25日に行われたIZODインディカー・シリーズ第8戦アイオワ。日本人初のポールポジションを獲得し、初優勝が期待された佐藤琢磨(KVレーシング/ロータス)は、上位を争うもクラッシュを喫しリタイア。レースはトニー・カナーン(KVレーシング/ロータス)との争いを制したマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポーツ)がデビューイヤーの2006年以来5年ぶりの勝利を挙げた。
ナイトレースとして開催されるアイオワ・コーン・インディ250。天気は曇りで、雨の予報は今年も外れてくれた。IZODインディカー・シリーズ第8戦は、無事に予定通りの250ラップのレースが開催された。
そして、アンドレッティがカナーンとの死闘の末にキャリア2勝目を挙げたのだ。マルコはルーキーだった2006年にソノマのロードコースで初優勝。しかし、2勝目を上げるまでには5年の月日が必要となった。
全長0.894マイルのショート・オーバルでのレースは、アクシデントが続出した。中でもポイントリーダーのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)はピットロードで1回、コース上で1回クラッシュして21位という惨憺たる結果となった。
ポールからスタートした佐藤琢磨も、トップグループで戦い続けていながら、183周目のターン2でスピン、クラッシュして上位フィニッシュを実現できなかった。5回も出されたフルコース・コーションは合計72周にも及んだ。
レース前半はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ)が速さを見せ付けていたが、彼のハンドリングが終盤になって急激に悪化。最終的にアンドレッティとカナーンが優勝をかけた戦いを繰り広げた。アンドレッティは予選は17番手だったが、1回目のピットストップを終えるとトップ10へ、2回目のピットストップでトップ5へと、着実に順位を上げていったのだ。
アンドレッティはオーバルで勝ったことがないが、今日のレースでは非常に落ち着いていた。カナーンと抜きつ抜かれつの戦いをする中で、自分が有利であることを確信し、最後の最後までチャンスを待つ作戦に出た。そして、チャンスと見るやズバッとオーバーテイクし、その後はプッシュ・トゥ・パス・ボタンを2周続けて使用してリードを広げ、勝利を確実なものとした。
アンドレッティのキャリア2勝目は、オーバルでの初勝利。アンドレッティ・オートスポーツにとっては、マイク・コンウェイの勝ったロングビーチに続く今シーズン2勝目である。
「やっぱり優勝は気分がいいものだ。満員のファンの前でオーバル初勝利ができた。アイオワのコースを僕は得意としている。これで3回目の表彰台で、ついにその真ん中に立った。トニー・カナーンとの激しいバトルは、勝負を仕掛けるのを土壇場まで待った。5年もかかって2勝目を上げた。これでプレッシャーからも開放されるだろう」とアンドレッティ。
カナーンはまたしてもKVレーシング・テクノロジーに初勝利をもたらすことに失敗したが、自分にとっては今季のベストを更新する2位でゴール。3位は予選23番手から20個ものポジションアップを果たしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)。チームメイトでポイントリーダーのフランキッティを上回ったことは大きい。タイトル争いへ望みを残すことになったからだ。フランキッティはゴールを目前にオーバーステアがひどくなり、ルーキーのJR.ヒルデブランド(パンサー・レーシング)にもパスされて5位フィニッシュとなった。
日本人初、自身のキャリア初となるポールポジションからスタートした佐藤琢磨は、常にトップ5を走り、フランキッティに迫る2位を走り続けたが、183周目のターン2でスピンし、リヤからウォールにクラッシュした。ピットストップを行い、最後のバトルを戦おうというところだったが、バンプに足をすくわれたようだ。
「本当に残念。タイヤが冷たかったとかはではなかったと思います。前のラップでもうグリップはありましたから。ターン2を通るのは3回目だったのに、なぜあそこでマシンがスピンしてしまうのか……」と原因はまだ完全に判明していないとのことだった。
パワーがクラッシュで21位となったことで、フランキッティは5位フィニッシュだったが、20点のポイント・リードを持つポイントリーダーとなった。
シリーズ3位にはディクソンが浮上。オリオール・セルビア(ニューマン・ハース)は逆に4位へとひとつ後退した。そして、カナーンがトップ5へと復活した。琢磨はランキング9位でアイオワ入りしたが、今回のリタイアにより13位に降下してしまった。