カナダGPでピレリが行うタイヤの変更が当初予想されていたよりも小さいものになりそうだが、メルセデスはそれを理解し受け入れていると語った。
今年のピレリタイヤはデグラデーションが高く、リヤタイヤのデラミネーションの問題も連発している。スペインGPで4回交換が主流となった後、ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーは、「我々は4回ストップのレースを望んではいなかった。タイヤのコンストラクションを変更することにする。2回か3回ストップのレースに戻したい」と述べ、カナダからタイヤを変更することを明らかにしていた。
この動きはタイヤに苦しんでいるレッドブルやメルセデスに有利に、タイヤをうまく使えているロータスやフェラーリには不利に働く可能性があるとの懸念が生じていた。
しかしレギュレーションではタイヤが「技術的に不適当」であるという理由がなければシーズン途中でのタイヤ変更には全チームの同意が必要であると定められている。
FIAは、ピレリに対し、リヤタイヤのデラミネーションの再発を防ぐための変更は強く望んでいるものの、、デグラデーションを小さくしたりピットストップの回数を減らすことを目的とした変更は許可しないとの意向を明らかにしている。
そのためピレリタイヤの変更は当初予想されたより小さいものになると考えられている。これはレッドブルやメルセデスにとってはいいニュースとはいえないが、メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは、重要なのは安全性の問題が解決されることだと述べた。
「タイヤに苦しんでいる場合──実際我々は苦しんでいるわけだが──、自分に有利になるようFIAが規則を変更することは期待できない」とウォルフ。
「ロータスとフェラーリはタイヤの変更を望んでいないからだ」
「一番重要な問題は安全性だ。タイヤのデラミネーションのトラブルが発生しており、安全性の問題が起きることを誰も望んでいない」
「タイヤの安全性が十分に確立されている限り、スポーツマンとして私に言えるのは、我々はこのタイヤでクルマをうまく機能させなければならないということだ。私が心配しているのは安全性だ」
「ピレリが望んでいるのはデラミネーションが発生しないようにすることだ。彼らはそれを目指しており、特定のチームを助けようとしているわけではない」