フェラーリはスペインGPで大がかりなアップデートを行ってきた。最も目につくのは、サイドポンツーンの形状だ。これまで上面は丸みを帯びた、ややフラットなフォルムをしていたのに対して、新型では途中でに段差を設けて外側が一段低い形状に変更した。サイドポンツーン入口を覆うように取りつけられていた逆L字型のバーティカルフィンは、サイドポンツーンの段差部分で2分割された(写真:黄色い矢印と水色の矢印の部分)。この分割によって、段差部分に流れる空気の流れを変え、サイドポンツーン上面を流れる空気が、できるだけ剥離しないよう工夫しているものと考えられる。
ただしスペインGP初日は風の影響もあり、フェラーリは新仕様のメリットをコース上で確認することができなかった。リスクを考えて、2日目はセバスチャン・ベッテルのみが新しい仕様を試し、キミ・ライコネンは従来の空力パッケージで戦うことを選択。結果は新仕様のベッテルがコンマ8秒ほど速く、ライコネンはタイヤウォーマーの事故でミディアム1セットを失うというトラブルにも見舞われ、予選7位に終わった。
そのような状況にもかかわらず、ライコネンはポジションを上げて5位でフィニッシュ。ベッテルはスタートで2位に浮上したが、新仕様のマシンでもハードタイヤを使いこなせず、3位がやっとだった。フェラーリのアップデートの真価は、まだ未知数と言うしかない。