F1レースの開催時間をヨーロッパの視聴者に合わせたいというバーニー・エクレストンの意向によって夕方スタートとなった結果、マレーシアGPは激しい雨に見舞われ、世界中の視聴者が約1時間もの間動かないマシンを見続けた後にレースはわずか33周で結局取りやめとなった。
オーストラリアGPでは、沈みゆく太陽の光がドライバーたちに不評だったほかは、夕刻スタートはさほど問題にはならなかったものの、マレーシアはレースが赤旗中止という結果になり、今後の夕刻開催について再検討が行われることとなりそうだ。
マレーシアGPが途中で終了された原因は大雨だったが、この地方の気候をよく知る者なら誰もが、夕方には湿度が高くなり、雨になるのが常だということは分かっていたことで、こうなることは予想された事態であった。それにもかかわらずF1は夕刻レースを強行、土砂降りの中で走ったドライバーたちは、視界もグリップもなく、低速走行時でさえも極めて危険な状況だったと、後に証言している。
「僕がこれまでレースで経験した中で最も危険な状態だった」とルイス・ハミルトンはコメントしている。
「雨が降ってからは、クルマを走らせるのは不可能な状態だった。常にアクアプレーニングに見舞われた。僕にできるのは、コースアウトしないように努めることだけだった。誰にとってもあまりにも危険な状態だったから、レースを中止するというのは正しい判断だった。雨の中走るのは好きだけど、今日のコンディションはあまりにひどすぎたよ」
赤旗の後、再スタートの可能性について、ドライバーたちの意見を聞きに回っていたマーク・ウエーバーは、今回は不運だっただけだという意見を持っている。
「彼らはレースを中止するという最良の判断を下してくれた。あと何周か走れて、表彰台をゲットするチャンスをつかめていたら素晴らしかっただろうが、実際はこういうことになった。複雑な気持ちだよ。今(午後7時)はもう暗くなってしまったから、リスタートしないという判断は正しかった。今日こういう状況になったことを、時間帯のせいにしていいのかどうかは確信がもてない。午後3時も天候は悪かったわけだから。こういう日もあるということじゃないかな。マレーシアの決勝日としては、僕が経験した中で最も霧が深く、最も気温が低い1日だった」
フェラーリのチームボス、ステフォノ・ドメニカリは、予想が現実になってしまったと述べ、夕刻レースの開催について再度検討すべきだと語った。
「この地域で遅い時間にレースをすると、明るさとかにわか雨が大きな問題になりかねないことは分かっていた。オーガナイザーとFIAがこの件について、今後再検討すべきなのは間違いない」
実際、マレーシアGPが今後は従来の2時スタートに戻ることが、今後検討されることになりそうだ。
「たった今バーニーと話をした。今後見直しを行う」とサーキットチェアマン、モクザーニ・マハサーが、報道陣にコメントした。
「来年は何時にスタートするのか、まだはっきりとした時間は分からないが、来年のレースの開催時刻について、我々は再検討を行う」
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マレーシアGP、夕刻開催は今年限りか
