは一層酷使されることになります。

ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター
ポール・ヘンベリーのコメント:
「シーズン中でも屈指の見応えあるレースが展開されるシンガポールを訪れることをいつも楽しみにしています。鮮やかな市街地でのナイトレースは、Formula Oneが最高峰であることを示す素晴らしい雰囲気を醸し出します。ナイトレース独特の特性がタイヤに明らかな影響を及ぼしますので、市街地サーキットにおいて不可欠な要素である迅速なウォームアップと高いレベルのメカニカルグリップを提供するために、タイヤレンジ中で最も軟らかい組み合わせのタイヤを選択しました」

「今年の組み合わせは、ミディアムとスーパーソフトを選択した昨年よりも軟らかいものになっていますので、性能のアドバンテージをフル活用する各チームの興味深いタイヤ戦略が見られるでしょう。伝統的にセーフティーカーが導入されることが多いため、あらゆる戦略は、セーフティーカー導入に対応できるように柔軟でなければなりません。チャンピオンシップが接戦の様相を呈していますので、エキサイティングで予測不可能なレースが見られると思います」

ピレリ・コンサルタント
ジャン・アレジのコメント:
「私自身、シンガポールでのレース経験はありませんが、ランオフエリアが少なく、単純なミスが決定的なダメージに繋がるという点で、モナコに少し似ているという印象を持っています。また、シンガポールは気温と湿度が高く、加えてナイトレースのためにヨーロッパラウンドと同じ時間帯のレースになりますので、ドライバーにとって、いかに肉体的に厳しいレースであるのかが容易に想像できます。テクニカルな観点で最も重要なことは、ベストなトラクションが引き出せるようにマシンをセットアップすることです。したがって、リアタイヤのケアが重要になります。さもなければ、コーナー出口でのタイムロスが大きくなります(シンガポールでは、ほぼ全てが低速コーナーです)。注意を怠れば、レースを台無しにしてしまう可能性があるでしょう」

タイヤから見たサーキット:
シンガポールは、トラクションとブレーキングに尽きます。特に、全ての低速コーナー出口でリアタイヤが酷使されます。縦方向および横方向の負荷に対応しなければならないため、特に左リアタイヤに負荷がかかります。サーキットに使用される公道がバンピーな路面のため、トラクションはさらに損なわれることになります。

スーパーソフトタイヤは作動温度領域が低く、広範囲の低い温度条件下でも最適な性能を発揮できるコンパウンドです。ソフトタイヤは、対照的に作動温度領域が高く、高温のコンディションに適したコンパウンドです。シンガポールでの気温は通常30〜35°Cで、これまでウェットレースは行われたことがありません。

シンガポールの路面は、他の大半の市街地サーキットよりも粗いものですが、非常設サーキットの特性として、他のトラックよりもアスファルトのラバーインに時間を要するため、路面の改善の進みが遅くなります。夕方のレインシャワーも珍しくなく、路面上に乗ったラバーを洗い流してしまいます。

昨年の勝利戦略は2ストップで、レッドブルのセバスチャン・ベッテルがスーパーソフトでスタートし、17周目にミディアムへ、44周目にスーパーソフトへ交換してフィニッシュしました。

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