F1界の伝説的なドライバーであるサー・スターリング・モスは、現在のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルが、ファン-マヌエル・ファンジオの実力に相当すると語っている。
ミハエル・シューマッハーに破られるまで、F1界で前人未踏の5度のワールドチャンピオンの記録を持っていたファンジオは、1950年代の最強のドライバーと言われるが、そのファンジオにとって最大のライバルと言われ、55年にはファンジオとチームメイトになった経験を持つモスは、今のベッテルの実力がファンジオに相当するだろうと語る。
「ベッテルはF1の世界において、現代のファンジオだ。彼の天賦の才能はどれほどのものか分からない」とモスはロイター通信に対して語る。
「確かに今、ベッテルは最速のマシンに乗っている。しかし、ベストなドライバーはベストなマシンに乗っているのが常なんだ。ファンジオも彼が望むものを見て回り、まわりもファンジオのために働いたものだ」
モスは現在イギリスの期待を背負うジェンソン・バトンとルイス・ハミルトンのふたりが、ベッテルに対してどんな実力を持っているのかを尋ねられ、マクラーレンのふたりはベッテルを上回っていないと評する。
「ベッテルは図抜けている。バトンとハミルトンは頑張ってはいるが、そこには及んでいない。ルイスは素晴らしいが、特定の時だけ速い。ジェンソンは状況に対して判断することができるがね」
82歳になるモスは、ベッテルの個性とチャンピオンとしての振る舞いに対して賞賛を付け加えた。
「我々が幸運なのは、ベッテルが素晴らしいユーモアセンスを持っていることだ。彼は素晴らしいワールドチャンピオンだよ」